成長企業の経営戦略
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労働環境のカイゼン、技術革新、そして企業イメージアップ 鋳造業界のモデル工場を目指し、鋳物の「未来を作る」――株式会社トミナガ
株式会社トミナガ
掲載企業株式会社トミナガ
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主要3品目
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繊維機械用鋳物部品
船舶用鋳物部品
射出成形機用鋳物部品
小物~中物鋳物部品をまるっと対応
工業技術センター並みの検査設備も自慢
高知県高知市に本社を置く株式会社トミナガ。鋳造業界では小物から中物サイズを得意とし、小ロット多品種に対応。射出成形機、工作機械や繊維などの産業機械や船舶などの鉄系鋳物部品の製造を行う企業だ。安定して誠実なものづくり、顧客ニーズをくみ取る対応力は多くの顧客から高い評価を得ている。
鋳物は工程が多い。トミナガならば型設計、鋳造、熱処理、機械加工や組立、そして各種検査を自社内で完結させることができる。特に鋳造はその特性上、外観では分からない内部不良が発生しやすいが、同社では超音波探傷検査(UT)・浸透探傷検査(PT) で非破壊検査を行い、3Dスキャナや三次元測定機を用いた寸法検査、成分分析による材料・材質検査、デジタルマイクロスコープによる組織検査、強度試験といった工業技術センター並みの検査設備と運用オペレーターを社内に保有している。同社にまるごと任せるだけで、顧客は煩雑な納期管理をせずとも仕様通りの部品が手に入るというわけだ。短納期対応も多く、ユニットで受注できるため部品同士の嵌合など不具合が出た際も速やかに対応できる。非量産系の鋳物工場でここまで対応できる会社は多くなく、西日本のみならず、多くの企業にとって頼もしい存在であると言える。「検査機器を取り揃えるのは研究開発も兼ねています。さまざまなノウハウを蓄積していくことで、何が不具合の要因になるのかという知見を収集し、今後は技術に転用していきたい。顧客に対しても単なる VA提案に留まらず、価値を高めるにはどうすればいいかを提案していきたいと考えています」と語るのは、代表取締役 島田誠氏だ。

対応力の高さだけでなく、鋳造技術の高さにも定評がある。日本で唯一、ドイツの国家資格である鋳造マイスター・鋳造テヒニカの両資格を取得している技術者が在籍しており、技術力もさることながら、技術継承にも力を入れている。鋳造は業界全体として規模の小さな会社が多い。若い人材が減り、現場の後継者や技術者が減っているという。日本鋳造協会の役員も務める島田氏は語る。「鋳造は他業界に比べると重作業の割には待遇が良いとは言えません。業界的な魅力がなくなっているのが課題です。結果的に若い人が我々の業界に門を叩く機会が減り、すでに残念ながら外国人に頼らざるを得ない状況になっている。若い人が入りたいと思う魅力的な業界にならなければならないと考えています。」そこに一役買っているのが、トミナガの企業キャラクター、トミネコなのだという。
産官学連携で生まれた鋳物の猫「トミネコ」、今や会社の顔に
トミナガのWEBページを開くと、イエローが目を引く。そこに描かれたシンプルなデザインながら愛嬌たっぷりの猫のキャラクターが目に飛び込んでくる。鋳物業界のイメージとは全く異なる設え。この猫のキャラクターこそが「トミネコ」だ。トミネコは最初から企業キャラクターとして生まれたわけではなく、産官学連携で作られた鋳物製の猫の像を、高校生たちが気に入ったことから自然発生的に生まれたという。経産省を始めとしてさまざまな関係先にトミネコ像はプレゼントされ、日本鋳造協会が発行する鋳造ジャーナルの表紙を飾ったこともある。トミナガだけでなく、日本の鋳造業界全体を象徴するキャラクターに成長しつつあるのだ。

鋳造は身近なものでありながら、どこか近寄りがたいイメージがある。トミネコは子どもにも大人気。トミネコの親しみやすさが、鋳造業界全体のハードルを下げることに貢献しているのだ。「トミネコのお陰で会社の雰囲気も明るくなりました。女性社員が活躍してPR活動の成果も出てきています。鋳物を知ってもらう機会を増やすため、親子工場見学会や鋳物体験教室も開いています。鋳物や地元の産業を知ってもらういい循環ができていると感じますね」と島田氏も太鼓判を押す活躍だ。


鋳物を魅力のある産業に
もちろん、トミネコの活躍だけではない。職場環境改善にも力を入れている。女性が活躍できるようサポートにも力を入れており、今後も女性比率を上げていきたい考えだ。自社開発の生産管理システムは、高知デジタルアワードで3位を受賞。トレーサビリティやポカヨケ対策、資材発注システムなど、業務をやりやすくするための仕組みは、ここ数年で大幅にレベルアップしているという。
高知県は若者減少ランキングでは、秋田県に続いてワースト2位だ。だがその中でも、トミナガは採用を続けている。年功序列ではなく、実力主義のジョブ型採用、職場環境の改善、企業イメージの向上というさまざまな施策が実を結び始めている。鋳造業界の先進技術を導入したモデル工場であるべきと考え、技術開発や設備導入にも積極的だ。特殊材質の開発も行っている。「高知にトミナガあり、と言われる会社に成長していきたいですね。社員が家族に誇れる企業でありたい。憧れの職場になろうというのが一つのビジョンです。さらに自社だけでなく、鋳物の価値を高め鋳造業界全体の未来を作っていきたい。鋳造の仕事は総量が減少傾向です。他社のパイを奪うのではなく、鋳造業界全体の価値を高めることで、みんなが稼げる業界にならなくてはと考えています。時間はかかりますが、堅実、健全に前に進めていきたいですね」

工場見学会のポイントは
トミナガでは鋳造を夜間電力で行っているため、見学会では実際の鋳造工程の見学はできない。だが、DX化を始めとして現場改善の実例は、多くの企業の見本となることは間違いない。「残念ながらこれぞ鋳造という現場は、映像でしかお見せできないので少し残念です。ですがそれ以外の前後工程とその仕組み中小企業の等身大のDX実装事例をぜひ見て頂けたら」

