
業界特集

株式会社シギヤ精機製作所
掲載企業株式会社シギヤ精機製作所
対象顧客は全業種―あらゆる需要に対応する研削盤ラインナップと
オーダーメイド力
株式会社シギヤ精機製作所の創業は1911年。織機の製造を手掛ける企業として設立されたのが原点だ。その後、1958年に円筒研削盤初号機の開発に成功したのを皮切りに、本格的に研削盤事業に進出。以来、半世紀以上にわたり顧客のニーズに応え続け、現在では円筒研削盤の国内トップクラスのシェアを誇る。
同社の強みは圧倒的なラインナップだ。円筒研削盤では国内最大級、世界でも有数のサイズとなる直径1200mm・長さ8000mmまで対応可能な機種を販売するほか、少量多品種向けの汎用機から大規模なライン向けまで、様々なバリエーションを取り揃える。さらに、各機種の機能を組み合わせるオーダーメイドにも対応しており、顧客のニーズに応じてカタログにない組み合わせも提案している。柔軟なカスタマイズに対応するため、生産現場にも工夫が凝らされており、1台の機械に対し1人の作業者が専任で組み立て開始から完成までを担うという。
「かつては自動車関係が売上の6~7割を占める時代もありましたが、現在では特定の業種に偏ることなく、あらゆる業種から引き合いをいただいています」と同社担当者。同社の幅広いラインナップとオーダーメイド力で、全方位・全業種に向けて営業活動を展開している。
AIとセンサーで省エネと段取り時間の削減を実現―オプション機能
「DANKILESS」と「RAKSOK」
シギヤ精機製作所では、研削盤ラインナップの拡充だけでなく、環境負荷の低減や現場の効率化・人手不足解消に寄与するオプション機能も開発している。中でも代表的なものが「DANKILESS」と「RAKSOK」だ。
「DANKILESS」は、研削盤の熱変形を温度センサーで測定し、それによって生じる誤差をAIがリアルタイムで補正しながら研削を行う機能だ。研削盤はワークの最終工程で用いられることが多く、寸法については厳しい要求を課されるケースが多い。そのため熱変位による寸法変化が生じないよう、始業前はもちろん、昼休憩なども絶えず暖気運転を行い研削盤の温度を一定に保つ必要がある。「DANKILESS」ではAI補正によりこの寸法変化率を平均77%低減、コールドスタートからでも短時間で寸法を安定させることができる。これを活用し非加工時に機械を停止させた場合、同社の試算によれば約25%の消費電力削減が見込まれるという(1日8時間稼働、非加工時間2時間の場合)
「RAKSOK」は、ワーク外径をマスターセット無しで直接測定しながら加工を行う機能だ。これにより、従来30分程度要していた外径定寸装置の段取りが不要となり、作業の大幅な効率化を実現できる。多段のシャフトなどでは、径ごとの段取りを行わずに済むため、そのメリットはさらに大きい。少量多品種生産の現場でも絶大な威力を発揮する。
これらの機能は、同社の研削盤ラインナップのほとんどに組み込みができ、注文時にオプションとして選択可能だ。
万能研削盤をさらに多くの工場へ―様々な業種に最適化された最新機種「GSU-20」
先日行われたGTJ2025でも展示され、大きな反響を集めたのが最新CNC万能研削盤「GSU-20」だ。発売以来20年以上のロングセラーである「GSU-30」の小型版という位置付けの同機は、万能研削盤の導入がまだあまり進んでいない、工具や金型といった小型のワークを扱う現場をメインターゲットとしている。
ストレートやテーパーなど様々な形状のワークを加工する場合、通常の円筒研削盤では複数の機械で対応するか、都度段取り替えを行う必要がある。これに対し、万能研削盤を活用することで、すべての加工を1台で完結できるため、設置スペースを最小化できるだけでなく、段取り替えを行わないことで時間短縮と高い同芯度を実現できる。効率化や人手不足対策という観点では、少量多品種の現場ほど万能研削盤を導入するメリットが大きいのだ。「小型のタレット型万能研削盤は他社にないため、多くの引き合いをいただいています。従来万能研削盤を導入していなかった工場にもぜひお使いいただきたいです」と同社担当者は語る。
円筒研削盤のパイオニアとして、業界の先端を走り続けて半世紀。シギヤ精機製作所はこれからも全国の製造現場に寄り添い、オーダーメイドの研削盤や各種アプリケーションなど、様々な製品の開発・提案を通じて顧客の課題を解決していく。