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微細めっきには匠の技と現代の管理技術が生きる――株式会社エルグ

微細めっきには匠の技と現代の管理技術が生きる――株式会社エルグ

株式会社 エルグ

掲載企業株式会社 エルグ

主要3品目
  • 金めっき・銀めっき・ニッケルめっき

  • 銅めっき・錫めっき

  • ロジウムめっき・パラジウム-ニッケルめっき

微細めっき技術を磨きあげた老舗めっき会社

半導体の製造装置や検査機器に使用される電子部品は、どんどん小さくなっている。爪の先ほどのサイズ感の微細部品に、めっきを施すことで日本の産業を下支えしている会社がある。それが群馬県富岡市にある株式会社エルグだ。

エルグは来年創業80周年を迎える老舗めっき会社。創業当初はバフ研磨を行っており、やがてめっきを始めたという。転機となったのは、社名をこれまでの桐原鍍金工業から、現在のエルグに変更した1997年ごろ。現相談役である桐原正明氏が「長靴で仕事をするのか、白衣を着て仕事をするのか。これからは白衣を着るような仕事がしたい」と小物めっきに注力することを決意。近隣の顧客がコネクタなどの接点部品を多く扱っていたこともあったが、産業界全体の流れとして、部品がどんどん軽薄短小になっていく流れの中で、同社も技術革新を続けたのだ。今では微細・精密部品へのめっきが主力となり、半導体、自動車、電子機器など多彩な分野において信頼を勝ち得ている。

エルグの社名の由来はerg.(erganzeの略語)。「完璧なもの」を意味するドイツ語だという。代表取締役 桐原 聡二郎氏によると、「後付けではありますが、E:Echt(エヒト)本物のR:Rationell(ラティオネル)目的に適ったG:Glanz(グランツ)輝きという思いが込められている」という。

超微細な接点部品、スプリングのめっき

微細スプリングの内側も袋穴の内面までめっき可能
微細部品の管理技術に強み

エルグが得意とするのは、「網付け」と呼ばれる手法だ。スプリングや接点は、通常の方法では組み付いてしまったり、貼り付いてしまうことで、無めっきやくもりなどの不良が発生する恐れがある。こうした部品同士の組み付きや貼り付きをほぐしながら、満遍なくめっきすることができるのが「網付け」なのだ。「バレルは縦方向に回転するため、自重もあってどんどん部品が組み付いてしまう。和紙の紙すきのように前後左右に揺らしながら渦を巻くような形で揺することで部品同士をずらし、バネの内面などにもしっかりめっきを付けることが可能です」と桐原氏。この網付け方法の自動化は難しく、職人が目視で確認しながら繊細な調整によって膜厚を管理する、まさに匠の技なのだ。この技術によって、線径13μmまでの極細スプリングの内面までめっき可能で、袋穴の内面など通常では難しい部品にもめっきが可能となっている。

部品は微細になればなるほど、液体に沈まず浮いてしまう。袋穴も中の空気をいかに抜くかが重要なのだ。洗浄工程1つをとっても、微細な部品を取り扱うのはノウハウが必要であり、それが同社の技術力なのだ。同社では100個程度の試作から、数万個までの量産までフレキシブルに対応できることも強みだ。

袋穴の内面めっきにも対応

「特に注意が必要なのは、混入対策です」と桐原氏は語気を強める。半導体部品は、ごくわずかな差の部品を何種類も扱うことになる。微細部品であればあるほど、混入してしまうと全く見分けが付かなくなってしまう。製品が小さいため、1工程あたりの加工時間も短く、段取り替えをしながら1日に何種類もめっきするのだ。洗浄やめっきを行った設備に製品残りがないかどうか、今作業しているのはどの製品なのか。管理が非常に重要となってくる。「微細部品は息を吹きかけるだけで飛んでしまいますので、1つ1つの気遣いが非常に重要です。軽いため、数量管理は重量で行いますが、それでもいくつなくなっているかが分からないほど小さい。非常に手間暇工夫を要します」と桐原氏は言う。

微細部品の管理技術には、高い専門性が求められる。微細部品に特化しているからこそ、エルグは万全の態勢を整えているのだ。微細部品は、さらに小型化が進んでいく。従来のめっき会社では対応が難しくなり、同社に声がかかることが多いという。

ロジウム、パラジウム、ダイレクト金めっきなど特殊めっきにも対応
日本の技術力を世界に

硬さと接触抵抗を求める顧客へのロジウムめっき、金の代替、省金化対応としてのパラジウムニッケルめっきなど、顧客のニーズに合わせた特殊なめっきにも対応している。ニッケルレスに対応したダイレクト金めっきは、医療系などニッケルアレルギー対策にも対応する。「医療とめっきは生体適合性から相性があまり良くないとされていますが、医療はもちろん、航空宇宙など管理の難しい分野に当社の管理技術を生かしていきたいと考えています。そのためにはまず当社のことをより多くの方に知ってもらいたい。展示会やSNS、企業キャラクターなどを活用しながら、アピールしていけたら」と桐原氏。同社は30年前から、時代に先駆けてオリジナルキャラクターを作成、PRに活用している。常に時代を先取りしているのだ。

微細部品は、今後さらに小さくなっていくと同時に総量が増えていくことが見込まれる。そしてその最先端を走り、技術力を誇っているのが日本だ。管理の面を考えると現在は工場の海外展開は考えていないと言うが、扱う製品が小さいことは、輸送費がかからないというメリットがある。桐原氏は今後の展望についてこう語った。「扱う部品は非常に小さいので、海外ならばDHLなどを活用すればより遠くの、より多くのお客さまに当社の技術力をお届けできると考えています。A4程度のサイズで50万個送ることも可能ですから、非常に効率が良くやりやすい。海外展開にも今後はより注力していきたい」。小さな小さな微細部品には、日本の技術力と、大きな夢が詰まっている。

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製品情報

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