業界特集
株式会社クラフテックオカモト(東京都武蔵村山市)
掲載企業株式会社クラフテックオカモト
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主要3品目
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精密板金加工+プレス加工(絞り加工)
レーザー・パンチ複合機 / サーボプレス
VE・VA提案。その後の試作・量産まで一貫対応
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従業員数
50 人
「真の精密板金を金型レスで実現する。これはなかなかまねの出来ないことです」― 株式会社クラフテックオカモト 代表取締役社長の岡本太郎氏は胸を張る。金型レス生産とは、プレス金型を使用せずに従来品と同等、もしくはそれ以上の精度で部品を加工する方法である。同社は最新鋭の設備と、ノウハウの蓄積によって高精度の金型レス生産を行っている。加工品のサイズにもよるが、抜き・曲げ加工の寸法公差0.05㎜を実現。こうした精密板金を行えるのも、同社がもともとプレス加工を主として行っており、測定器も充実していたことが背景にある。金型が不要であれば初期費用は抑えられ、仕様変更も容易。発注者にとってもメリットは大きい。現在はセルフレジなどの部品を製造しており、売上は順調だという。
同社では見積りの際コスト中身を詳らかにしているため、価格交渉も非常にクリアだ。正直なものづくりの姿勢こそが、同社が支持されている要因でもある。「エミダス生産実績サービス」を導入したことで作業時間を正確に把握しているため、見積には実工数が反映されている。実工数の見える化によって生産性も向上し、作業員のモチベーションもアップしたという。
岡本氏が目指すのは、ベンチャーなどのように小規模な企業であっても、メーカー同士がフラットな関係でディスカッションしながらともに良い製品を作り上げていく姿だ。岡本氏は語る。「純粋にいいものが作りたい。そのためにはメーカーと一緒に量産性までを考えたプロダクトデザインが必要。当社が作ることによって、製品の価格は上げずに付加価値を上げていきたい」。組立や塗装などは自社では行わず、あえて板金加工に絞ることで、技術でものづくりに特化した事業形態で差別化を図る。同社と同じようにトップレベルの技術力を持ったパートナー企業との協業も視野に入れている。
業界トップクラス、最新鋭の設備を導入したことで、経験の少ない若い人や力のない女性でも加工設備のオペレーションが可能になった。思い切った設備投資には「勢いと度胸が必要」と岡本氏は笑うが、中小企業にとっては重大な問題だ。補助金を利用しつつ、現在の方向性に舵を切ったことが、同社が生き抜く上で重要な分岐であった。「今後は精度が求められる医療機器にもチャレンジしていきたい」。思い描く設備が整ったことで、岡本氏は更なる展望を語った。