成長企業の経営戦略

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高い金型技術力と確かな成形技術を下地に技術開発提案型企業を目指す

高い金型技術力と確かな成形技術を下地に技術開発提案型企業を目指す

信州吉野電機株式会社

掲載企業信州吉野電機株式会社

主要3品目
  • プレス金型・エンジニアリングプラスチック金型の設計・製作

  • 情報機器・弱電部品及び自動車用電子部品の精密プレス部品の生産

  • 同エンジニアリングプラスチック部品の生産・組立

従業員数

73名

炭素繊維・生分解性プラスチックで新規顧客を獲得――信州吉野電機株式会社

立ち上がりスムーズ、チョコ停ゼロの金型

高い金型技術が生み出す量産性と異次元の不良率

「事業を47期やっていて、お客様からこんなに褒められたことはない」
先代社長であり相談役のこの言葉が、同社の強みを改めて確信させた。信州吉野電機株式会社が納品した金型は、今回取引が始まったこの顧客にとっては通常の増型の1つ。しかし、その性能に対する評価は非常に高いものであった。

立ち上がりはスムーズで、5日間24時間稼働してもトラブルなし。さらに、この金型の鏡面加工は機械加工のみで実現されている点が特筆すべきポイントだ。これは、高精度な表面仕上げを可能にする高度な技術の結晶であり、効率化と品質向上を同時に実現する製造プロセスである。こうした技術が、量産性と安定性を飛躍的に高めている。

顧客からは「金属の鏡面加工をしている会社は多いが、それを金型で実現している会社はなかなかない。量産性も非常に良く、本当に感動しました」と絶賛されたという。

同社は、東京の金属プレスメーカーが長野県でプラスチック成形を行うために設立した塩尻工場を前身とし、金属プレスとプラスチック成形を金型から部品量産まで一貫して提供してきた。精密で品質要求の高いOA機器や自動車部品を手掛け、全工程で不良率0.03%以下という異次元の品質管理を実現。IATF 16949認証も取得している。この品質を支えているのが、同社の金型技術力だ。

型売りへの挑戦と設備強化

これまで同社は型売りをほとんど行ってこなかったため、自社技術の優位性に気付いていなかった。「意外と我々の型技術は勝負できるのではと気付かされました。付加価値や高い量産性、手放れの良さを評価していただければ。当社の工場を見てもらえば納得いただけると思います」と吉野社長は語る。現在、YASDA製5軸マシニングセンタを2台保有し、3台目の導入も予定している。今後は型売りにも積極的に取り組む方針だ。

さらに、成形技能士特級保持者が5名在籍し、長野県内では随一。加えて、機械加工技術者も多数資格を取得しており、金型製作から成形までの総合力を支える人材層の厚さが同社の強みだ。資格取得は強制ではなく、社員の向上心と熱意によるもの。「QがなければCもDもない!いいものを作るために妥協しない」――この社風こそが同社最大の武器である。金属加工と成形技術を融合したインサート成形も得意とし、大手メーカーから高い信頼を得ている。

技術開発提案型企業への転換

CFRTP繊維直接投入射出成形法の開発

2016年、同社は「部品製造主体から、技術開発提案型企業へ」という決意を固めた。その第一歩として、大学研究室と共同開発したのがCFRTP繊維直接投入射出成形法である。

この技術は、射出成形機を改造し、シリンダ・スクリューに直接強化繊維を投入するという新しい成形方法。一工程で複合材成形品を加工できるため、任意の熱可塑性プラスチックを使用可能。さらに、コンパウンド材を購入するよりもコスト削減が可能で、少量ロットにも対応できる。繊維含有量は自在に調整でき、残存繊維長を長く維持できるため、機械的特性の向上が期待できる。
現在はCFRTP製工具やキャンプギアで採用されているが、水道・ガスなどのインフラ、災害対策品、仮設住宅などへの展開も視野に入れる。

さらに、自社商品であるゴルフティの開発を通じて、生分解性プラスチックのノウハウも着実に蓄積している。この取り組みは、プラスチック廃棄物削減や循環型社会の実現に貢献し、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも非常に有用である。

「こうした製品をきっかけに、新規のお客様との取引が始まった事例もあります。通常の成形部品や金型技術のPRにもつなげたい。今後も積極的に情報発信していきます」
技術力、品質管理力に加え、情報発信力という新たな武器を得た信州吉野電機株式会社の今後に注目だ。

製品情報

  • 5軸マシニングセンターを用いた鏡面加工 マシニングセンター 5軸

  • インサート成形で自動車部品の量産 PBT PPS

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