業界特集
東成エレクトロビーム株式会社
掲載企業東成エレクトロビーム株式会社
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主要3品目
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電子ビーム溶接
レーザー加工
レーザー洗浄装置
1977年創業の東成エレクトロビーム株式会社は、溶接や切断などのレーザー加工と電子ビーム溶接を二本柱とするジョブショップとして、50年近くにわたって業界内でその実績を積み上げてきた。特に溶接ではその位置決め精度と品質が高く評価され、過去には探査機「はやぶさ2」における小惑星サンプル採取用の部品などを手掛けた実績もある。

受託加工分野でその名を馳せる同社だが、長年積み上げてきたレーザー技術を活用し自社商品の販売にも取り組んでいる。それが「イレーザー®」だ。「レーザー」と「イレーサー」を掛け合わせた名前からも分かるように、”レーザーで表面の異物を除去する”いわゆるレーザークリーナーの一種だ。薬液を用いない新たな洗浄法として3K業務と環境負荷からの解放を実現したこの製品は、現在までに100台以上の納入実績を持つ。


レーザーのエネルギーのみで付着物を蒸発・剥離―
SDGs経営に貢献する「イレーザー®」
レーザークリーナーとは、レーザービームによって対象物表面の付着物を除去する装置だ。汚れが除去されるメカニズムは2つあり、①付着物がレーザー光を吸収することで加熱されて蒸発(昇華)する、②レーザーが照射された表面にプラズマが発生しその衝撃で剥がれる、この2つだ。切断や溶接に用いるレーザーは極めて狭い範囲にレーザー光を絞ってエネルギーを集中させるが、これを少し広げることで「汚れは剥がれるが素材表面は傷つかない」レーザー光となる。レーザー光を透過してしまう一部の素材(ガラスなど)には使用できないものの、洗浄剤や薬液を使用しない表面洗浄法であることから近年にわかに脚光を浴びている。汚れや付着物だけでなく塗膜も除去することができるため、海外では航空機や橋梁の塗膜除去にも使われている。

同社がレーザークリーナーの本格的な販売を開始したのは2014年のこと。「実は装置の開発・生産自体は2005年から行っていましたが、当初はなかなか納入に繋がりませんでした」と同社の小畠氏は当時を振り返る。販売開始当初こそ苦戦したものの、薬液洗浄からの転換を目指すある企業への納入を皮切りに受注が増加。SDGs意識の高まりに合わせて販売台数を伸ばし2024年には累計販売台数100台を突破した。製品もバージョンアップを繰り返しており、2017年に改良型、2020年に高出力型(TEFⅢ-110:110W)を相次いで発表している。

同社のレーザークリーナーの最大の強みは国産であることだ。為替や地政学リスクが増大する昨今において、国内メーカー製というのはランニングコストの面で大きな安心材料となる。加えて、国内有数の実績を持つ受託レーザー加工メーカーの精鋭技術者たちが発振器の選定から光学系までこだわって設計・製造しているため、その品質も折り紙付きだ。出力こそ100W程度とレーザークリーナーの中では中規模だが空冷方式のためチラーも不要。一部の機種は装置ごと持ち運んで使うこともできる。
金型洗浄業務における3K作業からの解放を実現―より安全な据え置き型も新登場
「イレーザー®」が活躍する場面は様々あるが、最も多いのが金型洗浄だ。樹脂やゴム系の成形では金型に粘着性のゴミやガス汚れが付着するため定期的な洗浄が必要となるが、薬液を用いる3K作業である上に廃液処理にもコストと環境負荷がかかる。このような場面で「イレーザー®」を使用することで、3K作業からの解放と廃液レス化を同時に実現できるのだ。このほかにも、めっきの前処理、板金・製缶品のサビ取りなどでサンドブラストの代わりに用いられている事例のほか、電着塗装用ハンガーの塗膜除去に活用している導入先もあるという。「イレーザー®」では、焦点裕度(どれくらい上下に手ブレしても効果があるかの値)が±10mmと海外製品に比べて大幅に広く、作業者による効果のばらつきが小さいのもポイントだ。



長らくハンディタイプのみだった「イレーザー®」だが、2025年には高精度な据え置きタイプの「TEB-SF-ELASER」がラインナップに加わった。レーザークリーナー用のレーザーは直接目に入ると失明する危険性があり、ハンディタイプでは保護メガネの着用が必須となる。そこで「TEB-SF-ELASER」ではボックス内に入れた製品に照射を行う方式とすることで、保護具不要で安全な洗浄を実現した。現状では1サイズのみの展開だが、今後の需要に応じては大型モデルの製品化も検討しているという。

同社では東京都羽村市と福島県郡山市の2拠点で「イレーザー®」の実機デモを行っている。「弊社ではすべてのお客様で、必ず一度お試しいただいてから購入いただくようにしています」と担当者。持ち込みによるテスト洗浄にも随時対応している。
同社が創業当初から抱いていた「いつかは装置メーカーに」という夢が形となった「イレーザー®」シリーズ。労働安全衛生環境の向上と環境負荷低減を同時に成し遂げる革命児として、工場の働き方を変える日もそう遠くはないだろう。
