成長企業の経営戦略
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創業から465年の伝統技術とAIが融合。ナベヤが提案する「工程短縮と工数削減」の最適解
株式会社ナベヤ
掲載企業株式会社ナベヤ
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主要3品目
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工作機械用精密ジグ
防振・除振製品
機械要素部品
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従業員数
200人
創業465年、加工治具トップメーカー・株式会社ナベヤのあゆみ
1560年。織田信長が桶狭間の戦いで勝利を収めたその年に、岐阜の地で産声を上げた企業がある。鋳物技術を原点に、現在は工作機械向けの治具や精密機器の機械要素、防振装置などを展開する株式会社ナベヤだ。同社は、精密マシンバイスや精密ジグシステムといった、多様な治具・工具の製造・販売を手がける、国内トップクラスの加工治具メーカーである。取り扱う品目は実に1万点以上。工作機械の精度を支える確かな技術力をバックボーンに、グループ売上高131億円(2026年8月期/ナベヤ単体:40億円)を上げるなど、業界において確固たる地位を築いてきた。
さらに465年の歴史を誇る老舗でありながら、同社の視線は常に製造現場の最前線に向けられている。人手不足や生産性向上が急務となる現代において、AIやデジタルエンジニアリングを駆使したソリューションを展開。従来の枠組みを超えた工程短縮と工数削減を実現し、製造業の課題解決に挑み続けている。

1560年創業の「伝統」と「先端デジタル」の共創:テクノクラフトの精神
ナベヤのものづくりを象徴する言葉が「テクノクラフト」である。これはテクノロジーとクラフトマンシップを掛け合わせた造語であり、技能向上への飽くなき追求と、改善活動、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)の3本柱で構成されている。
特筆すべきは、同社のAI活用に対する姿勢だ。一部の専門部署に任せるのではなく、トップダウンで全社的な活用を推進している。2026年初頭から、全社員がAIを実務で使いこなせるようにということで体制を整えている。8月現在では、およそ4人に1人が使える状態になった。
「情報システム部の人に任せればいいという話ではない」という岡本社長の言葉通り、各部門から選抜されたメンバーが現場の視点でAIの使い勝手を検証し、実効性のあるツールへと落とし込んでいる。この「伝統の技能」と「最新のデジタルツール」の融合こそが、同社が多品種変量生産という難度の高い領域で、圧倒的な生産性を維持できている源泉なのだ。
熟練の技をAIで標準化。属人化を排除し、工程短縮を実現する現場のリアル
製造現場において最大のネックとなりがちなのが、生産技術者による工程設計である。特に多品種変量生産では、製品ごとに異なる加工プロセスを誰が、どの機械で、どう割り当てるかという判断に、ベテランの経験と勘が不可欠だった。
ナベヤはこの課題に対し、約6〜7年前からAIを用いた工程設計の標準化に取り組んでいる。過去の膨大な加工パターンをAIに学習させることで、新たなワークに対しても、過去の類似事例から最適な工程を即座に提示するシステムを構築した。
さらに驚くべきは、工程の割り付けを指定した瞬間に、NCプログラムが自動生成される仕組みまで構築されている点だ。これにより、かつては熟練者にしかできなかった高度な工程設計の約8割を、経験の浅い担当者でもこなせるようになった。ベテランはより創造的で難度の高い上流工程に注力できるようになり、組織全体での大幅な工数削減に成功している。
この取り組みは不良率の低減にも直結した。「人が変わったから不良が出る」という属人性を排除するため、作業手順を徹底して標準化・デジタル化した結果、極めて低い不良率を安定して維持しているのである。

治具の標準化と工程集約による中小・中堅製造業の現実的な自動化への道
労働人口が減少する中、製造現場が生き残るためのキーワードは「工程集約」と「自動化」である。しかし、中小・中堅企業にとって、フルカスタムの完全自動化ラインを導入するのはハードルが高い。
そこでナベヤが提案するのが、治具(ワークホールディング)の工夫による「半自動化」や「夜間無人化」の実現だ。例えば、同社が得意とする「標準治具ユニット」の組み合わせは、専用治具を一から設計・製作する手間を省き、準備工数の大幅な削減を可能にする。
また、5軸加工機や複合加工機に対応した治具システムを活用することで、一度の段取りで多面の加工を完了させる「工程集約」を推進している。同社自身も鋳造工場を持つ強みを活かし、ベース部分をカスタマイズしながら標準的なマシンバイスなどを組み合わせることで、多品種変量生産に最適化された効率的なラインを構築している。
「10社あれば10通りの正解がある」という治具の世界において、ナベヤはお客様ごとの生産方式に寄り添い、マニュアル(手動)とロボット(自動)を最適に組み合わせた、明日から使える現実的な解決策を提示してくれる。
多品種変量生産を支えるナベヤの工数削減のノウハウ
ナベヤの製品カタログを開けば、そこには膨大な数の治具や機械要素が並んでいる。しかし、それらをどう組み合わせ、どう運用すれば自社の「工程短縮と工数削減」につながるのか。その答えは、同社の工場にしっかりと息づいている。
決して「最新鋭のロボットが整然と並ぶ無人工場」ではない。多種多様なワークが、洗練された生産管理システムとスケジューリング、そして創意工夫に満ちた「治具の使いこなし」によって、淀みなく流れていくリアルな現場である。
「標準品をいかに上手く使い、多品種変量生産を実現するか」という同社独自の治具構築の考え方はもちろん、現場のリーダーたちがどう判断し、改善を重ねているのか。その実際の運用風景をその目で確かめることは、自社の課題を解決するためのアイデアや、治具の新たな可能性を発見する大きな足がかりとなるだろう。
「歴史が長い企業が、なぜこれほどまでに変化し続けられるのか」。その問いに対する答えは、伝統の技とノウハウを大切にしながら、AIという新たな武器を手に現場を変革し続ける、ナベヤの社員一人ひとりの姿と、進化を止めていない現場のあり方に見ることができる。


