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顧客に寄り添い創業60周年 ホーニング加工など希少な技術に強み

顧客に寄り添い創業60周年 ホーニング加工など希少な技術に強み

株式会社山本工業所(愛知県名古屋市)

掲載企業株式会社山本工業所

主要3品目
  • 3D

  • 5軸加工を伴う試作部品

  • パイプ内径のホーニング加工

従業員数

28人

年間売上高
5.7億円

 「これと決めたお客様のために一生懸命」――株式会社山本工業所代表取締役社長の山本俊樹は自社の強みはこれしかない、と笑う。2024年で創業60周年を迎える同社は、創業当初旋盤が2台だけの小さな町工場だった。転機は、同社が1981年と84年にNC旋盤、マシニングセンタを導入したことに始まる。当時、高額なNC工作機械を用いるのは量産部品と決まっていた。試作や単品加工の少量品は段取時間の占める割合が大き過ぎてマシンチャージが合わないため、汎用機を用いるのが通常であった。

 しかしマシニング加工は品質のばらつきが少なく、まるで金型で作ったような部品となり、お客様に高付加価値を与えることができるのだ。マシニングセンタのプログラムを作る際、中小企業であるがドキュメンテーションの作成を徹底。工具や原点、留意点を示し、解りやすいプログラム作成を意識することで誰でも加工プログラムを変更できるようにした。こうしたプログラミング様式を早い段階から取り入れることによって、プログラマの養成を短期間に出来たのだ。二輪車のレース用部品、試作品を多く行っていた同社は、こうして客先の信頼を勝ち得ていった。

 同社の加工技術の中でも特徴的なのがホーニング加工だ。これはパイプ内径の面粗度、真円度、同筒度を高精度に仕上げる加工で、油圧シリンダーやエンジン部品に欠かせない。大手メーカーではインラインに設備を持っているが、中小企業でホーニングマシンを持つところは少ない。利益の40%を設備投資に充てるという積極的な姿勢も、何より顧客の要望に応えたいという同社の姿勢が現れている。

 試作や単品加工は毎回作るものが異なる。そのため見積作業が煩雑となる点が課題であった。量産品でも数量を数通り変化させて提出するときに償却数や直行率の計算が悩ましかったのだ。まだ各業態に沿った生産管理システムや会計ソフトがない1993年に、同社は独自に見積から派生した YSystem (ERP)を開発。1998年にはERPとガントチャートを組み合わせて工程の見える化を行っている。同社が手掛ける部品には機密も多いため、セキュリティ強化のために自社サーバを置きイントラネットを整備するなど、IoTやDX という言葉が一般的になるずっと以前から業務の IT 化を推進している。

 2010年には水中の魚などをカメラで撮影する水中ハウジング「ACQUAPAZZA」を世に送り出し、熱狂的なファンを生み出した。山本工業所の60年は、顧客のためにできることをひとつひとつ積み上げ今に至る。今後の展開は未定だと言うが、アンテナを広げてリサーチを続けながら、新事業と働きやすさを模索し続けている。

代表取締役社長 山本 俊樹 氏

掲載会社情報

株式会社山本工業所

株式会社山本工業所

所在地
〒462-0016 愛知県名古屋市北区西味鋺2丁目318番地
TEL
052-901-8500
FAX
052-901-8561

製品情報

  • 試作部品の三次元加工

  • パイプ内径のホーニング加工

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