業界特集
碌々スマートテクノロジー株式会社
掲載企業碌々スマートテクノロジー株式会社
-
主要3品目
-
マシニングセンタ
PWB加工機
専用機
超精密・微細分野で精度を追求するための複合・多機能化へ
研削加工を追加
高精度・微細加工分野において、圧倒的な支持を受けている工作機械メーカである碌々スマートテクノロジー株式会社。人手不足や効率改善と言った製造業全体の課題に対し、工作機械のトレンドは自動化や多機能・複合加工化だ。しかし、同社が目指す先は少し異なっている。代表取締役社長 矢野 雄介氏は「全ては高精度をいかに実現するか。お客様が実際に加工する上で、精度維持していくためにどうするか。碌々スマートテクノロジーは、高精度・微細加工という軸を何よりも重視しています」と揺るぎない自社のスタンスを示した。
碌々スマートテクノロジーがJIMTOF2026に出展するコンセプトは2つだ。1つは、前回JIMTOF2024で打ち出した複合加工機 AndroidⅢ-MTの進化版であり、ターゲットも明確化され発売可能な仕様として発表される。
同機はミクロンオーダーの超精密加工の分野で、いかに精度を上げていくかという軸で開発されており、工作機械の複合・多機能化は、工程集約などの文脈で語られることが多いが、そうした工作機械のトレンドとは一線を画し、精度向上のキーワードとして工程集約を掲げているのだ。
精密・微細加工において、複数工程をいくつもの機械で分けて作業することは珍しくない。だがミクロンオーダーが求められる製品において、その都度ワークの再セットを行うことは、精度維持にとってリスクになり得る。1回のセットで、1つの機械で全ての工程を行うことができれば、そうしたリスクは全て排除できる。そこで碌々スマートテクノロジーでは微細加工をベースとしたマルチタスキング機械を提案している。AndroidⅢ-MTでは従来の切削加工に加え、研削などの複合加工が可能だ。
さらに、これまでのAndroidではチョッピング研削時には熱変位が発生してしまっていたが、従来機と比べて約半分に抑える機械的な改善を行っている。またロータリードレッサーを追加し、電着砥石を用いたドレッシング対応で面粗度向上を実現した。1つ1つの技術は地味なようにも思える。だがそれは機械の完成度が高いからこそ。精度への要求が高まり続ける現状にあって、ユーザが精密加工を行っていくうえでいかに精度を維持できるのか。そうした視点で本質的な性能の向上を積み上げているのだ
水溶性クーラント液は蒸発する際に気化熱によって機内の温度を下げる。こうしたほんの少しの温度変化でも、超精密・微細加工においては精度に影響が出る。同社では気化熱への対応オプションも用意している。徹底的にユーザが高精度・微細加工を実現するかを重視した製品開発が行われていることが特徴であり強みなのだ。今後のMTシリーズは、研削以外にも「微細+何か」を順次追加していく方針だという。
微細分野の「見える化」を強化
デジタルツインの活用で品質向上を裏付け
2つ目のコンセプトは、デジタルツインと裏取りの強化だ。工具や測定機器が進化するにつれ、数値では表現しきれない面相度など、要求レべルはますます上がっている。微細加工では、CAMなどによるシミュレーションを行っていても、実際に加工してみないと分からない領域が存在する。例えば、面相度Ra 0.1 μmの要求仕様に対し、CAMでシミュレーションしてピッチを設定しても、実加工では実現できないことが少なくない。試し削りをしながらCAMを作り直すという作業が現場では今も行われているのだ。こうした作業は非効率であるうえ、属人化してしまうことは課題となっている。
「1μm動いているのかいないのかすら分からないようなレベルの微妙なラインを追求することが増えてきています。表面が少しだけ波打っているだけで、現在の鏡面の製品では分かってしまう。しかし改善するためにワークを計測しようとしても数字には表れない。そこで活用できるのがデジタルツインです」
同社では、Androidのパラメータを組み込んだシミュレーションソフトを開発。デジタルツインを活用することで、実際にテスト加工をしなくても機械がどのような軌道を描き、どのような挙動が起こるのかをシミュレーションすることができるという。事前シミュレーションの精度が向上すれば、より高い品質を作り込むことができる。
同機に搭載されているさまざまなセンサは、温度、振動、切削油の状態などさまざまなデータを収集し、実加工のデータを「見える化」する。デジタルツインによるシミュレーションとデータの見える化の両輪によって、精度の作り込みだけでなく、不具合原因の追究、そして品質の維持にもつながる。実加工で発生した不具合や精度のばらつきの原因が、機械的な問題なのか、それとも工具の摩耗などによるものなのか。デジタルツインと比較することで原因の切り分けが容易となる。良品ができたときと全く同じ状況を再現することができれば、工業製品を製造する上で欠かせない品質の安定性にも貢献するというわけだ。

「これまでは熟練職人による勘や経験で判断されていました。現時点では人の要素はまだ強いと思っています。デジタルツインの活用によって、微細加工のオペレーター、マシニングアーティストの改善の見える化の一歩にしたい。データを蓄積していけば、いずれはAIを活用につながる可能性はありますが、現時点ではそこまでは到達していません」と矢野社長は語る。今後さらなる機能の充実が期待できる分野だ。
工作機械の景況は好調
高精度微細加工分野のトップを走り続ける
工作機械の景況感はデータセンタの需要の高まりを背景に、非常に順調だ。碌々スマートテクノロジーでも半導体需要に応じるため、MEGAシリーズへ生産キャパを集中させており、今年度は前年度比で2割ほど増産体制を整えているものの、納期の長期化が現状であり、この状況はしばらく続くと見られている。

碌々スマートテクノロジーは、トータルソリューションを掲げる。機械だけで解決できない問題は、工具メーカとセットで提案する。セラミックなどの脆性材や新素材の対応にも細やかに対応している。今後も新機種や新オプションの開発は継続的に行っており、今後も順次発表予定だ。「当社は機械を売って終わりではありません。売ったところからのスタートです。当社の機械を使っていかにお客様が精度を出し、いかに儲けてもらうかが重要です。そのためのサポートは当たり前だと思ってやり続けています。微細加工分野では30年の蓄積があり、高精度微細分野を得意としています。お客様のお困りごとに対して即答できる営業マンを何人も抱えている企業は他にないと自負しています。今までできなかったものがあれば、ぜひ相談してください」――高精度微細加工分野の最前線を走り続ける碌々スマートテクノロジー。ブレない軸を武器に、高精度微細加工の可能性をどこまで広げていくのか。碌々スマートテクノロジーの次なる一手に注目だ。
