成長企業の経営戦略

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難形状も意匠も自在に 印刷成形・真空成形で新しいものづくりのカタチ 

難形状も意匠も自在に 印刷成形・真空成形で新しいものづくりのカタチ 

株式会社パックマン

掲載企業株式会社 パックマン

主要3品目
  • 真空成形

  • 圧空成形

  • 印刷成形

海外からも高い評価を得る真空成形 

 リアルで精密なカラーリングに、正確な造形。海外からも高い評価を得るラジコンカーの外装部に、日本企業の真空成形技術が用いられている。そんな高い技術を持つのが岐阜県関市にある株式会社パックマンだ。同社は関市の地場産業である刃物の包材を長く取り扱ってきたが、現在では包材だけでなく印刷成形を取り入れ、力を入れている。

 樹脂シートを加熱し、金型に密着させて成形する真空成形は、ブリスターパックや卵パックなどの包装資材で使用されるイメージが強い。だが印刷と組み合わせた真空成形は、広告・販促グッズだけでなく、遊戯機器の外装部、家電、産業機器まで幅広く採用されている。

 これまで難しかった逆テーパなどの軟形状の成形を可能にしているのは、他社にはない特別に改造された成形機と蓄積された経験値。真空成形は条件の安定が難しく、品質の安定にこそ、技術力がものを言うのだ。 

図面・イラストを支給するだけで造形できる対応力の高さが強み 

 印刷成形では印刷の美しさも不可欠だ。シートを伸ばしながら成形するため印刷面が伸びてしまう。伸びた部分の色の薄さや印刷のズレ、さらに2Dのデザインデータさえあれば、3D化して違和感のない成形品を作りあげるのも同社が持つ独自のノウハウなのだ。キャラクターや実在の人物などは意匠性が非常に厳しい。少しのズレ、ちょっとした色の違和感という感覚的な問題にも、誠実に向き合い課題解決に取り組む。これまで多くの版権物を取り扱った経験があり、それらに誠実に向き合ってきたからこそ、他社ではできなかった難しい案件が同社には舞い込んでくる。顧客の信頼を勝ち得ているのだ。 

真空成形をより広い用途へ 

 ラジコンカーの外装に真空成形が用いられるのは、その意匠性の高さだけでなく、軽さが挙げられる。近年ではドローンなどでも採用されており、新しい用途が開発されてきている。さらに射出成形よりも安価にできるという手軽さもメリットだ。

 

 単純に比較すれば、金型費用は射出成形の1/5程度に抑えられるだけでなく、シートに印刷をすることで、塗装レスが可能となる。もちろん、真空成形の特性上できないことはある。だが包装資材やトレー、販促品だけでなく、より広い分野で活用が見込める。同社では多様なシートで成形可能。用途や価格によってシートの材質を変えることで、さまざまな機能を付与することも可能だ。バイオマス材料などにも対応している。同社では試作から印刷、さらにトムソン抜きやプレス抜きなどの二次加工にも柔軟に対応している。1枚からの少量試作にも、なるべく低コストで済むような提案も行っている。シート印刷と成型加工で作る販促品や大量受注も柔軟に対応できるよう、常に加工現場は備えている。協力企業と連携しながら、顧客要求を満たすための準備は万端だ。 

 真空成形は、なかなか製品のイメージがわきにくい。そこで同社は自社ケース加工のキーホルダーになる練り香水タブレット「PACHET」を共同で作成。多くの人に知ってもらうことで、真空成形の用途を広げていきたい考えだ。また、容器自体にもLitty pouchiというブランド名を付け、容器・ケースとしても販売を開始。かわいい小さな入れ物という名前には、年齢の幅なく多種多様に使用してもらいたいという思いが込められている。 

脱プラをチャンスに 

 脱プラスチックの名のもとにプラスチック製包材から紙への転換が進んでいる。だが、紙資材に代わったことで組立工数や副資材の増加など、見えにくいコストアップやゴミの増加が起こっている。その結果、再びプラスチックに回帰するという現象がすでに起こっているという。印刷成形を活用することでパッケージの最小化が可能となり分別の手間が減るなどのメリットもある。

 バイオマス材料を活用するなど、より環境に配慮することもできる。「使い切りで終わらない、捨てない容器の製品提案もしてきたい」と営業部 部長 榎本 優一氏は話す。脱プラスチックの向かい風を、追い風にできる。印刷成形の可能性はまだまだ広がっている。 

製品情報

  • 真空成形とは?複雑アンダー形状を自在に再現する技術

  • 圧空成形と真空成形、どちらを選ぶ?コストと形状再現性で比較

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