中小製造業のWEBマーケ事例
旭鍍金株式会社(三重県津市)
掲載企業旭鍍金株式会社
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主要3品目
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バレルめっき(Niめっき、Snめっき、Agめっき等)
フープめっき(Auめっき、Agめっき、Snめっき等)
静止めっき(Snめっき、SnBiめっき等)
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従業員数
97人
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年間売上高
- 18億円
インターネットによる情報発信を、社員教育の機会に
旭鍍金株式会社は三重県津市に拠点を置く、県内最大の表面処理総合メーカーである。金・銀・銅・スズ・ニッケル、亜鉛など幅広い種類のめっきを手掛け、バレル研磨・熱処理・テフロンコーティング等の前処理から後処理まで一貫生産している。
インターネットに力を入れ始めたのは、2005年にエミダスプロ会員となった頃だ。サイボウズを導入し社内のネットワークが盛んになったほか、WEBでの情報発信に注力した。とくに反響が大きかったものが動画だ。3Kと言われるめっきの現場だが、旭鍍金の工場は綺麗であることがわかりやすく伝わる。取り引きのある企業が動画を他社に紹介してくれることもあった。また、三重県の工場排水は伊勢湾に流れるため、厳しい排水規制にも対応していることも動画によってアピールができた。
自社サイトやエミダスへの情報掲載は、若手社員がチームを組んで製品などの写真やテキストをアップロードすることに。その目的を専務取締役の杉野公治氏は「検索してもらうことのほかに、若手社員が社内でネットワークを作りながら集客をする楽しみを経験してもらいたいという思いがありました」と説明する。営業以外の若手社員で4班のチームをつくり、週に一度ほど集まって、めっき部品や設備を撮影して公開する。そして情報のアクセス解析を確認し「何社が検索してくれた」などの成果の喜びをチームで楽しみ競い合いながら経験した。また、自分達で発信用の情報を作ることで初めて、普段の業務で自分が扱っている部品の用途や重要性を知る機会にもなった。
従業員を大切にする企業は続いていく
杉野氏は「当社は量産のためWEBで新規受注を増やすことは難しいことは前提として、受注にはあまり繋がらなかったが社員教育としてとても役立ちました。営業の楽しさと同時に、難しさもわかってもらえたと思う」と満足している。今でも定期的に自社のWEBを悪人し、更新状況をチェックしている社員も少なからずいる。
社員教育に力を入れるのは、先代社長から受け継いだ思いがある。「経営は愛。従業員をなにより大事にしないと」と酒の席で何度も言われたことが、杉野氏に強く残っている。「今の社長も従業員をとても大切にしています。私も、顧客満足度はもちろん、従業員満足度を非常に大事にしたい。そうすることで会社が続いているのだと思います」。
コロナ禍1年目には「団結力」を方針に掲げ、秋には前年を上回るほどの受注を得て苦境を乗り切った。2020年に関東の生産拠点を開設した。現在はロボットによる省人化、量産の自働化によるバラつきの減少に、より力を入れている。「省人化をしても、人の手が必要なところは当然あります。やはり働く人間の技術が大事なのです」。創業77年目の変化のなかでも、従業員を大切にすることはこれから変わらない。