業界特集
フジテック株式会社(埼玉県川口市)
掲載企業フジテック株式会社
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主要3品目
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鋼板曲げ(ロール曲げ)
R 曲げ
プレス曲げ
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従業員数
33 人
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年間売上高
- 4.6 億円
「曲げ加工技術の付加価値を上げたい」―フジテック株式会社 専務取締役の藤田一平氏は語る。同社の強みは何といっても「曲げ加工」だ。曲げの精度、薄板をロール加工によって真円に限りなく近づける技術力。らせん階段に使用される鋼材のササラ曲げ(階段板曲げ)は、日本国内にあるものはほぼ同社によるものだという。3本ロール機の設置台数は日本でも有数だ。だがそれでも、リーマンショックの影響で経営的に危機に陥ったこともある。
しかし2020年にWebページをリニューアルしたことで、その状況は大きく変化。これまでの営業方針を改め、Web受注をはじめ新規顧客開拓をスタートさせたことで会社の業績が向上した。「お客様の要望にはできる限り寄り添います。お客様とコミュニケーションを取ってニーズをくみ取り提案する。こうした対応力が評価を受けている」と藤田氏が語るように、難しい曲げ加工や、とにかく曲げで困った時など、同社に声がかかる。その結果として、テーマパークの建造物や芸術大学の卒業制作など、同社が受ける仕事は難易度が高い仕事ばかりだ。確かな技術力と細やかな対応力という同社の強みを活かし、安売りはしない。その姿勢を貫いたことが、同社の付加価値をさらに高めているのだ。
新しい顧客の仕事を受けるということは、これまでの仕事のやり方を大きく変えることにもなる。同社は曲げ加工を専門としているが、穴あけや溶接といった追加工や遠距離の配送などの要望も増えている。社内の調整について、「私は全て金額を言います。これを対応することで、これだけ売り上げが上がると説明すると社員もやる気を出してくれます」と藤田氏は笑顔を見せる。社内の風通しの良いことも、熟練職人たちが集まる同社の強みだ。
同社が行うH鋼やC形鋼などの冷間曲げは、NC(コンピュータ数値制御)が付いておらず、経験豊富な職人が鉄と対話しながら曲げていくという。こうした特殊な技術の伝承が今後の課題だ。職人の後継がおらずやめていく会社も多い。高い技術が求められるにも関わらず、価格が抑えられている業界の問題もある。同社は若く、やる気のある社員たちも多い。藤田氏は語る。「これからは本物だけが生き残る時代」。フジテックはこれからも日本の建造物や製造業を、曲げ加工で支えていく。