業界特別企画
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「サブミクロンの真円度を支えるのは、機械構造とクーラントの清浄度」| BUNRIのマグネティックセパレーターが、内面研削盤本来の性能を支える
BUNRI導入事例:入野機工株式会社
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ベアリング、エンジンシリンダ、歯車──内面加工にサブミクロンの精度を要求されるアイテムの加工で、半世紀以上にわたって愛される研削盤がある。それが入野機工株式会社の精密内面研削盤「YIG/IIGシリーズ」だ。シリーズ累計の出荷台数は3,000台以上、出荷基準で0.2μmの真円度を誇る同社のフラッグシップモデルだ。
そして、これらの製品には全てブンリのクーラント濾過装置「マグネティックセパレーター フェニックスNEO」が標準搭載されている。サブミクロンの加工を実現するための周辺機器として、なぜブンリ製品を選んだのか。入野機工株式会社の代表である入野氏と、製造部長の山賀氏に話を伺った。
◇ブンリ製品の採用に至った背景
ユーザーの声で、ブンリを知った
—ブンリとの出会いと、標準品として選んだ理由
同社(注釈:厳密には、前身となる山田工機)がブンリ製品を採用するようになったきっかけは10年以上前に遡る。以前は他社製のセパレータを採用していた同社だったが、クーラントの濾過精度が低かったほか、横幅も大きく顧客からの評判はあまり良くなかった。そのうちメーカーそのものが姿を消し、代替製品を探すこととなった。
代わりを探す同社にブンリの社名を教えてくれたのは、ユーザーだった。機械の納入や修繕で客先を回ると、他社の設備にブンリのセパレータが載っている。「お客様に教えていただいて、ブンリの社名を知りました」と入野氏。
実際に載せて出荷してみると、評判がいい。ブンリのセパレータは、微細な切粉(スラッジやスカム)を逃さず捕集する。仕上げに用いられる研削盤の切粉は極めて細かく、研削砥石の砥粒なども含まれる。除去の難しいこれらの不純物を確実に取り除き高い顧客満足を実現したことから、いつしか標準搭載品になっていった。「工作機械の後ろには、必ずセパレータが乗っていなければならない。精度の土台は機械構造によるものですが、その構造から生まれる性能を安定して発揮するためには、クーラントの清浄度が欠かせません。サブミクロン領域を追い込む研削ではクーラントの清浄度は、研削盤の性能を発揮するための極めて重要な要素になると考えています」と入野氏は説明する。
クーラントの汚れは、傷や寸法不良に直結する
—真円を極める製品における、セパレータの重要性
同社内面研削盤のユーザーには、ベアリング、自動車エンジン、歯車、測定用ゲージなど、超高精度仕上げが要求されるアイテムの工場が並ぶ。いずれも、仕上げの研削がアイテムの質に直結する製品群だ。もし切粉が取り除けず加工面に傷が入れば、ベアリングの転がりもエンジンオイルの潤滑も、設計と異なるものとなる。
「クーラントの清浄度に気を配るお客様の中には、クーラントを和紙に通して漉しているところもあります」と入野氏。精度を出せなければ商売にならない厳しい世界で戦う研削加工のプロ達に対して、精度の不安要素を残したままの研削盤を出荷するわけにはいかない。だからセパレータ選びも「入野」ブランドを構成する重要な要素なのだ。
◇なぜ濾過精度が高いのか?フェニックスNEOの強みとは?
同社の研削盤で加工されるアイテムの多くは鉄系、特に焼き入れ鋼が主な材料だ。磁性が弱い焼き入れ鋼をしっかりと捕集するためには、セパレータ側の磁力も重要となる。フェニックスNEOでは、一般に用いられるフェライトと比べて約10倍の磁気エネルギー(最大エネルギー積)を持つ希土類磁石を採用。ハイエンドモデルでは1000L/minの大流量でも10μm・95%以上の濾過精度を実現している。同シリーズではマグネットの磁力やマグネティックドラム径の異なる4機種をラインナップしており、ユーザーの加工条件やアイテムによって選ぶこともできるのも大きな特徴だ。

◇標準搭載がもたらすもの
「クーラントタンクは水槽と同じ」
—セパレータにおける除去性能は、生産効率に直結
「YIG/IIGシリーズ」のクーラントタンクの容量は120L。クーラント液の交換はユーザーの大きな手間になる。「更液となれば全てのクーラントを抜いて、タンク内を清掃、新品の液を入れることになります。1回30分以上はかかる作業です」と山賀氏。汚れたクーラント液は悪臭を放つこともあるため、人件費や消耗品費だけでなく、作業者の負担も決して小さくない。
「水槽と同じです。絶えず液がきれいになっていれば、沈殿物も少なくて済むし、液を変える回数も少なくて済みます」と入野氏は説明する。スラッジやスカムの除去性能が高いブンリのセパレータが搭載されていることで、液が汚れにくい。液が汚れにくければ、研削盤を止めて更液を行う回数が減り、稼働率がアップする。セパレータの性能は、工場における生産効率と設備の稼働率に直結しているのだ。
加えて、「フェニックスNEO」シリーズでは他社製品と比べて低い含水率も実現。排出されるスラッジが「カラカラに乾いた」状態で排出されるため、クーラント液の目減りが少ない。日々の液継ぎ足し作業回数も少なくなることで、ユーザーが本来の仕事である研削により注力できるのも、ブンリ製品の標準搭載がもたらす大きな副次効果だ。

◇今後の展開について
研削盤と共に、35年間動き続けるセパレータ
—「IRINO」「BUNRI」の二人三脚で、世界市場への進出を目指して
同社の研削盤の寿命は長い。1度出荷されれば、平均30〜35年以上にわたって顧客の現場で稼働し続ける。もちろん、周辺機器であるセパレータにも同じ期間の耐久性が求められる。「ブンリさんの製品は、研削盤の長期稼働にも対応できるような設計がされているので安心して標準搭載できます」と入野氏。最新バージョンとなる「フェニックスNEO」では摩耗しやすいコンベア部のスプロケット・チェーンを本体フレーム外部に移動させることで、クーラント液中のスラッジによる駆動部摩耗を無くしたほか、常にスラッジに晒されるマグネティックドラムも高い耐摩耗性を持つものとした。
研削盤本体とセパレータ──その2つが組み合わさることで実現する高い精度と耐久性を武器に、世界市場に進出していくことが、今後の同社の大きな目標の1つだ。「いずれは、パソコンみたいにうちの筐体にブンリのシールも貼りたいですね」と入野氏はそう言いながら微笑む。世界市場を目指して、「IRINO」「BUNRI」の二人三脚は今後も続く。

◇取材先について
入野機工株式会社は横須賀市に拠点を構える精密内面研削盤の専門メーカーだ。現・代表の入野氏が2020年、前身となる山田工機から事業を引き継いで新たにスタートした。昨年8月には横須賀リサーチパーク(YRP)内に工場兼事務所の新社屋を竣工。7期目となる現在で、すでにシリーズ累計3,000台以上の出荷実績を誇る。
主なラインナップは、山田工機時代から60年以上の実績を誇る第一世代「YIG(Yamada Internal Grinder)」シリーズと、その機械構造を継承し、タッチパネルによる操作性と加工支援機能を備えた「IIG(Irino Internal Grinder)」シリーズの2つである。IIGシリーズでは、レニショースケールとPLCシーケンサを搭載し、中間ドレスやティーチング機能などの加工支援機能を備えることで、機械構造が持つ高い精度を、より安定して発揮できるようにしている。社内の出荷基準は真円度0.3〜0.4µmであるが、近年は多くの機械で真円度0.2µm前後を達成して出荷している。過去には真円度0.07µmを達成した実績もある。
同社製品の強みを一言で表すなら「温故知新」だ。
ベッド(主軸・砥石軸、加工テーブルが載る部分)の案内方式には、製造に熟練の技術が必要なため採用例が少なくなった「V+V方式」を全機種に採用している。さらに、鋳物ホルダへの主軸直止め構造やセスパドライブモーターなど、長年培われた独自の機械構造を継承。これらの要素が一体となることで、高い剛性と安定した加工精度を実現している。
軽量化・簡易構造化が進む工作機械業界にあっても、同社は機械構造そのものが精度を生み出すという設計思想を守り続けている。入野氏は、この思想を「原点にして最高到達点」と表現する。

伝統を守りつつも、時代に合わせたアップデートも欠かさない。その代表例が、継承鋳物を活用した現行モデルの製造である。
同社では、山田工機時代の研削盤から良好な鋳物を選定・継承し、それを基盤として現行ラインナップの最新モデルを製造している。
オーバーホールやレトロフィットとは異なり、継承した鋳物を基盤に現行モデルを新機として製造するため、各種補助金の対象となる点も大きな特長だ。
「鋳物は100年使える」という思想のもと、長年培われた機械構造の価値を受け継ぎながら、現代の技術を融合する。この考え方もまた、同社ブランドを象徴する大きな特長となっている。

