業界特集
株式会社田代鉄工所(神奈川県横浜市)
掲載企業株式会社田代鉄工所
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主要3品目
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配管製缶等の施工一式
大型製缶加工【タンク・ダクト・カバー・配管】
ガラス関係生産設備
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従業員数
60 人
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年間売上高
- 26 億円
工場の設備の入れ替えの際、稼働するうちに設備が増えたり、配管や架台を改造したりしたことで図面が現実とマッチしていない。そのため現場合わせせざるを得ない。そんな経験はないだろうか?現場合わせでの対応は、当初の見積もりより、コストも時間も多くかかってしまうこともある。また設備導入の検討段階において、現状の寸法が分からないため現場に機械が入るかどうかの確信が持てない。こうした困りごとを一手に引き受け、現状の工場設備を生かしながら柔軟に、小回りよく、早く、そして連携よく対応できる企業。それが2023年に創立100周年を迎えた老舗企業、株式会社田代鉄工所だ。
同社は配管や機械といった工場内の設備の設計、調達、製缶、部品製造、据付、メンテナンスまで含め対応している。たとえば、海外メーカー製の機械を導入するにあたり、工場内で必要な架台や配管の設計、製造、据付、そして現場合わせで必要になる部品や部材まで、別々の業者を手配することなく同社がまるごと対応する。工場設備の更新の際にかかるわずらわしさは全て同社が引き受けてくれるというわけだ。大規模なプラント建設だけでなく、日本の製造業に多い中小規模の工場にもフレキシブルに対応できる。
なぜこうした対応が可能なのか。それは同社が3Dスキャンで現場の測定、3D CADで設計、そして加工や据付までをワンストップで行えるためだ。同社がスキャンした3Dデータに、3D CADで作った部品データをはめ込むと、現場にどのように設備が追加されるのかが画面上にリアルに浮かび上がる。イラストではなく3D画面のため移動することも可能だ。これを見れば誰もが感嘆の声を上げるだろう。代表取締役社長田代孝信氏は「この規模の会社で、ここまで3Dを活用できるところは他にはない」と自信を見せる。シミュレーションも容易であるだけでなく、実際の施工の際にも分かりやすく、ミスを減らせると評判だ。
「キーワードは分業」と田代氏は語る。日本の製造業は技術の進歩に伴い、新たな設備導入が進んでいる。工場の改造ニーズは大きいのだ。しかし技術を持つ職人はどんどん減っている。そこで同社では、工場でパーツを製造して現地で組み合わせるプレファブ方式を進めている。3次元データがあれば、現場に何度も通う必要もなく正確な寸法でパーツの設計が可能となる。これまで現場で全て行っていた作業を分業化することで、システマティックに、正確でムダのない施工が可能となるのだ。この技術は工場内設備だけでなくさまざまな分野での応用が期待できる。「新しい分野に広げていきたい」、そう語る田代氏の目には、次の100年が見えている。