業界特集
株式会社光和(長野県埴科郡)
掲載企業株式会社光和
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主要3品目
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プラスチック精密金型設計・製作
プラスチック製品試作成形
金型部品加工
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従業員数
30人
株式会社光和は短納期を強みとしていた金型メーカーだった。脅威となり始めていた中国に対抗すべく、生産性を上げ、なるべくコストを抑えて金型を量産することにこだわっていたのだ。だが2014年、二代目である古田和幸氏が代表取締役に就任すると、路線を大きく変更した。最新の技術に取り組み、設備投資を積極的に行う。「どこよりもうまく使いこなして、いいものを作りたい」― 。
古田氏は金型のブランド化に取り組み、「スピードの光和」は「高精度・高品質の光和」に生まれ変わったのだ。だが、すべてがうまく運んだわけではない。年間300型を製造する同社は残業も多く、社員の声に耳を傾けると不満も多いことに気付いた。そこで年間休日を22日増やし、労働環境の改善を図った。
稼働が減った分の売り上げの減少は見込んでいたものの、気持ちの弱さが現れてしまったのか見込みよりも大幅に売り上げが落ち込んでしまったのだ。2022年度の売り上げは過去最低を記録し、会社の存続自体も危ぶまれた。「仕事は集めないとだめだ」。古田氏は積極的に営業活動を行い、さらに協力会社のネットワークを作り上げ、社内のキャパシティをオーバーする分は協力工場に振り分けた。これによって2023年度は一転、過去最高の売り上げを記録したのだ。前年に比べると残業は再び増えたが、それでも以前より労働環境は改善している。現在も社員からのヒアリングを行いながら良いバランスを探りつつ、体制づくりをしている。短い期間にこれだけの変革を行ったことで、社内体制の問題点も浮き
彫りとなった。売り上げが大きく増減しても、経費にそれほど差が見られなかったのだ。経営者だけでなく、現場が細かく数字を追いかける体制作りや意識付けをし、利益率の改善にも取り組んでいる。
大きく方針を転換しても、引き続き取り引きを継続している会社は何社もある。それは技術力だけでなく、製造する金型が常に先を見越した「気遣い」に溢れているからだ。金型製造の肝となるのは、いかに良品が製造できるかにある。顧客が求めるのは金型ではなくその先の製品なのだ。同社はトライ専用の成形工場を作り、いつでもトライを行える環境を整備した。さらにM I M(金属粉末射出成形)金型や、EV自動車のモーターには不可欠であるインシュレーター(絶縁体)など、先端技術を先んじて取り入れ、新規技術の開発に協力してきた実績がある。「金型作りのノウハウの蓄積は他には負けません。今後は開発の上流へ入り、一緒になっていいものをつくっていきたい。メーカーには型屋の技術をもっと活用してほしい」と古田氏は話す。三代目となる予定の息子も入社し、今後はさらに営業力に磨きをかけていきたい考えだ。光和の進む道は明るい光に照らされている。