業界特集
株式会社プラモール精工(宮城県富谷市)
掲載企業株式会社プラモール精工
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主要3品目
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自社開発商品のガス抜き部品『ガストース』
『スーパーガストース』
自社開発商品の糸引き防止スプルー『ラジエタースプルー』
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従業員数
39人
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年間売上高
- 3.2億
プラスチック射出成形における成形トラブルはなぜ解消されないのか。なぜ無人化を達成できないのか。その答えは「内圧」にあった。
株式会社プラモール精工は、創業時プラスチック金型製作や量産成形を行っていた。しかし金型・成形だけではどうしても客先依存となってしまう。そこで同社は2010年、自社開発製品の販売を開始。翌年には特許を取得し、下請け100%から脱却した。同社が開発したのは、金型の突き出しピンにガス抜き穴を加工した『ガストース』だ。
プラスチック射出成形において、ガスは悩ましい問題だ。なぜなら、ショット数の少ないトライ段階では問題にならないことが多いためだ。量産成形がスタートし、量産が軌道に乗り始めたときにこそガス焼けが発生してしまう。ガスの対策は材料の乾燥や成形条件だけでは難しい。ガス対策のために成形条件を変更することで、ショートショットやバリといった別の成形トラブルが発生してしまうこともある。ガスを抜くためには金型にガスベントをつけなくてはならないが、ガスベントを後から金型に加工するのは時間もコストもかかってしまう。そこで同社が目をつけたのが突き出しピンだ。突き出しピンは基本的にどんな金型でも使用されており、交換も簡単だ。突き出しピンを『ガストース』に変更するだけでガス対策が完了するというこの製品は、まさに画期的なのだ。
「ポイントは実にシンプルで、金型の内圧上昇を防ぐことです。多くの金型ではガスベントが不足しています。人が成形条件をコントロールすることで品質を維持するという考えではなく、金型で対策を行うことが重要です」と代表取締役の脇山高志氏は語る。
ガス対策をしっかり行うことで、成形不良はなくなり、金型のメンテナンス頻度も下がる。成形機の「チョコ停」がなくなれば、効率が上がるだけでなく省人化によって人件費の削減にも繋がる。材料のムダも減り、成形工場の利益を向上させることができるのだ。金型の付加価値が上がれば、金型メーカーにとってもメリットが大きい。自社での実績も製品の信頼性を後押ししている。量産成形も行っているが、一度決めた成形条件は変更しないという。同社では成形工場の夜間完全無人化を達成しており、工場見学会は好評だ。
同社では糸引き防止スプルー『ラジエタースプルーブシュ』など画期的な商品を次々に生み出している。さらに徹底的な内圧対策として松井製作所と共同で進めているのが『瞬間吸引成形』だ。これは従来の真空引きとは異なり、金型のシールを必要としないため、金型費用も抑えられるだけでなく、内圧上昇効果も絶大となる。「日本の金型屋さん成形屋さんが元気になるお手伝いをしていきたい」――プラモール精工の目的はシンプルだ。