成長企業の経営戦略

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ベトナム新工場、時計宝飾開発部門など次々に事業拡大 精密鋳造のキャステムが、成長を続ける秘密を探る 

ベトナム新工場、時計宝飾開発部門など次々に事業拡大 精密鋳造のキャステムが、成長を続ける秘密を探る 

株式会社キャステム

掲載企業株式会社キャステム

主要3品目
  • ロストワックス精密鋳造部品 製造・販売

  • 金型レス鋳造デジタルキャスト 製造・販売

  • MIM(金属粉末射出成形) 製造・販売

キャステムグループ最大規模の拠点となるベトナム新工場が竣工
更なる海外展開を加速 

ロストワックス精密鋳造とMIM(金属粉末射出成形)のコア技術を武器に、国内外で存在感を示し続けている株式会社キャステムは、2026年1月ベトナム北部クアンニン省に新工場を竣工した。今後3~4年以内には加工工場を新設し、ゆくゆくはキャステムグループ全体で最大規模の拠点となる見通しだ。

キャステムの東南アジア拠点は現在、フィリピンとタイが稼働している。戸田拓夫社長は「海外はフィリピンが中核で、量産工場がタイとベトナムという流れ」と語り、フィリピンは開発センター的な役割を担い、今後はIT人材を集めてCADデータの作成やソフトウェア開発を行っていきたいという。タイをはじめとする東南アジアも人件費の増加は課題ではあるが、特にタイ工場は、一部領域ではすでに日本の本社工場を上回るほどの技術力を持つ。現地企業にも加工まで含めて高い技術力を持つ工場は他にはなく、今後も売り上げを伸ばしていく見込みだ。 

キャステムの技術力、そして企業力の秘密は「教育」にある。タイとフィリピン工場内では加工技術や金型における高専体制の確立を進め、徹底的に教育を行っている。東南アジアに進出した日系企業はじめ、多くの企業から信頼を得ているキャステムの技術力は、このようにして作られているのだ。ベトナム拠点をできるだけ早くフル稼働にすることがこれから数年の最大のテーマと掲げ、ベトナム工場にも同様の教育体制を作る予定だという。 

学歴では測れない「才能」を見つけ出す
若手社員が躍動する新事業 

代表取締役 戸田 拓夫氏

日本の本社工場に見学に来た人は、フロアで手を動かさずに頭を悩ませているエンジニアが多くいることを見て驚くという。だが戸田社長は断言する。「エンジニアの仕事は悩むこと。悩まずに着々とできる仕事は海外でもどこでもできる。それを本社工場でやるのはおかしい。それは仕事ではありません。」キャステムの強みは技術力にあるからこそ、戸田社長は「他社がやりたくないものをやる」という姿勢を貫く。難しいもの、複雑なものは不良率が非常に高くなる。だがキャステム以外にできるところがないとなれば、単価は高く設定できる。工程改善をして不良率が下がれば利益率は上がり、さらに技術的な蓄積ができるというわけだ。生産性の改善も物量が多く人件費の安い海外ならば効果的だが、日本で求められるのは「できないことをできるようにする」ことなのだ。だからこそキャステムは、できるまで技術的に突き詰めて考えることができる、現場に入って自ら技能を磨き上げていくことができる人材を求めている。それは学歴ではなく、自身の遊びや趣味、興味から培っていくもの。一種の才能だと戸田社長は話す。 

キャステムはそうした才能を持つ人材を見つけ出し、才能を生かす場を与えることにも積極的だ。キャステムの仕事は量産ではなく、ほとんどが特注品だ。そのため毎回異なる製品を効率的に製造するため、工程管理アプリ開発の内製を始めている。ある女子社員にDXアプリを担当させたところ、才能を一気に開花させ、次々に成果を上げていったという。これによって外部に委託していた部分を内製化することができ、社内のDX化が促進。今後もさらに自社内でIT分野を強化していきたい考えだ。 

また、2026年5月から京都で新たに時計宝飾開発部門が始動する。キャステムでは3年前から宝飾事業部を設立し、石垣島で真珠を養殖して加工している。2024年・2025年には日本最大級のデザイナーズジュエリーイベント「New Jewelry TOKYO」において各賞を受賞するなどすでに非常に高い評価を受けている。宝飾部門とも合わせ、高級ブランドとして市場にインパクトを与えていきたい考えだ。そしてその時計部門を統率するのは、「キャステムグループ1500人の中で、その技能レベルに勝てる者はいない」と戸田社長が太鼓判を押す22歳の若手社員だというから驚きだ。 

経営者に必要なのは才能を持っている人を見つけていく努力をすることだと戸田社長は話す。キャステムが地元企業と毎年開催している遊びの祭典もその1つなのだ。 

成長する企業の肝は「技能系企業」への追求と職場環境改善 

自社商品事業も好調だ。社員自らが考え、動き、作り出した製品からは大ヒット商品が次々に生まれている。医療・健康・介護・美容といったウェルネス分野の製品開発にも今後は注力していく。本格的な医療機器は参入ハードルが高いため、デザインがユニークであったり使いやすいなどの付加価値を付けつつ、ハードルが低い分野から実績を上げていきたい考えだという。常識にとらわれず、身の回りの至るものからチャンスを見つけ出す。枠にも型にも嵌まらない。すぐに行動に移す。そしてそれを下支えするのが、どんな困難も技術で解決していく技能だ。日本国内でも鋳造会社がどんどん活気を失っている中で、キャステムが輝き続けているのは、「技能系の企業にしていかなければならない」という戸田社長の信念が貫かれているからこそなのだ。 

そして社員がその才能を生かし、意欲を持って楽しく働き続けるために、キャステムは社内環境の整備にも意欲的に取り組んでいる。地方公共団体と粘り強く交渉し続け実現した社内託児施設には、子どもたちの笑顔が溢れている。休憩時間には子どもと食事をとることもでき、社内は自然体の家族的な雰囲気で着々と仕事が流れているという。女性社員も出産後、子どもの預け先に迷わずに業務に復帰することができるとなれば、多くの若く優秀な女性がキャステムを選んで入社してくる。女性社員が増えれば、自ずと男性社員も増えていく。 

「当社の工場見学で見て頂きたいのは、託児所を含む働きやすい環境、社員食堂の雰囲気、そして特注品中心の生産がどのように流れているか。流れ作業ではない柔軟なものづくりの現場です。ですがそれ以上に、表面的な制度や設備だけではなく、なぜその仕組みを作ったのか、社員がどう主体的に動いているのか、将来に向けてどんな思想で投資・事業化しているのかといった本質を感じてもらいたい」と戸田社長は話す。 

日本国内の鋳物産業は、後継者不足や人手不足などの問題を抱えている。製造業においてなくてはならない分野であるにも関わらず、閉そく感が強まっている。だがキャステムにはそのような重苦しい雰囲気はない。あるのは開放的で未来へ向かうエネルギーなのだ。 

掲載会社情報

株式会社キャステム

株式会社キャステム

所在地
〒720-0004  広島県福山市御幸町大字中津原1808番地1
TEL
084-955-2221
FAX
084-955-2065

製品情報

  • ロストワックス精密鋳造 最適な形状変更&一体化でコストダウン

  • 小ロット・微細部品のMIM化

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