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​​FIB(集束イオンビーム)装置で、ナノオーダーの微細加工と“分析のトータルデザイン” を実現​ 

​​FIB(集束イオンビーム)装置で、ナノオーダーの微細加工と“分析のトータルデザイン” を実現​ 

セイコーフューチャークリエーション株式会社

掲載企業セイコーフューチャークリエーション株式会社 機器分析・微細加工(FIB加工)

主要3品目
  • FIB微細加工・IC回路修正

  • 受託分析サービス

  • FA(ファクトリーオートメーション)システム

千葉県松戸市のセイコーフューチャークリエーション株式会社は、セイコーグループの未来を創るR&Dの拠点だ。セイコーグループの研究開発機能と、分析業務に特化したセイコーアイ・テクノリサーチ株式会社が統合する形で、2022年に発足した。同社は現在のセイコーグループにおけるR&D活動の中核を担っており、腕時計で培った低消費電力設計を活かしたIoTデバイスや、正確な時刻同期システムを応用した屋内・地下向け高精度位置測位システムなど、時計技術を発展させた画期的な製品を次々と世に送り出している。 

そして、同社ではセイコーグループ内のR&Dだけでなく外部からの受託サービスも展開している。前身時代を含めて40年以上の歴史を誇る同社の分析サービス事業では、集束イオンビーム装置(FIB)を利用した分析や微細加工を手掛けており、半導体・エレクトロニクス産業を中心に幅広い顧客から高い評価を受けている。 

イオンビームでnmレベルの削り・堆積加工が可能
— セイコーグループが世界初の製品化に実現した、「FIB装置」とは
 

では、同社の受託分析サービスのコア技術となるFIBとはどのようなものなのだろうか。 

FIBとは対象物にイオンビームを照射することで表面の加工・観察を行う手法のことで、ナノオーダーでの超精密な加工が可能だ。レンズによって細く(数~数十nm)絞られたイオンビームが対象物に衝突すると、表面の原子が弾き出される(スパッタリング)。FIBではこの作用を用いて微細な削り加工(エッチング)を行うほか、金属を含んだ有機ガスをチャンバー内に流し込み、イオンビームによってガスを分解させることで、対象物表面に金属を堆積(デポジション)させることもできる。 

FIBによるエッチング加工

イオンミリングやクロスセクションポリッシングなど、イオンビームを用いた加工は他にもいくつか存在するが、FIBの最大の特徴は「ナノオーダーの分解能」だ。FIBでは細く絞られたイオンビームと、ビームおよびワークステージの高精度位置制御により、高い分解能のものでは10nmオーダーでの加工ができるなど、他のイオンビーム加工装置(一般的にミクロンオーダーの加工が中心となる)と比べて圧倒的な高精度加工が可能なのだ。バルク(材料の塊)からナノ精度でワークを削り出そうとすると、FIBがほぼ唯一の選択肢となる。近年では装置の進化も進み、海外製のものを中心に1mm程度の大型のワークに対応した装置もあるほか、イオンビームを制御するソフトウェアにも改良が加えられ様々な形状を削り出せるようになったという。 

そんなFIB装置だが、実は初の産業向けFIB装置を世に送り出したのはセイコーの当時のグループ会社であるセイコーインスツルの科学機器事業部(※現在の日立ハイテクアナリシス)なのだ。1985年、同社ではFIBを用いた半導体マスク修正装置をまず製品化した。かつて半導体の回路修正にはマスクの新規製作が必須だったが、この装置によって直接マスクリペアを行うことが可能となった。 

「半導体向けのFIBマスクリペア装置を出した1年後くらいにイオン顕微鏡を作ろうとしたらしいのですが、担当者が長時間イオンビームを照射したところ、ワークに穴が開いていたようです。そこからイオンビームで形状加工する汎用加工装置FIBの製作の着想を得たそうです」と当時を知る担当者は説明する。当初はほぼ半導体業界のみで用いられていたFIBだが、同社が汎用FIB装置を製品化したことで加工・分析装置として普及、現在では海外も含め複数のプレイヤーが様々なFIB装置を販売するようになった。 

ナノインプリント金型や工具加工、半導体の治具作成まで様々な用途
— ダイヤモンドなど難削材の形状加工にも対応
 

「FIB装置の生みの親」とも言える同社は、長年蓄積されたノウハウを発揮してFIBを用いた様々な加工を手掛けている。中でも多いのは試作関係だ。FIBでは、切削加工では対応できない非常に硬い材質への形状加工ができる。この特長を活かして、同社ではナノインプリント(NIL)向けのダイヤモンド製試作金型やダイヤモンド工具へのパターン加工など、特殊な材質への微細加工を手掛けている。 

半導体周辺の需要も旺盛だ。元々半導体内部配線の切断や再配線による回路修正を行ってきたが、近年では半導体チップの微細化が進み、FIBで半導体内部回路の直接修正ができないケースも多くなった。一方で、半導体チップの試作や不良解析においては、特性評価のための配線修正需要は依然として多いという。半導体チップの測定プローブを当てるプロービングパッド形成がその代表例と言える。「半導体チップのプロービングパッドや再配線のためのビアは既存回路の空きスペースを掘って製作することが多いのですが、穴を開ける場所や方向によっては削りカスがうまく排出されなくなってしまいます。どのようにビームを照射するかは我々のノウハウが活きる場所です」と担当者。半導体デバイスは金属や有機材料など複数の異なる物性を持った材料で構成されているため、ビーム照射強度のコントロールにも長年蓄積した知見が欠かせないという。 

ナノオーダーの加工精度をコアに、分析全体までトータル提案
— FIB加工だけにとどまらない、セイコーフューチャークリエーションの受託分析
 

FIBでできることは削りや堆積だけにとどまらない。FIBを用いてサンプルを切り出してSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することで、分析手段の一部として用いることも可能となる。「FIBを用いると、ナノメートルオーダーの幅で精密に試料を切り出すことができます。切り出した断面はチャンバー内に組み込まれたSEMですぐに観察できるので、切断と観察を繰り返してすばやく内部分析を行うことができます」と担当者。半導体の分析だけでなく、めっきの変色部分の原因分析など、半導体以外の製造業からも同社には様々な依頼が寄せられているという。 

同社の分析の大きな強みは、単なる試料作成や観察のオペレーション受託にとどまらないことだ。同社ではFIB装置の開発とほぼ同時期から分析事業も手掛けており、これまでに40年以上の実績を有する。加えて、半導体業界を中心とした先端産業との長年の取引の中で様々なノウハウや専用の分析装置も取り入れてきた。これらのリソースをフルに活用することで「分析そのもののデザイン・提案」からコーディネートすることが可能なのだ。近年では機械学習や高度な画像処理技術なども用いた分析を行なっており、試料を測定した結果をCADデータに起こして顧客に提出した事例など、設計と実物の差異を迅速に把握できるような手法も提案しているという。 

FIBを用いた分析・加工の今後について同社担当者は、「近年では半導体や自動車など、様々な業界で多くの新素材が出てきています。これらの材料研究で物性の基礎データを取るために、FIBの出番は今後も増えていくだろうと感じています」と期待を込める。世界で初めて産業向けのFIB装置を送り出してから40年。セイコーフューチャークリエーションはこれからも、FIBを中心に時代の最先端を行く受託ソリューションを展開していくことだろう。 

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