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IDDKの人工衛星向け与圧ユニット開発に参画  吉田工業、高気密アルミ重力鋳造技術で宇宙産業への第一歩

IDDKの人工衛星向け与圧ユニット開発に参画  吉田工業、高気密アルミ重力鋳造技術で宇宙産業への第一歩

吉田工業株式会社

掲載企業吉田工業株式会社

主要3品目
  • 四輪用ブレーキ向け アルミ製部品

  • 建機向け アルミ製部品

  • 開発試作向け アルミ製RP部品

長野県佐久市の吉田工業株式会社が、宇宙産業分野での高度鋳造技術活用により注目を集めている。同社は、宇宙バイオ実験事業を展開する株式会社IDDKとの共同プロジェクト「人工衛星用与圧ユニット」の開発において、「全国知識製造業大賞2025」を受賞した。

同プロジェクトでは、人工衛星内部で微生物・細胞実験を行うための与圧環境を維持するアルミ製与圧筐体を開発。真空環境下でも内部圧力を保持できる高気密性と、衛星搭載に必要な軽量性・構造強度の両立が求められる高難度案件である。

宇宙分野では、打上げコスト低減の観点から軽量化要求が年々高まる一方、与圧機器には極めて高いリーク性能保証が求められる。特に人工衛星用途では、わずかな鋳巣や接合面精度不良が致命的な性能低下につながるため、材料品質・鋳造品質・機械加工精度を一体で成立させる必要がある。

与圧筐体の砂型
与圧筐体の砂型

3Dプリンタ砂型と重力鋳造による高気密薄肉構造

今回の与圧ユニットでは、3Dプリンタ砂型を活用したアルミ重力鋳造技術を採用。従来の金型工法では実現が難しかった複雑リブ形状、薄肉構造を高自由度で形成している。

また、宇宙機器では軽量化と剛性確保を同時に求められるため、肉厚設計・湯流れ解析・凝固解析などを踏まえた鋳造方案設計が重要となる。吉田工業は、自動車の保安部品で培った重力鋳造ノウハウを応用し、緻密な鋳造による内部欠陥低減と高い寸法安定性を実現した。

さらに、シール面や締結部には高精度マシニング加工を実施。同社では、鋳造の特性を熟知した上で最適な機械加工を行い、最終のリーク試験までを社内で一貫対応。工程間での品質フィードバックが迅速に行える体制が、宇宙品質に耐えうる確実な気密性能と、開発期間の劇的な短縮(短納期対応)の両立を可能にしている。

宇宙用途においては、部品単体精度だけでなく、組立後の圧力保持性能まで含めたトータル品質保証が求められる。同社は量産部品で蓄積した品質管理技術を宇宙分野へ展開し、新たな市場開拓を進めている。

与圧筐体の加工の様子

自動車品質を宇宙産業へ転用

吉田工業は、アルミ重力鋳造を主力とし、万が一の故障も許されない自動車の「重要保安部品(人命に直結する最重要部品)」を長年手掛けてきた。極めて厳しい品質基準をクリアし続ける中で培った「不良を出さない」工程設計力と品質保証体制、そして鋳造から切削、組立までの一貫生産体制が同社の最大の強みとなっている。近年、自動車業界では、カーボンニュートラル対応やグローバル競争激化、調達リスク分散などを背景に、サプライチェーンの再構築が進んでいる。また、自動車メーカー・Tier1各社では、既存量産技術を活用した新市場開拓や、高付加価値分野への展開が重要テーマとなっている。

その中で同社は、アルミ鋳造・精密加工技術をベースに、医療、ロボット、宇宙分野など高信頼性が求められる領域への展開を推進している。

特に宇宙産業では、従来の航空宇宙専業メーカーだけでなく、自動車分野由来の高品質量産技術への期待が高まっている。人工衛星の小型化・量産化が進む中、コスト競争力と品質安定性を両立できる製造パートナーの需要が拡大しているためだ。 今回の与圧ユニット開発は、量産鋳造メーカーが宇宙分野へ技術転用した代表的事例の一つと言える。

完成した与圧筐体

高付加価値領域へ広がる中小製造業の可能性

宇宙産業市場は、民間宇宙ビジネス拡大を背景に成長を続けている。一方で、衛星筐体や熱制御部品、構造部材などでは、高精度加工・軽量化・短納期対応を実現できるサプライヤー不足が課題となっている。その中で、日本の中小製造業が持つ現場改善力や工程設計力、品質管理技術は大きな競争力となる

吉田工業の取り組みは、単なる新規事業参入ではない。自動車分野で培った「量産品質」を、宇宙という高信頼性領域へ展開した点に大きな意味がある。

量産技術と先端産業技術の融合――。日本の製造業に求められる次の競争力を示す事例として、今後さらに注目を集めそうだ。

製品情報

  • 工数削減!3Dプリンターによる試作品鋳物インペラー

  • アルミ鋳造用複雑形状中子、シェル中子

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