成長企業の経営戦略

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挑む経営者特集第3回  -平岡工業株式会社 平岡 良介氏-  発信者として活躍の場を広げる製造業の広報マン!トレンドを掴み、必要とされ続ける存在を目指す 

挑む経営者特集第3回  -平岡工業株式会社  平岡 良介氏-  発信者として活躍の場を広げる製造業の広報マン!トレンドを掴み、必要とされ続ける存在を目指す 

平岡工業株式会社
代表取締役社長 平岡 良介 氏

掲載企業平岡工業株式会社

主要3品目
  • 金型(自動車/産業用)設計・製作

  • 精密部品(治具/設備機器)設計・製作

  • フォトレリーフデザイン・製作

平岡工業株式会社は広島県広島市の本社を置くゴム金型製造会社だ。だが、同社は単なる「ゴム金型屋」では留まらない。広島県のラジオの聴取率調査で、全国版含めたランキングで8位。広島FMのオリジナル番組ランキングで2位。製造業を始めとする地元企業6社で運営するラジオ「H-Junk Factoryものづくりラジオ」が、有名ミュージシャンやアイドル、俳優たちを上回っている。その仕掛け人が、平岡工業株式会社の代表取締役社長 平岡 良介氏だ。 

「俺しかおらん、じゃ、やってみるか」 

5年目、すでに2026年4月で222回を迎えたラジオは、軽妙なトークで毎回訪れるゲストから話を引き出す。カテゴリは教養だが、バラエティ番組のような楽しさ、面白さを重視している。面白くなければ人は聞いてくれず、伝えたいメッセージも届かないからだ。 

平岡工業株式会社は、ゴム金型を中心に精密金型の設計・製造を本業としている。金型に留まらず、各種産業機械や精密部品加工、治具など事業内容は幅広い。金型メンテナンス・修理・改造.comを運営するなど、ものづくりに関するあらゆるお困りごとに対応している企業だ。製造業の現場において、仕事はできて当たり前。納期通り、仕様通り、コスト削減に努力しても、感謝されることはほとんどない。受託加工であれば、エンドユーザーからの評価を得られる機会はほとんどない。「ライブで舞台に立てば、お客さんの反応を直に感じることができる。でも製造業の現場は『ありがとう』がない。お金と製品が行き来するだけでは、やりがいを感じられなくなってしまう。それで本当に若い人たちが今後製造業に入ってきてくれるのか。それがすごくギャップに感じました」。 

製造業には魅力がたくさんある。国と社会を支えているという自負もある。だが、その発信ができていないのは課題だ。製造現場にも面白い人はたくさんいるが、スピーカーとして対外的に発信できる能力はまた違う。「私は3歳から音楽をやっていて、もともとミュージシャン志望。発信することを当たり前に苦もなくできます。自分はできる。他にできる人はいない。誰かがやらないと。」そうして平岡氏は、自社のみならず製造業の広報マン、親善大使としての活動を開始した。 

平岡氏は金型工業会の理事も務め、金型をより稼げる、魅力的な業界に変えていくための発信を行っていく予定だ。ポイントは4つ。 

  1. 業界連携。これまでのようなライバル関係、対立関係ではなく金型屋同士が連携を取っていくこと。 
  1. 市場開拓。日本のみならず、アメリカやインドなどへのマーケットも視野に入れる。 
  1. 魅力発信。金型の技術や魅力をより多くの人に知ってもらうこと。 
  1. 技術・商品開発。優れた技術、他社が真似できない商品を開発すること。 

平岡氏は3. 魅力発信 のリーダーとしてyoutubeチャンネルを開設するなどして活動を行っていく予定だという。金型業界も今、若手経営者を中心に変革の時に来ているのだ。 

理事を務める日本金型工業会での新春金型座談会にて

ラジオ「H-Junk Factoryものづくりラジオ」収録風景

コロナ禍をきっかけに「利己」から「利他」へ 
ブランディングの重要さにも気付く 

ミュージシャンを目指していた平岡氏が、平岡工業株式会社に入社したのは23歳のとき。機械加工や仕上げ加工など現場に入りながら生産管理も担当するようになると、27歳ごろにはすでに会社を回せるようになっていたという。30歳のときに平岡工業はタイへ進出し、現会長である父親はタイへ行くことになり、常務となった。だが平岡氏は「社長という肩書は別に欲しくなかった」という。 

だが、2020年、未曾有の事態が発生する。中国から広がった新型コロナは、あっという間に世界中を巻き込んだ。当時専務となっていた平岡氏は、「これまで利己的に生きていた自分が、利他に代わった。自分に何かできることはないか」と考え、不安が広がる社会、危機的状況の中で、開発したのがフェイスシールドだ。 

平岡工業株式会社が開発した次世代フェイスシールド【HIRAX AIR SHIELD】はパリコレクションでも採用され、多くの反響を集めた。広告費用もかけた。しかし、世界的に見て無名である平岡工業の名前では、思ったように製品は売れない。ブランディングの重要さを思い知った。そしてそれは自社だけでなく、中小企業はどこも同様の課題を抱えていると気付いたことも、平岡氏が発信を行っていくきっかけとなったと言う。同様に、専務の肩書では決裁権がないと思われてしまい、戦うことができないことにも気付いた。そして2023年、平岡氏は代表取締役社長に就任した。 

【HIRAX AIR SHIELD】の金型

市場トレンドを掴み、時代に必要とされ続ける企業を目指す 

「時代に必要とされるかどうか」――平岡氏は、経営に必要なものは市場のトレンドを掴む力だと言う。業界の中にいるだけでは、本当に社会から必要とされているのか否かに気付かない。変化していくことが重要なのだ。一方で、変わらずに大切にしているものもある。それは平岡工業株式会社が、人に対しても、ものづくりに対しても変わらず誠実であり続けてきたその姿勢だ。平岡工業株式会社は、これからも困ったときに頼れる、必要とされる存在であり続けることを目指す。時代に応じて形を変えつつ、今後は日本だけでなく海外も含めて金型の受発注に食い込んでいきたいという。 

コロナ禍に限らず、経営面では苦労がないわけではない。これまではほぼ一社依存だったが、受注量が大幅に減ったことにより過去最大赤字の危機に陥った。そこで新しい事業に挑戦しつつ、新規取引先を増やすことでリスク分散を図った。トラブル対応続きで社員が疲弊してしまい、悪循環に陥ったこともある。「最後は経営者の気合です。仲間を信じて自分が折れなければ、助けてくれる人が必ずいる。ネガティブばかりでは誰もついてきてくれなくなってしまうので、感度を上げるところと下げるところのメリハリも大事です。進むしかない。後ろは見ない。苦しい中でも明るい兆しが見えることもある。トレンドにアンテナを高く持っていき、チャンスをつかむことが大事」と平岡氏は話す。 

ローラーコンベヤ(自動化支援)
インペラ

次世代経営者へ ― まずは自分の志をきめること 

平岡氏は「趣味は人から必要とされること」と笑う。それが喜びであり、ものづくり、音楽、ラジオなど全ての活動の軸になっているのだ。そして自分にしかない強みは、発信力と90年の歴史を持つ平岡工業の一員として生まれた背景にあると認識している。「まず自分の志を決めること」本当にやりたいことは何か。自分の理念はなんなのか。 まずはそれをしっかり見つけなければ、事業継承しても判断がぶれ、心が折れてしまう。自分の力を最大限発揮できることはなにか。世のため人のために自分ができることはなにか。経営者となり、会社の理念を語る前に必要なのは、自分に向き合うことなのだ。 

代表取締役社長
平岡 良介 氏

製品情報

  • 酒トレイ金型( 射出成形金型) S50C

  • ローラーコンベヤ(自動化支援)

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