成長企業の経営戦略
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1500t級プレス×精密板金の一貫生産とBCP対応力―廣澤精機製作所「筑西工場(通称:ザ・ヒロサワシティ工場)」が描く完全ワンストップ体制の未来
株式会社廣澤精機製作所
掲載企業株式会社廣澤精機製作所
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主要3品目
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金属プレス加工・組立
切削加工
精密金型設計製作
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従業員数
1,100名
創業90年超・年商260億円への足跡
―多角化と「共存共栄のM&A」で築いた盤石な事業基盤
株式会社廣澤精機製作所は創業から90年を超えた現在、茨城県つくば市に本社を置き、年商約260億円、従業員数約1,100名規模の製造企業へと発展を遂げている。もともと1935年、ブリキのおもちゃのプレス加工を開始したことから同社の歴史は始まった。その後、現・廣澤清会長と弟の實氏による兄弟経営のもとで事業基盤が拡大され、1977年には、取引関係にあった育良精機製作所の事業継続を支える形で資本参加を行い、グループへ迎え入れた。2014年には育良精機製作所と事業統合を果たし、現在の社名へと至っている。
プレス加工業界において一般的に抱かれがちな「自動車依存」のイメージとは対照的に、同社における自動車向け製品の割合はごく一部にとどまる。その主力領域は、複写機や大型印刷機の精密ユニット部品をはじめ、半世紀以上の実績を持つ農業機械、工作機械、白物家電、自衛隊向け特殊車両、半導体製造装置、ガス器具など、多岐にわたる産業分野に及んでいる。取り扱う製品の種類は約1万種類に達し、金属加工を軸とした多角的な展開を見せている。
主力拠点である筑波工場では、最先端設備による大物プレス加工や複雑な精密部品加工、タイムリーな供給を実現する溶接・組み立てラインが展開されている。また、手作りの良さを残しながら多品種小ロット生産を支えるファンモーター工場や、1,500t級プレス機を配した新工場のダイナミックな生産ラインなど、工場ごとに明確な特徴と熟練の技能が存在する。
さらに近年では、アミューズメント機器分野も成長を牽引している。インバウンド需要やオンライン遠隔操作ビジネスの拡大に伴い、急速に普及したクレーンゲーム機やメダルゲーム機において、同社は単なる部品加工にとどまらず、製品の組み立てから製品検査、梱包、出荷までを一手に引き受けている。また、複写機をはじめとするユニット生産においてはセル生産方式や多能工化を積極的に推進し、高い生産効率と柔軟な納期対応を実現している。


「大物プレス×精密板金」の融合と7拠点連携が生み出す圧倒的なBCP対応力
一般的な金属加工業界においては、プレス加工に特化した企業と、板金加工を専門とする企業がそれぞれ独立して存在する傾向が強い。しかし廣澤精機製作所では、大物から小物までの精密プレス加工と、多様なサイズの板金加工を社内で一貫して手掛けており、両技術を高度に融合させている点に大きな独自性がある。
この生産力を支える拠点として、同社は茨城県内の筑波工場、玉戸工場、建材工場、横島工場をはじめ、小山工場、上野原工場、新城工場という国内7拠点の製造体制と東京営業所を配している。具体的には、茨城、栃木、山梨、愛知に分散配置された4つの板金・プレス工場と、メカ系部品の樹脂化に応える射出成形工場、鉄道や防衛、データセンター向けに高耐久な鉄バネ製ファンを採用したファンモーター専門工場、高速道路や鉄道用の吸音板、さらに最近では工場や公共施設用の民間防音板の生産工場で構成されている。
とりわけ4箇所の板金・プレス工場には同等レベルの設備が導入されており、特定の拠点へ注文が集中した場合やBCP対応においても、他の工場が即座に生産を補完し合える体制が確立されている。単一の工場では消化しきれない突発的な負荷に対しても、社内の工場間連携で柔軟に吸収できる体制は、発注元企業にとって極めて高い安心感を与える要素となる。
この迅速な連携体制を機能させている背景には、代表取締役社長 柴田 清之 氏による泥臭く徹底した現場主義がある。柴田氏は毎月すべての工場および顧客のもとへ自ら足を運び、現場の稼働状況や顧客の生の声(ニーズ)を直接確認している。工場長や部門長との密接なコミュニケーションを通じて、社内の生産バランスをリアルタイムで最適化する運用がなされている。

新工場「筑西工場(通称:ザ・ヒロサワシティ工場)」の稼働と塗装内製化による完全一貫生産の真価
廣澤精機製作所は、建設機械分野などで需要が高まる厚物・大物加工能力を飛躍的に高めるため、1,000tサーボプレス、1,500tトランスファープレス、1,500t油圧プレスといった超大型設備の導入と拡充を進めている。
こうした強みをさらに強固なものとするべく、同社が推進している一大プロジェクトが、新工場「筑西工場(通称:ザ・ヒロサワシティ工場)」の建設である。2026年12月に竣工し、翌年度からの本格稼働を予定している同工場は、延べ床面積約6,000坪の規模を誇り、最先端の自動化・省力化システムを備えた次世代型の生産拠点となる。
また、工場の屋根部分には出力500kWの太陽光発電設備が設置され、環境負荷の軽減とサステナブルなものづくりの両立を図っている。
新工場の誕生によって実現する最大の革新は、塗装工程の内製化に伴う「完全一貫生産体制」の完成である。従来、大型部品の加工や組み立てにおいて社外の協力会社へ移送して行っていた塗装工程を自社内に完結させることで、部品加工から溶接、塗装、組み立て、最終完成品化に至る全工程が同一拠点内でスムーズに連結する。
移送に伴う時間とコストのロスを排除し、厳格なQCD管理のもとで完成品ユニットを出荷できる体制が整うことは、調達業務の負荷軽減を求める発注元にとって極めて大きなメリットとなる。同社は金属加工の技術をベースに、樹脂や機械加工領域までを包括した「メカ系部品の一括請負パートナー」としての地位をより一層固めつつある。






最先端ラインと産業遺産が同居する複合拠点「ザ・ヒロサワ・シティ」が提示する製造業の可能性
同社の生産能力や現場の熱量を象徴する場として存在するのが、生産拠点や関連施設が集積する「ザ・ヒロサワ・シティ」という複合エリアである。
このエリアは、廣澤清会長がかつてアメリカ視察の際に目にした「公園の中に工場や施設が点在する公園工場」の概念に着想を得て、地域貢献と働く環境の向上を目的に整備されたものである。広大な敷地内には現在、建設中の新工場にとどまらず、テーマパーク、美術館、ゴルフ場、こども園などが共存し、他に類を見ない独特の景観を作り出している。
さらに敷地内のテーマパーク「ユメノバ」には、航空機や歴代の鉄道車両やクラシックカーといった本物の産業遺産が展示されており、建築家・隈研吾氏が設計を手掛けた美術館や庭園とともに、訪れる者の感性を刺激する空間となっている。最先端の金属加工技術と歴史的な産業遺産、そして地域社会と調和する「公園工場」のビジョンが一体となったこの空間は、単なる生産拠点という枠組みを超え、日本の製造業が目指すべき現場のあり方やモノづくりの本質的な価値について、多くの示唆を与えてくれる。

