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デジタルとアナログの融合で新しいめっき会社像を創造する

デジタルとアナログの融合で新しいめっき会社像を創造する

三光製作株式会社(静岡県浜松市)

掲載企業三光製作株式会社

主要3品目
  • 低温黒色クロム処理

  • 無電解ニッケル - リンめっき

  • ニッケルクロムめっき など(鉄材及び各種非鉄金属)

従業員数

60 人

 「町工場のネガティブなイメージを脱却し、働きたいと思う人が増えるめっき屋にしたい。だからこそニッチなことをします」――三光製作株式会社の代表取締役社長山岸洋一氏の考えは一貫している。同社は表面処理を扱うメーカーでありながら、抗菌めっき(KENIFINE)を使った抗菌富士という自社製品を持っている。

 これも単に売り上げのためだけではなく、BtoBに偏りがちなめっき業界にあって、敢えてBtoCにチャレンジすることでマーケティングを理解するのに役立つ。社員たちの意識を高めるだけでなく、採用に当たってめっきを知らない若い人たちに向けてもめっきの可能性や機能性めっきを理解するきっかけにもなる。いくつもの戦略があってこその施策なのだ。

 同社は業務のDX化にも力を入れている。多品種少量生産、多顧客のため、営業における間接的な事務作業が膨大となり、属人化してしまうという課題があった。DX化によってプロセスを仕組化・可視化することで、担当者が休んでも業務が滞ることはない。働き方改革にも繋がっている。さらに顧客の外注担当者の業務の効率化と利便性向上を目指したシステム無償提供を試験導入中だ。客先と接点が多く、さまざまな声が届くからこそ、デジタルとアナログをうまく組み合わせて人と人の繋がりを重視している。

 社員教育にも力を入れている。同社は2011年からベトナムに進出した。ゼロベースからスタートした海外工場を稼働していくために必要なのは教育だ。従来はOJTが中心であったが、それではプレイングマネージャーである現場リーダーたちの負担が大きい。会社が中心となり社員が一緒になって教育コンテンツを作り上げている。社内用WEBサイトには、社長だけでなく新人が出演する動画やクイズ問題など、楽しみながら学べるコンテンツが充実している。近年取り組んでいるロボットによる自動化も、日常のティーチングは社員がこなす。1から自分たちで行ってきたからこそ、ロボットと人間がどうやって仕事を分担していくのか。お仕着せではなく、ロボットと人間の共存のあり方を模索している。人にとってやりがいのある仕事のためにロボットを活用しているのだ。

 同社は2020年、M&Aによって静岡市の吉田鍍金工業所を加えグループ3社となった。規模が大きくなり従業員も増えたことで提案できることが増え、客先が多様化し、拠点分散によるBCP対策も強みだ。しかし現代は先の見通しが立たない時代。だからこそ「良いめっきを提供するという目的はブレずに、どんなことに対しても対応できるよう、プロセスや手段は多様性を持っておきたい」――

 山岸氏はレジリエンスを重視し、柔軟性をもって全く新しい「地方の町工場」像を創造していく。

製品情報

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