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半導体・水素・航空宇宙・医療分野へ広がる、研究開発型めっき企業――九州電化|人工衛星から豪華客船まで、現代の名工2名が支える多品種開発型企業

半導体・水素・航空宇宙・医療分野へ広がる、研究開発型めっき企業――九州電化|人工衛星から豪華客船まで、現代の名工2名が支える多品種開発型企業

株式会社 九州電化

掲載企業株式会社 九州電化

主要3品目
  • 金属表面処理

  • 電気めっき全般

  • 無電解めっき

従業員数

84名(令和7年10月1日 現在)

難材料への特殊めっき・大物めっきの最後の砦

「最後に行きつくところが九州電化さんです」顧客から評価が、同社の特性を最も端的に言い表しているのかもしれない。他社では難しい難素材への特殊なめっき、他社では加工できない大きなめっき。卓越した技術者と充実した設備、そして常に挑戦し続ける社風で、困難なめっきを一手に引き受ける。それが株式会社九州電化だ。

株式会社九州電化は福岡県福岡市のめっき専業メーカーであり、取り扱うめっきの種類は60種以上にも及ぶ。多種類に加え、最大で6mまで対応できるなど、大物めっきも得意としている。同社の多品種少量生産は一味違う。半導体製造装置や水素関連機器、航空宇宙、医療機器、などの最先端な特殊めっきから、豪華客船や観光列車の内装、ショーウィンドウなどの装飾めっきまで広く取り扱っている。めっきの種類だけでなく、業界も管理項目も品質基準も何から何まで異なる多種多様なめっきに対応している。

「当社のような多品種開発型企業は現場スタッフのレベルが高くないと仕事が回らない」と語るのは、代表取締役社長 吉村浩司氏だ。全国めっき技術コンクール優勝歴を持つ2名の品質のスタッフが現場を全て把握し、めっき技能士1級を保有している12部署の係長がいるからこそ、顧客からの多品種の依頼にも柔軟に対応できるという。全国の同業者からの依頼も多い。特に難素材への特殊めっき&大物の案件で同業者からも頼られるめっき会社なのだ。

自社研究開発部門で次世代めっきを技術研究
めっきで新技術・新素材の課題解決

同社は先端技術イノベーションセンターを保有するほか、福岡超集積半導体ソリューションセンターに2年前より入居し、次世代半導体の研究開発に行っている。最近では名古屋大学との研究開発を行い、産学連携にも積極的に取り組んでいる。また金属代替として注目されているCFRPやGFRPは、軽量なものの樹脂であるため真空環境ではアウトガスが発生し真空度を下げてしまう。そこで同社のアウトガス防止めっきが液体水素タンクなどの真空断熱部に採用されている。またCFRPへの電磁波シールドめっきは航空宇宙産業に採用されている。繊維強化プラスチックだけでなく、めっき密着度が弱いスーパーエンジニアリングプラスチックなどにもめっきを施す技術開発も進行中。新素材の課題解決にめっきが生かされているのだ。九州は半導体のみならず、種子島宇宙センターが近いこともあって宇宙業界がトレンドになりつつあるという。

同社が開発した黒クロムめっきは、正反射率ゼロを実現。現在、半導体製造工程の検査装置などに採用されている。可視光だけでなく、赤外領域での低反射にも対応し、2026年はさらに拡大していきたい考えだ。重粒子線がん治療機の加速器(1200㎏)に同社のめっき技術が使用されたことを契機として、海外から陽子線がん治療機へのめっきも受注した。

また、長期間劣化しない電気接点用の皮膜として金めっきに代わる複合めっきを開発。これは福岡県工業技術センターとの共同開発で特許も登録となった。複合めっきとしては珍しい大型量産ラインも設置した。「貴金属が高騰している今だからこそ、注目を浴びるめっき技術になりそう」と専務の山田氏の言葉には力が入っている。

可視光~赤外域でも低反射な黒色めっき
金めっきのコストダウンを可能にする炭素複合めっき

挑戦を続ける文化こそが、九州電化の最大の強み
生産性向上を追求し利益を確保するからこそ、研究開発が続けられる

「諦めずに最後までやれば、必ず成功します。できる仕事ではなく、できない仕事を取りたい。当社は失敗することではなく、挑戦しないことに厳しいという社風なんです」と専務の山田氏は話す。「技術屋なので、通常ではできないことができるようになるのはやっぱり嬉しいですね。そこに仕事の喜びや充実感があります」と話すのは、自身も現代の名工に選ばれている吉村氏だ。めっき会社にして初めて、現代の名工2名を擁し、全国めっき技術コンクールなど数々のコンクールで華々しい受賞歴を誇る。技術に絶対の自信を持ち、常に課題に取り組む社風が、九州電化の何よりの強みであり魅力なのだ。

だが、開発案件ばかりでは会社として利益を上げていくことは難しい。そこで同社は自動車メーカーより講師を招き、生産性と品質を徹底的に改善し続け今年で18年目になる。めっき技術だけでなく、生産管理技術の両輪がうまく機能しているからこそ、新規案件に取り組むことができるのだ。研究開発については情報収集して補助金などもうまく活用しているという。

「経営層と営業部と技術開発部が共通認識を持ちながら、どの案件を優先していくかと話し合う会議が活発に行われるようになってきた。営業としては、さまざまな業種の案件が入ってきても、一緒になって聞いてくれる技術開発部がいるのが心強いですね。技術者のレベルアップと利益をしっかり確保していきたい」(山田氏)

従来のめっき技術、仕事のやり方では、生き残っていくのは難しい――めっき業界は変革の時にある。だからこそ今後成長していく分野、もしくは自社開発技術によって新たな道を切り開いていく。成長している会社には、確かなビジョンと信念がある。

重粒子線がん治療器への厚付け銅めっき
液体水素(-253℃)保管を可能にした
GFRPへのアウトガス防止めっき

製品情報

  • 各種装飾めっきいたします

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