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「コーティングは、あくまで一つの手段」―商品ではなく機能を提供し、顧客の課題に寄り添う

「コーティングは、あくまで一つの手段」―商品ではなく機能を提供し、顧客の課題に寄り添う

株式会社吉田SKT

掲載企業株式会社吉田SKT

主要3品目
  • テフロンコーティング 米国ケマーズ社(旧デュポン社)指定工場

  • フッ素樹脂コーティング

  • バイコート®高硬度

菓子製造から受託コーティング加工へ―課題解決手段としてのフッ素樹脂との出会い

菓子製造を出自とするユニークな製造業が名古屋市にある、それが株式会社吉田SKTだ。同社が手がけるのは製品表面へのコーティング。フッ素樹脂コーティングの分野においては特に知名度が高く、「テフロン™」の黎明期から国内の工業用品塗装指定工場のライセンスを取得してコーティングを手掛けている老舗だ。現在では東京・名古屋・山口の国内3拠点でコーティング加工をしており、国内のあらゆる産業から高い信頼を得ている。

同社のフッ素樹脂との出会いは、同社が菓子製造業だったころにさかのぼる。ウエハースなどの焼き菓子を中心に手掛けていた同社だが、「焼いた生地がきれいに剥がれない」「無理に剥がすと割れてしまう」などの課題と向き合っていた。そんな中、当時の同社が発見したのがフッ素樹脂だった。まず自社の製造設備にフッ素樹脂コーティングの使用を開始。その後、同社は米国デュポン社のLicensed Industrial Applicator(工業用品塗装指定工場)の契約を結び、ホットプレートなど家電への受託コーティング事業に進出していった。その後、家電からエスカレーター(両側の黒い裾の部分にフッ素樹脂コーティングが施されている)、金型などの工場の生産設備と次々とその領域を広げ、現在では鉄道のブレーキ部品やロケット部品製造設備、半導体製造装置などの先端産業も支えている。ビジネス目的ではなく、「1つの問題解決手段」としてフッ素樹脂コーティングを取り扱い始めた経緯も、現在の同社が持つ高い課題解決力を支えている。

バイコート金型

フッ素樹脂コーティングでは、耐熱性・剥離性以外にも様々な機能を付加できる。滑り性や撥水性、電気絶縁性、耐薬品性、耐候性などがその一例だ。昨今旺盛な需要を見せる半導体においては特に耐薬品性が欠かせないものとなっており、半導体製造設備の薬液配管やプラントなどへの需要からフッ素樹脂が品薄となったニュースは記憶に新しい。同社でも半導体関連業界からの引き合いはここ数年増加傾向にあるといい、中には数mにも及ぶ大型部品の相談もあるという。同社では陸上輸送可能なサイズに対応した大型のコーティング設備を有しており、このような特殊なアイテムにも高い対応力を持つ。

PFASフリーの動きにも柔軟に対応―正確な情報提供と代替製品の提供で万全の体制を構築

万能とも言えるフッ素樹脂だが、近年では思わぬ形で業界を騒がせている。それがPFAS規制の動きだ。2000年前後、PFOSをはじめとする一部のフッ素化合物が人や野生生物の体内から検出され、環境中で分解されにくく蓄積しやすい性質、さらに動物実験での懸念が相次いで指摘された。当時、PFOSやPFOAといった物質で有害性が指摘されたことをきっかけに、規制の流れが一気に加速した。コーティング剤の分野でもPFOSやPFOAを含むものは、すでに多くの国・地域で製造や使用が厳しく制限され、代替化が進んでいる。一方で、PFASは単一の物質ではなく、1万種規模ともいわれる幅広い化合物群で、性質や安全性の知見も物質ごとにばらつきがある。そうした中でEUを中心に、特定物質だけでなくPFASを広い範囲で捉えて規制対象を拡大しようとする提案も進んでおり、toC向け製品メーカーを中心に各社が対応に追われているのが現状だ。

奥:未加工品 シュート
手前:未加工品 奥:加工品

このような流れを受けて、株式会社吉田SKTでは規制に備えた情報発信を強化。特設Webページを開設し「PFAS規制法が実際に発効された際の影響」や「フッ素樹脂から代替製品への切り替え」について情報提供を行っている。代替製品の取り扱いも開始しており、現時点では離型性・滑り性・耐食性・電気絶縁性などの機能についてPFASフリーでの対応が可能だ。中にはフッ素よりも優れた性能を持つものもあり、滑り性向上を担うFFLCシリーズについてはフッ素樹脂よりも高い高温耐久性を発揮するという。今後はその他の機能においてもPFASフリーを実現できるように研究開発を進め、情報提供と合わせて万全の体制で将来的な規制発効に備えていく方針だ。

PFAS対策ガイド 表紙
PFAS不使用体感キット

「困った」を解決する手段としてのコーティング―最適解を目指すための工夫

PFAS規制に関すること以外にも、同社では2021年ごろからコーティングに関するWeb情報発信に力を入れており、同社サイトではコートごとの特徴や事例が分かりやすく紹介されている。「従来はこちらからの訪問営業が中心でしたが、Webを経由してお声がけいただくケースが増えたことによって、アポイント取得や提案がよりスムーズに行えるようになりました」と同社担当者。Webに注力したことで、取引先の業界や業種もさらに多様化したという。

Webや資料だけでは伝わりにくいコーティングごとの細かな違いについての配慮も欠かせない。同社では、所望の機能がどれだけ発揮されたかを測定できる「コーティング性能比較サービス」を展開しており、顧客がより良いコーティングを選択できるようなサポ―トも行っているのだ。

液体の接触角測定方法
粘着テープ離型・剥離

これまでの例からも分かるように、同社の経営の根幹にあるのは”機能のためのコーティング”という考え方だ。「弊社では、テフロン™コーティングというものが世の中に出始めた初期から、お客様の『困った』を解決してきました。単にコーティングという商品ではなく『機能』を売っているからこそ、ここまで業種の幅を広げられたのだろうと考えています。そして、コーティングの性能を最大限発揮するために工程管理能力も磨いてきました」と同社担当者。「機能」を提供するためトライアンドエラーの中で培った様々なノウハウが、今日の対応力と顧客からの信頼を生み出しているのだ。

株式会社吉田SKTは今後もコーティングを通して日本のものづくりをサポートしていく。国内製造業の動向やPFAS規制など、不確定要素が増大する厳しい情勢は当面続くと思われるが、同社の提供するソリューションはその中で一筋の光となることであろう。

製品情報

  • 「シリコンコーティング」と「シリコーンコーティング」の違いとは

  • テフロン™フッ素樹脂コーティングを上回る離型性!MRSコーティングシリーズ

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