樹脂部品向けの精密金型を日系企業に提供  ～高付加価値の一貫生産サービスで受注増を目指す～ 

　WELLMEIタイランドは、中国広東省に本社を構えるWELLMEIホールディングスのグループ会社として、2015年に設立されたタイ工場だ。樹脂部品向けの精密金型を手がけ、取引先の9割以上が日系企業。約7割が自動車・二輪関連、残りの3割はOA機器や家電メーカーとなっている。同社のゼネラルマネージャーである董（トウ）さんは、日本の大学院を修了後、約10年間、日本の研究開発試作メーカーで勤務した経験を持つ。日本の製造業に精通し、流暢な日本語を操る董さんに話を聞いた。 

親会社はプラスチック金型を主力とする中国大手企業 

　WELLMEIホールディングスは、プラスチック金型を主力とする中国の大手企業です。1988年の設立以来、中国国内にとどまらず、タイ、アメリカ、インド、インドネシア、ベトナム（成形がメイン）にも工場を構え、欧州、米州、日本など幅広い市場で事業を展開しています。私は日本での経験と日本語力を評価され、2020年2月に日系製造業が集積するタイへ赴任しました。 

ティア1、ティア2企業との接点を求めてFBC商談会に出展

　FBC商談会は、ティア1、ティア2の企業と直接つながる貴重な機会です。実際に、商談会で知り合った日系企業へ営業を行い、金型の見積もりを依頼していただいたこともあります。また、NCネットワークがバンコクやシラチャで年に6回開催する交流会（食事会）にもよく参加しています。この交流会には、製造業をはじめ、商社、物流、ITなどさまざまな業界の方々が参加しており、業界を超えた横のつながりが広がっています。NCネットワークの社員の方々には、マッチングや製造業のトレンドに関する相談もさせていただいています。 

FBC商談会は異業種の企業とも出会える貴重な機会

　最も重要な目的は、会社が生き残るために受注を増やすことです。特に現在のような不景気では、成長しなければ会社は埋もれてしまいます。常に危機感を持ちながら、お客様を探し続ける努力が欠かせないと考えています。 

　FBC商談会は、通常の営業活動ではなかなか接点を持つことが難しいTier1やTier2の企業と出会える貴重な機会でもあります。こうした企業とのつながりが、新たなビジネスの扉を開くきっかけになることを期待しています。さらに、当社は自動車業界を中心に事業を展開していますが、FBC商談会では他業界の企業とも出会うことができます。異業種の技術やニーズを知ることで、新たな可能性が生まれるかもしれません。こうした幅広い出会いを通じて、将来の事業の方向性を探ることも視野に入れています。 

金型製造に加えて樹脂成形も含めた一体化サービスも視野に

　将来的には、より幅広いお客様のニーズに応え、付加価値を提供するため、金型製造に加えて樹脂成形も含めた一体化サービスに取り組んでいく予定です。たとえば、自動車メーカーは基本的にアッセンブリを中心としているため、金型よりも樹脂部品やユニット部品を求めることが多いです。今後、こうしたニーズにも対応していく必要があり、協力会社との連携も視野に入れています。FBC商談会は、こうした協力会社を見つける際にも役立っています。さらに、より高度な精密金型の受注も増やし、技術レベルを一層向上させることで、他社との差別化を図っていきたいと考えています。 

今後もNCネットワークのマッチングイベントに期待

　弊社は樹脂関連の業界に属しているため、たとえば樹脂金型をテーマにした交流会や、樹脂成形企業の見学会などを企画していただけると大変ありがたいです。タイには多くの日系企業があり、その中には業務拡大に伴い今後、設備を増強する企業も出てくるでしょう。そうした企業に対して積極的に営業を展開していきたいと考えています。マッチングの機会が増えれば、それだけビジネスチャンスも広がるはずです。また、御社にはベトナム支社もありますので、そのネットワークを活かし、タイの企業を集めてベトナムへの視察ツアーを企画するのも一案ではないでしょうか。個人的にも、タイ市場とベトナム市場の違いや、東南アジア市場への参入の可能性について関心があります。