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人工血管から燃料電池まで|電界紡糸装置でナノファイバーの活用を促進する 

人工血管から燃料電池まで|電界紡糸装置でナノファイバーの活用を促進する 

株式会社メック

掲載企業株式会社メック

髪の毛の数百分の1(髪の毛の太さが0.1mm(=100,000nm)だとすると、その100分の1のサイズ)という極細の繊維「ナノファイバー」。近年では量産方法が確立してきたことで、医療から電池材料、さらには食品に至るまでその用途が急拡大している。 

そして、このようなナノファイバーを作るための装置(電界紡糸装置)を開発・供給する企業の一つが、株式会社メックだ。福岡県小郡市に本社を構える同社は、1973年の創業以来、医療機器メンテナンス事業やブラウン管・液晶の検査装置などを手掛けてきた。ナノファイバーには2004年に参入し、これまで国内外の大学・研究所や大手メーカーに紡糸装置を供給している。同事業を参入時から第一線で手がける内藤親視氏に、ナノファイバーの利活用と同社の装置・ソリューションについて話を伺った。 

医療や電池、食品など多様な業界で活躍する極細繊維—ナノファイバーで作られるアイテムとは? 

「ナノファイバー」と聞くと近年の技術のように思えるが、最初に発明されたのは1902年と、実は意外と古い。「当時は高圧電源の質が低く、ナノレベルの糸を観察する手段もなかったため、あまり実用的とはされなかったそうです」と内藤氏。1990年代にナノレベルの顕微鏡などが登場したことで、本格的な利用が進むようになった。 

現在では医療、フィルター、テキスタイル(衣服などの生地)、電池材料の4大市場に加え、食品や工具に至るまで用途は幅広い。中でも製造コストを価格に転嫁しやすい医療分野での採用が多く、人工血管や人工皮膚、ステントのカバー、人工角膜の材料など、再生医療や創傷治療の重要アイテムに使われている。「医療大国のアメリカだけでなく、インドや中東方面の医療機器関連メーカーなどにも弊社製品を使っていただいています」と内藤氏。 

人工血管

電池関係も需要が旺盛だ。燃料電池の水素拡散層や電極に加え、大手国内電機メーカーが開発したリチウムイオン電池材料の電極被膜にも、同社の装置で作られたナノファイバーが使われている。一般産業分野でも、集塵フィルターや化粧品、衣料向け生地、変わり種では繊維状のこんにゃくや工具の刃面コーティングなど顔ぶれは多彩だ。実はナノファイバーは、意外と我々の身近な存在なのだ。 

ステントカバー

電気の力で、溶液から糸を作る—エレクトロスピニング法とは? 

では、そのナノファイバーはどう作るのか。紡糸に用いられるのが「エレクトロスピニング法」だ。溶液(材料を溶かしたポリマー)を押し出すノズルと、糸を集めるコレクタ、両者の間に高電圧を印加する電源装置の3つで構成される「電界紡糸装置」で、静電気の力から糸を作る。 

注射針のようなノズルに高電圧をかけたまま溶液を一定速度で押し出すと、表面張力を電気引力が上回った瞬間、溶媒が揮発しながらジェット状に噴き出す。これをコレクタで捕集するのが電界紡糸装置の基本原理だ。ポリマーに溶かせるものなら様々な原料を使えるため、生体適合素材や食品も繊維にできる。ノズルやコレクタを動かせば、繊維単体はもちろんシート状・膜状、さらには配向性を持たせた繊維も作れるのも大きな特徴だ。 

構成だけ見れば比較的シンプルな装置だが、紡糸条件の設定は極めて繊細だ。内藤氏は「条件がうまく合っていないと、そもそも糸になりません。弊社では6000件以上の紡糸実績があるため、実験則的な要素の大きい紡糸条件の設定でも強みを発揮できます」と説明する。紡糸条件の3大要素は「溶液特性(ポリマー濃度、粘度、溶媒とポリマーの混ぜ方など)」「紡糸環境(温湿度)」「紡糸環境条件(印加電圧や吐出量、コレクタの巻取り速度)」だといい、今後は同社内に蓄積されたデータベースを元に、AIが最適な紡糸条件を提案するシステムの構築を目指すという。 

ノズルにかかる電圧は10kV〜50kVにも及ぶため、電源周りの品質や設計も紡糸に大きく影響する。同社の最大の強みはここだ。「元々ブラウン管・液晶の検査装置を手掛けていたので、高電圧による電場制御のノウハウや電源の耐久性向上の工夫がコア技術としてありました」と内藤氏。電流量の見直しなど工夫を重ねた結果、15年以上稼働を続けるエレクトロスピニング装置NANONやNF-500もあり、国内外の研究機関や大手メーカーから高い安定性と信頼性が評価されている。 

紡糸相談会と柔軟なカスタマイズで需要を生み出す—ナノファイバーの普及に向けたメックの取り組みとは? 

需要そのものを生み出す取り組みにも力を入れる。それが各月開催の「無料紡糸相談会」と、溶液持ち込みによる紡糸テストサービスだ。相談会では「この材料から繊維やアイテムを作るには?」といった疑問に応じているといい、「まだナノファイバーを使ったことのないお客様の需要を開拓するのが狙いです」と内藤氏。機密性の高い材料には溶液持ち込みによる紡糸テストを提案しており、テストはWebで随時受付、相談会も9月に次回開催が予定されている(記事公開時点)。 

同社では「ラボ機がニーズを作る」という考えのもと、現場の細かな需要を捉えた装置ラインナップを取り揃えている。「そもそもナノファイバー事業への参入も、私がシンガポールに赴任した時に、現地の研究者から紡糸装置の作製を依頼されたことがきっかけでした」と内藤氏は当時を振り返る。柔軟なカスタマイズも売りで、厳しい品質基準を課される医療向けや量産設備には1年以上の評価期間をかけることもあるという。ラボ機から量産アイテムへ展開したケースも多く、同社の高い対応力がナノファイバーの新たな活用法を生み出している好例と言えるだろう。 

ナノファイバーの今後について内藤氏は「新たな電池の開発などで、需要はますます増えていくと思います。これからも新たな需要を発掘し、活用に貢献していきます」と意気込む。今年の5月末にはスケールアップ・量産試験を見据えたラボ向けのハイパワーモデル「BIG NANON」も発表し、製品面の拡充も進めている。 

電気の力で生まれるナノサイズの極細繊維「ナノファイバー」。髪の毛のわずか数百分の1の太さに、大きな未来が詰まっている。株式会社メックは今後も、電界紡糸装置を通じてナノファイバー技術の発展に貢献していく。

掲載会社情報

株式会社メック

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所在地
〒838-0137 福岡県小郡市福童196-1
TEL
0942-72-7266
FAX
0942-73-3545
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