業界特集
株式会社ワールド山内(北海道北広島市)
掲載企業株式会社ワールド山内
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主要3品目
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レーザー加工
ステンレス製品の高度技術加工
非鉄金属加工
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従業員数
100 人
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年間売上高
- 18 億円
「世界に通じるものをつくりたい」― 株式会社ワールド山内の会長、山内静治氏はその思いから昭和58年に社名を山内鉄工所から「ワールド山内」に変更した。その思いは平成28年社長に就任した山内雄矢氏にも受け継がれ、ワールド山内らしさにとことんこだわりながら、事業領域をBtoBからBtoCへと拡大する、攻めの経営を進めている。
ワールド山内らしさとは「信念を持ちながら本物を生み出すこだわり」だと雄矢氏は語る。
モノや情報があふれている現代だからこそ、本物を見極める消費者の目はごまかせない。
同社は5年ほど前からBtoCの事業を開始した。雄矢氏が手掛ける自社ブランドWorld Craft Designは、ゴルフクラブの中でもスコアを左右すると言われる、パターの製造を行っている。ツアー優勝を果たすプロゴルファーからも支持されており、同ブランドのパターから同社を知り、新たな仕事につながることもあるという。金属の価格やエネルギーコストが上がり続ける昨今、製造業が従来のまま利益率を維持していくのは難しい。「基盤がしっかりありつつも、その技術力をいかに商売につなげるかが大事です。本物を作るという信念でやっています。パターは高額商品ですが、1本1本フィッティングをして製作するため、効率が良いわけではありません。本物を求める客層をつかんだことで、さらにファンの輪が広がっています」と雄矢氏は語る。パターには同社の技術力が結集された、まさに「最高の営業マン」と言える。
同社の工場は自社で開発したソフトウェアでDX化され、最新鋭の自動機が稼働するスマートファクトリーとなっている。工場見学の人気も高い。同社が開発したシステムは、現場が自分たちの工場を運用管理するために作り上げた現場目線のソフトだ。作業者がソフト運用のためのインプット作業を別途行う必要がなく、新たな業務が発生するなどのストレスなくデータが蓄積されるという。このソフトを内容ごとにパッケージ化し、サブスクリプションサービスを展開予定だ。
同社は北海道に工場を構えるが、取引先の7割は道外だという。雄矢氏は「困ったことを解決するということが仕事の第一のきっかけ」と語る。上記のようなきっかけや講演会で同社を知り、頼ってきてくれる会社には、同社の持つ技術と納期の対応力をもって全力でサポートする。その結果ファンが増え、さらにその輪が広がっていくという。距離的な遠さはあっても、会社が北海道にあるということは決してビハインドではない。むしろ食や自然など、北海道の魅力はそのまま同社のファンを増やすセールスポイントにもなる。
将来に向けBtoBの事業はさらに世界、そして宇宙を目指し、航空宇宙分野にも挑戦している。ワールド山内の名前は着実に世界へと広がっている。
ワールドクラフトデザインのパター