業界特集
日本アイ・ティ・エフ株式会社
掲載企業日本アイ・ティ・エフ株式会社
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主要3品目
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セラミックコーティング
DLCコーティング
窒化系コーティング
薄膜技術のパイオニア
独自技術でコーティングの裾野と選択肢を拡大
日本アイ・ティ・エフ株式会社は、1985年に住友電気工業が持つ切削工具のコーティング技術と、日新電機のイオンプラズマ技術・コーティング装置技術を融合させて設立された。コーティング受託加工だけでなく、コーティング装置の製造・販売まで行っていることが強みだ。受託現場での膜やプロセス開発と、装置開発が相互にフィードバックされることで、より技術を高めていくことができるのだ。中国、タイ等海外関係会社の拠点もあり、国内コーティング技術を現地工場に展開することも可能だという。
同社は水素フリーDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを他社に先駆けて開発したパイオニアでもある。DLCコーティングは、水素が入らないことで組成がよりダイヤモンドに近く、つまり硬く強くなる。工具や金型に適したコーティングだ。しかし一方で、強すぎるコーティングは相手を傷つけてしまう(相手攻撃性が高くなる)ため、用途に応じて使い分けられるよう、同社では多彩なDLC膜をラインナップ。現在は水素フリー、水素含有含めて約9種の膜種を用意しており、顧客ごとに異なる要求事項、仕様、使い方に応じた提案を行っているのだ。
蒸着には、PVD(物理蒸着法)とCVD(化学蒸着法)がある。PVDは固体材料を成膜させる技術であり、PVDで行う窒化物コーティングも同社は多種ラインナップしている一方で、PVD-DLCコーティングのナインナップも持っている。
アーク放電式PVDは通常、ドロップレットが必ず発生する。ドロップレットとは、蒸発させた固形材料を飛ばした際、小さな粒が膜に取り込まれることだ。これによって成膜表面には細かな凹凸ができる。通常はラップ処理などの後処理を行うことで表面を滑らかにするが、同社は独自技術によってドロップレットフリーのPVD-DLCコーティングを実現。超平滑な高硬度・高密着力な水素フリーDLCを可能としている。

ただし、ドロップレット自体は除去することで活用できる用途も多くあるため、用途に応じて使い分ける。同社はそこまでを踏まえて、コストや仕様に合わせ顧客に最適な提案を行うことができるというわけだ。もちろん、非常に滑らかな膜を得られるCVDのDLCコーティングもあり、多彩な提案を行うことができるのも、同社が装置と受託加工の2つの柱を持っているからこそ。コーティング装置の安定稼働にはノウハウが必要だ。装置を導入する前に受託で効果や生産性を十分に確かめてから装置を採用するということも可能なのだ。
※注 ta-c(スパークレスアーク) HAS膜は現時点では受託対応のみで、装置販売はこれからになります
低コスト・高生産性のコーティング装置
多彩な装置モデルと蒸発源をラインナップ
受託加工の経験値から、市場動向と加工プロセスを熟知している日本アイ・ティ・エフは、品質もさることながら生産効率も重視。主力製品であるアドバンスドコーティングシステム iDS®シリーズは、炉のコンディションの安定化や加熱・排気工程を中心に処理時間を短縮させ、サイクルタイムを短縮させた。他社製品に比べ装置価格を抑えているだけでなく、バッチコストを抑えることで低コストを実現している。
日本アイ・ティ・エフではアーク放電式、スパッタリング技術を保有している。アーク放電式は真空アーク放電によって固形材料を蒸発、プラズマでイオン化させて成膜する。一方でスパッタリングはアルゴンイオンを衝突させてイオン化し、成膜させる。それぞれにメリットと特徴、得意とするものが異なるため、顧客の仕様に沿って提案が可能だ。同社は長年の研究によってアーク放電・スパッタリングの精密な制御技術を開発。滑らかな膜の生成と、材料の均等な消耗を実現している。アーク放電式の懸念であるドロップレットを低減する技術を開発したことで、高平滑性のコーティングが可能となり、顧客要求に応えている。
蒸発源もさまざまなタイプを開発しており、現在のラインナップはDLC専用含め7種。さらに装置コーティングゾーン内で均一に成膜できるよう、顧客の製品に合わせた治具の提案も行うなど、装置を売るだけではなく、トータルでサポートを行っている。また、リモート監視機能も搭載されるなど、多機能でメンテナンス性の良さも魅力だ。サイズは大・中・小のラインナップ。大型は高さ約800mmクラスが主力だが、過去にはさらに大きなサイズも実績を持ち、顧客ごとにカスタマイズされた装置を製造している。現在の売上比率としては、装置は全体の1/4ほど。今後は受託と装置を同程度にしていきたい考えだ。
DLCコーティングは、今やさまざまな用途に合わせて膜種が開発されている。だが、その種類や効果が十分に知られているとは言い難い。自動車部品や工具といった従来のニーズだけでなく、より広い業種でどのようなニーズがあるか、さらにマーケットインしていくことが求められている。摺動性というキーワードは、どんな業界にも応用が可能。「DLCコーティングは高価というイメージもあるためか、最後のお声がかかることが多い。被膜の種類が生かし切れていないことが課題です。より多くの方に知ってもらい、選択肢の1つにしてもらえたら」最後の砦として頼られるということは、その効果は誰もが認めているということ。DLCコーティングの裾野の広がりに期待だ。

