
業界特集

株式会社最上インクス
掲載企業株式会社最上インクス
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主要3品目
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試作加工
量産加工
薄板金属加工・樹脂射出成形
薄板金属の試作で技術力を磨き、開発の最先端に立ち続ける
開発のさらに上流から関わることで、最先端の情報が入ってくる。およそ25年前、最上インクスが試作に特化することで狙った効果は、すでに期待以上の結果を生んでいる。試作案件は断らず、あらゆる業界、数多の素材、とにかく数をこなすことで蓄積されたノウハウと磨かれた技術力。それは新素材にも対応可能な体制を作り上げ、業界内で「試作と言えば最上インクス」という地位を確固たるものにした。燃料電池のセパレーターがカーボンから金属に移行する際も、同社は20年前から着手し、すでに量産へ移行している。このように自動車に限らず、医療機器や通信機器、産業機械、さらには材料メーカーと広い業界から高い信頼を勝ち得て、最上インクスは常に開発の最前線に立ち続けているのだ。
量産工程を考えた試作で顧客目線の提案を行う
現在同社の柱となっているのは、車載用コネクタだ。自動車の電装化が進む上で必要不可欠なコネクタだが、住宅用などの従来のコネクタとは求められる仕様は大きく異なる。高温・低温下という厳しい温度環境、寸法精度、そして長時間振動にさらされても決して外れない。車載用コネクタに求められるのは小さく高性能、そして日本車の信頼性の高さに応えられる品質だ。車載用品はテスト品であっても、試験回数が多いため試作品としては数量が多い。量産と変わらない高精度の金型を作成して試作開発を進めている。素材を何度も変更することも多い。特殊な材料でも、同社のノウハウを生かしつつトライアンドエラーで対応する。こうした新素材が全て市場で生き残るわけではない。開発の最先端にいるからこそ、多くの材料を取り扱う経験値が上がっていくのだ。さらに量産移行の際にコストを抑えられる加工方法を提案するなど、顧客が求めるニーズをくみ取り提案を行うことができるのが同社の強みだ。大手メーカーだけでなく、スタートアップ企業からの支持を受けているのも、蓄積されたノウハウから顧客が喜ぶ提案を行うという同社の姿勢が評価されているためだろう。
蓄積されたノウハウを生かした薄板金属フィン工法開発
新製品開発・販売にも挑戦
最上インクスの技術力と開発力、そして常に最新の情報を得て顧客ニーズをくみ取る力は、技術開発に活かされている。定置用燃料電池は、ビルなど大型の需要が伸びている。これまでより小さなものと精密な方向に進みがちであった技術開発の方向さえ変化が見られるという。そこで同社が開発したのが「広幅&高アスペクト比薄板金属フィンの工法」だ。大きな製品を製造するために大型の設備を投資しなくてはならないという常識を覆し、従来の設備でより大きな製品を作ることができるようになるという。これによって大きな設備投資の必要がなくなり、ライン構成もコンパクトにすることができる画期的な工法なのだ。

同社では試作だけでなく、現在はオリジナル製品の開発・販売に新たにチャレンジしている。配管に取り付けることで熱課題を解決できるスタンダードフィンは、省エネ規制の厳しい化学系やエネルギー系のプラントですでに導入実績がある。後付けで設置することができる画期的な製品だ。しかし、全く畑違いの業界であることもあり、同社の知名度はまだまだ低い。現在は知名度を上げつつ、今後もアイディアを商品化していくつもりだ。省エネや脱炭素という社会の流れの中で、放熱部品の需要はさらに上がっていくと期待している。「これまでなかったエンドユーザーからの『こんなのを待っていた!』というお声を聞くととてもうれしいですしやりがいを感じます。これまでの図面のものを作るとはまた違った楽しさがありますね」

