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ステンレス鋼線の日本精線株式会社が世に送り出す 水素貯蔵回収モジュールとパラジウム合金水素分離膜モジュール 

ステンレス鋼線の日本精線株式会社が世に送り出す 水素貯蔵回収モジュールとパラジウム合金水素分離膜モジュール 

日本精線株式会社

掲載企業日本精線株式会社 研究開発部

主要3品目
  • ステンレス鋼線・異形線;ばね・ねじ・金網用他

  • その他合金線;チタン合金線、Ni基合金線、Co基合金線

  • ナスロン(金属繊維);金属繊維、金属繊維焼結フィルター、半導体用超精密ガスフィルター

ステンレス鋼線のトップメーカーが水素事業に本格参入 

大阪府大阪市に本社を置く日本精線株式会社は、ステンレス鋼線のトップメーカーだ。ステンレスワイヤの二次加工だけでなく、独自の技術で製造・販売しているステンレス鋼繊維「ナスロン」は、金属の性能を維持しながらも線径は1~50ミクロンと非常に細く、一般的な有機繊維のようなしなやかさを持つ。さらにナスロンを用いた高機能メタルフィルタ、パウダー状に加工されたステンレス鋼短繊維(SUS316L)を焼結して製造された薄層のメタルメンブレンフィルタ「NASclean」など、その高い技術力でステンレスワイヤの枠に収まらない幅広い事業展開を行っている。 

その日本精線株式会社が、新しい柱として2021年より水素事業開発室を設置。水素事業へ本格的に参入している。 

そもそも金属にとって、水素は脆化をもたらすやっかいな物質だ。20年近く前から日本精線株式会社では、国の研究機関と共同で高圧の水素に晒されても脆化しないステンレスについて研究を進めていたという。その中で開発されたのが、水素環境下でもばね性を失わない耐水素脆性ばね用ステンレス鋼線 「HYBREM-S(ハイブレム-エス)」だ。 

水素環境での低温SSRT試験
(ひずみ速度0.1mm/min)における絞りの変化 
水素環境における疲労強度
(平均応力:600MPa、繰返数:1千万回) 

※ 耐水素脆性ばね材『HYBREM-S』は低温・高圧水素環境下で使用される水素ステ-ションや燃料電池自動車などでも使用可能な耐水素脆化特性とばね特性を合わせ持つ。

こうした経緯もあり水素への知見を深めた同社は、水素を取り出す貯蔵回収モジュールの開発や、取り出した水素を高純度化するパラジウム合金水素分離膜モジュールの販売拡大を目指している。 

線材の複合技術による独自の加熱方式で
コンパクト・高効率な水素貯蔵回収モジュール
 

水素キャリアとは、水素を化学的に固定して運ぶことのできる媒体(液体やガス)のことを言う。常温でも安定しているため、取り扱いが容易で、危険性が比較的低いこともメリットだ。だがデメリットとしては、水素を取り出す際に300℃前後の高温と触媒が必要となる。そこで同社が持つ、異なる材質の線材を複合させて伸線し、多機能化する技術が生きている。ワイヤー内部に電熱線機能を持たせ、外側に触媒を担持できる構造を実現。これにより外部から加熱する方式ではなく、通電により触媒を内部から直接加熱できるため、よりスタートアップが早く、効率的、さらにコンパクトな水素貯蔵回収モジュールを開発した。 

水素キャリアとしてはアンモニアやMCH(メチルシクロヘキサン)が有力とされている。アンモニアはすでにインフラが整っており、同社は東洋エンジニアリング株式会社、中部電力株式会社、中部電力ミライズ株式会社と共同で、アンモニアを原料に水素を製造する小型アンモニアクラッキング装置の実用化に向け動き始めている。MCHは有機ハイドライドとも呼ばれ、長距離輸送に適し扱いやすいことから、日本精線株式会社では同様に注視し、MCHから製造・精製した水素を構内利用する実証テストも行っている。 

独自技術で作り出す
扱いやすいパラジウム合金水素分離膜モジュール
 

水素分離膜モジュールにも同社の独自技術が活かされている。同社の分離膜はパラジウム合金膜を利用した溶解・拡散方式で、大規模プラントなどに用いられる触媒方式に比べ、高純度の水素精製が可能である。この分離膜は20ミクロンという極薄の金属箔を円筒状に成形・溶接する独自技術によって製造されている。水素分離膜モジュールの開発自体は約20年前に完了し、既に販売を開始していたものの当時は高純度水素のニーズが少なく、これまでは国内の研究機関中心の引合いであったが、近年ではアジアのみならず、北米・欧州からの引合いも増加しているという。 

同社が開発したパラジウム合金水素分離膜モジュールは理論上、超高純度(9N)の水素が得られ、ほぼ半永久的に使用出来るという。パワー半導体など高純度水素の需要は今度も広がっていくと考えられる。どのように使用されるのか、よりエンドユーザーに近い顧客とコンタクトを取りながら、スケールアップを目指して技術開発を進めていきたい考えだ。 

水素に関わる技術をユニット化して事業化を目指す
日本の水素関連技術が世界を変える 

「水素事業は、水素を作り、貯めて、精製(利用)するという3つのキーワードがあります。日本精線株式会社では、それぞれの要素技術を開発し、将来的には1つのユニットとして事業化を目指しています。水素は水素のままでは取り扱いが難しい。当社は金属を扱うメーカーですので、金属の中に水素を閉じ込めて固体として安全に貯蔵する取組みも始めています。用途開発も含めて、今一生懸命にやっているところです」と執行役員の飽浦氏。同社には海外からも引合いが増えており、日本の水素関連技術は世界中から注目を集めている。日本の技術がグローバルスタンダードになる可能性もある。夢のエネルギーと言われた水素は、もうすぐそこまで来ている。 

掲載会社情報

日本精線株式会社 研究開発部

日本精線株式会社 研究開発部

所在地
〒573-8522 大阪府枚方市池之宮4丁目17番1号
TEL
072-840-1265
FAX
072-840-4693
URL
https://www.n-seisen.co.jp/

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