業界特集
合資会社ヤスイペイント工芸所(愛知県名古屋市)
掲載企業合資会社ヤスイペイント工芸所
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主要3品目
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板金加工
焼付塗装(アクリル、メラミン他)
粉体塗装
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従業員数
15 人
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年間売上高
- 2 億円
「塗装をコア技術にしたものづくり会社」――合資会社ヤスイペイント工芸所品質管理課の青山創氏は同社をそう表現する。同社は少量多品目に特化し、あえて自動車の量産を除いた幅広い業界で多様な塗装を行っている。2021年には医療機器製造業として登録。医療機器に限らず、工業機械、光学機器、半導体製造設備など「品質に厳しいものを得意としています」と青山氏は胸を張る。新しい技術や塗料を取り入れることにも積極的で、展示会に掲示したサンプルを「まるごと欲しい」と大手メーカーのデザイン関係者から依頼を受けたこともあるという。さまざまな種類の塗装を手掛けているが、金属7割、プラスチック3割と素材も幅広い。従来、塗膜密着性が低く塗装が敬遠されているPE(ポリエチレン)やPOM(ポリアセタール)へも、同社の独自技術で高耐久の塗装が可能だ。
同社の強みは何と言ってもその小回りの良さだ。少量でもユーザーの要求品質に則った色や質感、耐久性などをカスタムして組み合わせて提案できる。シボ塗装を得意としており、提案できるシボのパターンは色艶、シボの大きさ、耐久性、滑りにくさ、メタリック感などの組み合わせは無限大(同社)であり細かく調整が可能だ。粉体塗装でも小ロットに対応している。対応業界の幅が広いため、エミダスなどインターネットからの問い合わせも多いが、製品の用途や使用環境、求める機能性を聞き出し、きれいに仕上げる提案を行っている。試作案件も多く、店舗の什器、イベント用の特注品など少量加工にも応じる。最大2メートル四方の焼付塗装から、小指の爪の大きさほどの機能部品へミクロン単位の膜厚管理が必要な精密コーティングまで対応可能だ。
2002年に「工業塗装業としては日本で初めて」(同社)、自社でISO9001を取得。塗装ではネックとなる色彩・艶の管理を色彩色差計や光沢計を用いることで数値管理している。同社は名古屋市の中心地に工場を持つが、周辺環境への配慮はもとより、従業員にも身体にやさしいものを選択する。粉体塗装でも焼付の際に煙の少ない新製品を取り入れるなど、できることは全てやるという。「創業以来70年超、近隣からの苦情はない」と青山氏は話すように、その姿勢への評価は上々だ。
青山氏は今後について、「どんな業界の製品がきても対応できる体制づくりをしていきたい」と語る。業界によって、塗装の見える面はもちろん下地処理の方法などは全く異なる。日々の案件の積み重ねが重要だ。「得意分野は塗装ですが、それをコア技術として板金加工からメッキを含む表面仕上げ、シルクスクリーン印刷やUVインクジェット印刷の相談を受けており、それらは製品の意匠性と表面の機能性に大きく相互関係します。今後も幅を広げ、どんな相談をいただいても満足いただけるようチャレンジを続けていきます」。