
業界特集

株式会社コガネイ
掲載企業株式会社コガネイ
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主要3品目
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エアシリンダ
フッ素バルブ
電磁弁
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従業員数
600名(グループ全体 1,200名)
単品販売からFA装置コンサルへ―
空圧機器の専門メーカーとしての対応力をフル活用
株式会社コガネイは、1964年のエアバルブ製造開始以来60年以上にわたって空気圧機器を販売する老舗メーカーだ。現在国内シェア第3位となる同社の強みは、顧客の要望に応じて細かな部品の作り分けを中心とするカスタマイズ力。同社の前身となる山本工業株式会社が精密切削工具の製造販売を手掛けていたことで、社内に部品加工の知見や技術が蓄積していたことがその理由だと同社担当者は説明する。現在同社が販売する電磁弁やエアハンドなどの製品を足し合わせると、ラインナップは約100万通り(様々なオプションの組合せ次第ではその数十倍)にものぼり、そのうち約1/3はカスタマイズ品が占める。業界では他社に先駆けて一部製品を2年保証にしたという同社製品は、様々な業界から支持を集めており精密機器のハンドリングから食品製造機械まで幅広い業界で活躍している。


長年空気圧機器「単品」のカスタマイズ設計を得意としてきた同社だが、近年ではその中で培った対応力を活かしFA装置の受託設計・コンサルティングサービスに力を入れている。「お客様からの要望で、複数機器を組み合わせたユニットを製作しお納めすることは以前からありました。それをさらに発展させ、FA装置として一式をお引き受けするのがこのサービスです」と同社担当者。耐水性・耐油性をはじめとした様々な環境に適合する設計ノウハウと、膨大な数のバリエーションを持つ同社の空圧機器製品を自社内で組み合わせることで、他の受託FA装置メーカーとは一線を画した柔軟な提案ができるという。
工場のエア消費量削減に寄与する新製品―パルスエアーユニット
空圧機器を主力商品とする同社では、工場の省エネに寄与する製品も開発している。それが「パルスブローシリーズ」だ。エアブローのガン・ノズルと空気源との間に接続することで電源不要で機能するこのユニットは、内部の機構により空気をパルス状(きわめて短い間隔で出したり止めたりする)に噴射する。


これにより連続エアブローと同等のブロー性能を確保しつつも、最大で空気消費量の約50%を削減することができる。コンプレッサーが使用する電力は工場全体の消費電力の約2割を占めるともいわれており、電気代が高騰する昨今では年々圧縮空気の値段も上がっているといえる。日常的に使用するエアブローにわずかな先行投資を行うだけで、長期的には多額の費用を節約できるのだ。



工場の外にある自動化ニーズにも応える―農業向けの自動化ソリューション
60年以上にわたり多様な業界に装置を納入してきた同社だが、次に目指す業界は工場の外だ。全国的に高齢化が進む中、農業の省力化は喫緊の課題となっている。同社では現在、ブロッコリーを出荷に適した形状にカットして整える装置を開発中だという。「農作物は工業製品と異なり形状が千差万別で難易度が高いですが、弊社内には画像認識システムを得意とするチームもあるので、輪郭検出部分から弊社内で開発をしています」と担当者。FA装置の受託設計で得た技術がここでも活かされている。
今夏には東京都港区の高輪ゲートウェイに新オフィスを構えた株式会社コガネイ。空気圧機器メーカーとしての長年の蓄積を武器に、今後も社会のあらゆる課題を解決していくだろう。

