成長企業の経営戦略

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挑む経営者特集 第7回 -HILLTOP 山本勇輝氏- 環境ではなく、意識が経営者を育てる フラットな目線とゆるぎない意志で製造業に革命を起こす

挑む経営者特集 第7回 -HILLTOP 山本勇輝氏- 環境ではなく、意識が経営者を育てる フラットな目線とゆるぎない意志で製造業に革命を起こす

HILLTOP株式会社 
代表取締役社長 山本勇輝 氏

掲載企業HILLTOP株式会社

主要3品目
  • 産業機器部品(アルミ切削部品)

  • 自動車メーカー向け試作部品(5軸形状)

  • 光学系部品(各種アルマイト処理)

従業員数

130人

異業種から家業へ 「違和感」が経営改革の出発点に

「僕が何か能力があるわけではないと思っています。経営者の息子に生まれたのはたまたまであって、能力があるかどうかは別の話。優秀な経営者の息子や娘が、優秀かどうかは全く無関係です。違いがあるとすれば、入社した時の志の高さを維持できるか。志が高い状態で過ごしている期間がどれぐらいあるかだと思っています。経営者になるという決意を持った状態で過ごす3年間と普通に入社して過ごす3年間では、気づきや吸収力はかなり違うはず。経営者としての素地は、僕はその意識と、意識を持って過ごした時間が作っていくと思う。ですので、入社して最初の3年間は、結構重要だったかなと思います」――そう語るのは、製造業の常識を覆し続けてきたHILLTOP株式会社 代表取締役社長 山本勇輝氏だ。HILLTOP株式会社は京都府宇治市に本社を置くアルミの切削加工を得意とする部品加工メーカー。中小企業でありながら、その製造現場はDX、自動化され、注目を浴びている。職人の知識や経験をデータ化し、加工プログラム作成を支援する独自システム「HILLTOP System」によって、社員の業務は、現場での加工作業中心から、オフィスで加工データを作成・管理するプログラミング業務中心へと変化した。そしていま、業務拡大と成長を続けている。

HILLTOPに入社する以前は大手企業で営業の仕事をしていたという山本氏は、製造業に対していいイメージを抱いていなかった。大手企業とは異なる業務のスキームや現場の在り方についても違和感が多かったという。2007年、家業であるHILLTOPに入社し「ありがたいことに現場の下っ端からのスタートだった」という山本氏は、その時点で経営者になる決意を定めた。当時はちょうどCADCAMソフトの入れ替えタイミングだったことも、山本氏にとっては追い風だった。加工現場は経験値の差による序列が生まれやすいが、新しいものを導入するタイミングであれば、全員が研修を受けながらの横並びになるからだ。使い慣れていないものはどうしても時間がかかり、日々の業務に追われているとなかなか浸透しない。山本氏はこれをチャンスと捉え、コツコツと予習をしつつ、いつしか現場の誰よりも早く習得した。時には上役のマネジメントのサポートを行いながら徐々にチームの信頼を勝ち得て、現場での存在感を示したという。

リーマンショックをきっかけに生み出した「HILLTOP System」製造業の在り方を大きく変容させ、急成長を遂げる

これまでは、加工データを扱うのはベテランであることが通常だった。HILLTOPでは、多品種少量生産において機械の稼働以上にプログラミング工程がボトルネックになりやすいという課題に着目し、若く経験の少ない社員でもプログラミングに携われる仕組みづくりを進めた。さらにリーマンショック直前に多くの新卒社員を採用したため、「経験の浅い社員でも実務に関われる環境を整え、業務を通じて成長できる仕組みをつくる」という逆転の発想によって生み出されたのが、若く経験の少ないスタッフでもプログラミングができる仕組みである「HILLTOP System」なのだ。

PC作業には慣れていないが経験と知見を持つベテランスタッフと、経験はないがPC作業に苦手意識のない若いスタッフを融合させることに成功したこのシステムは、いかにして生み出されたのか。経験や現場ノウハウのデータベース化はどこの現場でも喫緊の課題として挙げられているが、簡単にうまくいくものではない。昔ながらの熟練者のノウハウは、長年の経験による感覚的な判断に支えられている部分も多く、言葉やデータとして整理することが容易ではないためだ。

HILLTOPでも、複数のベテラン職人に1つの製品のチャンピオンデータを作らせると全員が異なっており、その根拠を言語化することは難しかったという。そこで行動・条件の分布をマッピングし、成功しやすい部分に目星を付けゾーンを特定。実際に加工テストを行い、分析してデータを深堀りすることで、1年の時間をかけてシステムを構築した。山本氏は「リーマンショックで時間があったからできたことです。仕事がなくてピンチというよりは、逆に変化するための時間創出ができたという感覚が大きい。だからもしかしたらその時期が僕の中で一番寝る時間がなかったですね。もちろん最初はバグも多かったですし、現場に定着するまでには試行錯誤もありました。ですが、そのおかげで生産量も一気に向上して、今はこれがベースになっています」と語る。実際に、ここからHILLTOPは大きな成長を遂げていくこととなる。

アメリカで起業の経験を積んだことが、新しいビジネス拡大の素地を作る

2012年、山本氏は単身渡米した。シリコンバレーで勝負したいというHILLTOPの宿願に挑戦するためだ。マーケティングやフィージビリティスタディを経て、2013年に米国法人を設立。開業資金は社内貸与で、知り合いも顧客もおらず、英語も話せない状況だったという。事業承継の一環として課せられた厳しい課題だった。山本氏は見事結果を残し、世界の名だたる大企業からの受注を獲得した。「日本と違うビジネス文化を吸収できましたし、家業のアトツギでは経験できない起業のフェーズを体験できたことは大きな収穫でした。いまもベンチャーを立ち上げることに抵抗がないのは、アメリカでの経験があったことが大きい。最初の4年はほぼ行きっぱなしでしたが、楽しかったですね」と山本氏。2020年に帰国して常務となり、2022年HILLTOP創業60周年の節目に山本氏は代表取締役社長に就任した。

社長に就任した山本氏が新たに挑戦しているのは、ベンチャーの立ち上げだ。日本の中小企業は、新しいことに挑戦するリスクが大きい。挑戦しなくてはならないと理解していても、一歩踏み出せていない企業が多いのが実情だ。だからこそHILLTOPは挑戦をし続ける。無償の工場見学にもこだわり、堅持している。自らが率先することで、他社のベンチマークとなり、業界全体がボトムアップしていくことを期待しているからだ。

日本の技術力は素晴らしい。だがそれが1社単位の単機能では、海外の大手資本に買い叩かれてしまう。ビジネスの主導権をとるためには、自前主義ではなく複合技術の集合体で主導権を取り、大手のサプライチェーン上位へ回るスキームを構築していく必要があると山本氏は確信している。そうして設立したのが、HILLTOPとBIZYME株式会社、株式会社小松精機工作所が3社合弁で立ち上げたネクストコアテクノロジーズだ。「僕らがネクストコアでうまく成功させることができれば、こういうやりかたもあるんだと示すことができる。そうすれば製造業のボトムアップにつながると思っています」。

製造業が好きではなかったからこそ、製造業を変える。だれもが働きたいと思う業界にする。それは山本氏がHILLTOPに入社した時から抱き続けてきた思いだ。入社して20年。志を高く抱き続けてきたからこその今がある。

次世代経営者へ ― 経営者への道は、決意したその瞬間から

「まだ責任がないときに好き勝手やった方がいいです。勝負の経験がないのに、いきなり会社の全ての責任を背負って戦うのは怖すぎますよね。ですので、責任がない段階でとにかく一回挑戦してみることが大切」と山本氏。決意を持って、考え、行動した時間が、優れた経営者を作るのだ。

掲載会社情報

HILLTOP株式会社

HILLTOP株式会社

所在地
611-0033 京都府宇治市大久保町成手1-30
TEL
0774-41-2933
FAX
0774-41-2926

製品情報

  • 加工部品 同時5軸加工 表面処理 アルミ

  • 試作 自動車部品 5軸加工 A7075

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