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中東情勢で深まる製造業リスク 中小企業91%が影響を実感  ~「中東情勢に伴う製造業への影響・景況感調査」アンケートを中小製造業経営者層を対象に実施~

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原材料高騰・調達難・価格転嫁――“受注はあるが作れない”現場の実態 

製造業界を取り巻く環境が、再び大きく揺れている。原材料価格の高騰、エネルギーコストの上昇、さらには部材調達の混乱――。中東情勢の緊迫化が、日本の中小製造業にも深刻な影響を及ぼし始めている。 
今回、エミダスマガジンでは、「エミダス」の会員の中小企業経営者層を対象に「中東情勢に伴う製造業への影響・景況感調査」を実施。約150社から回答を得た。 
調査の結果、「影響がある」「やや影響がある」と回答した企業は全体の91.1%に達し、多くの中小製造業が経営への影響を実感していることが明らかとなった。 

【調査概要】

主 体 株式会社NCネットワーク
期 間 2026年4月7日~4月17日 WEBによる調査
対象者 エミダス会員企業
回答数 約150社

電気代・原材料価格の高騰が経営を圧迫 

特に影響が大きいのが、電気代・燃料費、そして原材料価格の上昇である。 
電気代・燃料費については、「影響がある」「やや影響がある」が計81.3%。原材料価格についても8割を超える企業が影響を感じている。 
現場からは、アルミ、樹脂、鋼材(ステンレス・真鍮など)の価格高騰に加え、切削油、ゴム製品、梱包資材など副資材全般の値上がりを懸念する声が多数寄せられた。 
また、「単価は過去最高水準まで上がっているが、価格転嫁が追いつかない」という声も目立ち、利益を圧迫する構図が浮き彫りとなった。 

「材料が入らない」――調達現場で起きている異変 

調達面でも深刻な影響が出ている。 

原材料調達について、「影響がある」「やや影響がある」と回答した企業は61.6%。 
特に多かったのは、樹脂材料やシンナー・溶剤関連の入手難、納期遅延に関する声だ。メーカーによる数量制限や出荷停止なども発生しており、「前年同月と同量までしか購入できない」といった具体的な回答も寄せられた。 
さらに、タングステンなどのレアアース系材料不足によって、機械部品や金型、半導体関連製品の製造に影響が出ているとの指摘もあった。イスラエルからの特殊部材が入荷せず、製品が完成できないというケースも見受けられた。 

“受注はあるが作れない”製造現場 

受注量への影響について「影響がある」「やや影響がある」と回答した企業は46.8%だった一方、収益への影響については80.7%に達した。 
中でも、自動車関連や半導体製造装置分野では、「注文は来ているが、材料不足や部材未着によって生産できない」というケースが複数報告されている。 
例えば、 

  • シンナー不足により塗装工程が止まる  
  • 一部部材が不足し、製品を完成できない  
  • 開発案件そのものを延期せざるを得ない  

といった、“受注はあるが作れない”状況が発生している。 
一方で、樹脂製品などでは値上げ前の駆け込み需要や先行確保の動きもあり、一時的に生産量が増加している企業も見られた。 

中東情勢だけではない、複合化する経営リスク 

自由回答では、価格転嫁の難しさに加え、中国による輸出規制や外交摩擦を背景としたレアアース不足・価格高騰への懸念も多く挙がった。 
また、「マスコミ報道が不安を煽り、便乗値上げや売り惜しみを誘発しているのではないか」といった声も複数寄せられた。さらに、中東情勢の先行き不安を背景に、一部では商社や流通業者が意図的に供給を抑えているのではないか、との指摘も見受けられた。 
今回の調査からは、中東情勢という一地域の問題に留まらず、エネルギー、物流、資源、地政学リスクが複雑に絡み合うことで、中小製造業が極めて不安定な経営環境に置かれている実態が浮き彫りとなった。 

そして何より、一つの材料や消耗品が欠けるだけで、生産ライン全体が停止してしまう――。中小製造業の現場では、サプライチェーンの脆弱性と、調達リスクの深刻さが改めて認識される結果となった。 

アンケートへご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。 

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