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「ただ孔を開けるだけではない」 繊維ノズルで培った技術力で、半導体・医療バイオ分野へ挑む 

「ただ孔を開けるだけではない」 繊維ノズルで培った技術力で、半導体・医療バイオ分野へ挑む 

株式会社化繊ノズル製作所

掲載企業株式会社化繊ノズル製作所

穴あけ技術+流路設計
「孔」に付加価値をもたらす技術力 

株式会社化繊ノズル製作所の創業は1948年。その社名が示す通り、合成繊維用のノズルの開発・製造からはじまった会社だ。1990年代になるとさまざまな機能性を持った合成繊維が生み出された。合成繊維は材料だけでなく、そのノズル形状によって特性を付与することができる。1つの孔から異なる樹脂をいかにうまく流すかなど、流路設計も肝になる。同社は専用ノズルを開発することで事業を拡大していったのだ。化繊ノズル製作所は自社内にR&Dセンターのみならず開発用ラインを持っており、独自の繊維開発も行っている。ノズルの構造などで特許取得も積極的に行っているという。大手繊維メーカーには開発用ラインを持っていないことも多く、そうした企業と共同で開発を行うことも少なくない。現在でも毎週のようにテストが行われているという。 

現在は繊維に加え半導体が大きな柱となっている。同社は創業時からノズルを製造するための小さな孔加工に必要な工具を自社開発していた。まだ市場には小径工具が存在していなかったためだ。こうして蓄積された技術力とノウハウが、同社の現在に至る発展を支えている。1990年代から半導体関連事業にも着手し、部品加工から装置組立などによって関係性を深め、2025年には半導体製造装置の組立を行う新工場「早雲VILLAGE」を建設。クリーンルームも完備したこの工場では、部品組み立てから最終検査までワンストップで行うことができる。今後もさらに半導体需要を取り込んでいきたい考えだ。 

「ただ孔を開けるだけではだめです」――化繊ノズル製作所の技術の粋はそこにある。溶解した樹脂を流し込み安定して排出するためには、ただ孔を開けるだけでは不十分なのだ。加工寸法のみならず、一切のバリを許さない優れた表面品位。微細加工技術に加えた流体制御技術。こうした1つ1つの技術力の高さが、繊維だけでなく半導体業界から信頼を勝ち得る秘訣なのだ。同社が製造する部品や製品は、1個単位のものから数千個までと幅広い。常に最新の電子顕微鏡を揃え、重要な個所についてはSEMを用いた全数検査を行うという。孔に何が通るのか。それによって求められることは大きく変わってくる。繊維で用いられる高粘度の樹脂から、レジスト液といった低粘度のもの、そして光などさまざまなものを通過する孔を同社は加工している。ガス用のマスフローメーターや、現在引き合いが増えているのは半導体用の電子ビーム用アパーチャなど新事業にも積極的に取り組んでいる。 

FIBと機械加工の複合技術でサブミクロンの境地に挑む
繊維の技術を生かし、医療・バイオ分野にも挑戦 

「自社技術とFIBが融合すれば、面白いことができるかもしれない」半導体で用いられていた FIB加工機(集束イオンビーム装置)の導入を決めたのは経営者の判断力だ。最先端の半導体研究ネットワークに参加していた同社は、2010年以前から FIBを導入。現在では4台保有している。通常は半導体チップの断面出しに用いられるこの装置を、同社は微細加工に用いている。FIBは加工スピードが非常に遅い。だが同社では工具で荒加工してから最終的な孔あけをFIBで行うという複合技術で強みを生かしているのだ。

FIB Si凹

ほかにもワイヤカット放電加工機は加工表面が粗くなってしまうため、同社では同寸法の工具を作り、上から下に向けて突くことで鏡面加工が可能となる。「繊維では当たり前にやっていたことが、半導体に生かされています。70年以上前からこうした微細加工技術が自然に育っています。そこにFIBが入ることによって、ナノオーダーの加工まで提案できる体制になっています」 

FIB 超硬材溝
FIB 0.1μm孔

FIBと機械加工で製造されている製品の1つに半導体の電子ビーム用のアパーチャがある。従来ではエッチング加工によって開けられていた微細な穴加工を、FIBと機械加工の複合加工に工法転換したという。アパーチャはコンタミを非常に嫌い、絶縁物の異物やバリがあることでビームが乱れてしまう。顧客からは1μm以下のバリでさえ指摘が入るという。同社の製品は高い真円度と孔の内面が美しいことで、非常にきれいなビーム特性を得られると顧客から高い評価を受けている。 

マスク用不織布やフィルムなど、医療用途でも同社の技術は広く用いられている。繊維用のノズルやTダイだけではなく、精密な部品加工も多い。今注目しているのはバイオフィラメント。これはまさに繊維の技術を生かした技術なのだ。人間の組織は繊維状のものが多い。大学と共同開発を行い、技術を確立してきた。産官学連携の新事業にも積極的に参加している。特に医療関係では、知財戦略の強化を図っていきたい考えだ。 

図面を支給されて部品を製造するだけでは、どうしても価格面での競争になってしまう。同社が目指すのは、開発段階から顧客と共に技術を確立し、そして時には規格作りまでを行うスタイルだ。「弊社は経験豊富な職人が多く、どういう構造にすれば作れるかという提案ができますし、注文をいただく前に試作して、お客様に使ってみてくださいという提案もしています。液を塗布するようなノズルでは、たとえば何mmまではまっすぐ飛ばないといけないという規格作りのようなところまでお客様とやることで、図面をもらうだけではない、双方向のコミュニケーションを通して良い製品を作り上げたい。こうした柔軟さがお客さまに認めていただくチャンスにもなると思っています」 技術的な提案をしていくことで付加価値をつける。中小企業ならではの機動力と、独自の技術力を生かした提案力が化繊ノズル製作所の何よりの強みなのだ。 

掲載会社情報

株式会社化繊ノズル製作所

株式会社化繊ノズル製作所

所在地
〒715-0003 岡山県井原市東江原町838
TEL
0866-63-0641
FAX
0866-63-0752
URL
https://www.kasen.co.jp/

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