業界特集
株式会社アミヤ(大阪府摂津市)
掲載企業株式会社アミヤ
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主要3品目
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試作鈑金・叩き(打ち出し)鈑金・精密板金
積層金型や ZAS 型による絞り加工(油圧プレス)
小中ロット量産品加工(SPCC,SPHC,SS,SUS)
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従業員数
25 人
株式会社アミヤは、板金製造の中でも試作を得意としている。「常に違うものを作れるという楽しみがあります」と同社の代表取締役中村恒氏は笑う。同社にとってものづくりを楽しむことは何よりも大事な要素。同社の動画チャンネルでは、社長や従業員たちが楽しそうにさまざまなものを作り上げていく姿が印象的だ。しかしそこに技術的な妥協は一切ない。毎年、その年の干支を作る「干支メタル」は、従業員が提案したデザインや作り方をコンペ形式で決め、同社の技術を結集して作り上げており、展示会に出展の際は注目の的となる。職人たちの技術研さんの機会にもなっているだけでなく、良い息抜きになっているという。コスト度外視の一点物のため、非売品だ。
試作や小ロット生産の場合、ネックとなるのは金型製作にかかるコストだ。そこで同社では絞り加工に用いるプレス用金型の費用を抑えるために積層金型やZAS型を得意としている。積層金型とは鉄板をレーザーでカットし、積み重ねた金型のことで、加工が容易だというメリットがある。
ZAS型とは、加工しやすい亜鉛合金の鋳物を用いた簡易金型だ。自動車の試作でよく使用されている技術である。積層金型は単純な形状では問題ないが、複雑な形状や寸法公差を必要とされるものには向かない。一方でZAS型は三次元形状など複雑なものにも対応できる。さらに同社では、ZAS型をリサイクルし、自社で鋳造しなおして新しい金型にするため、金型費用に材料代を含まない。さらに独自のノウハウで型数を減らし、リーズナブルに対応できることが強みだ。積層金型やZAS型は強度がなく、使い捨てというイメージが強いが、同社の油圧プレス技術によって潰すことなく使用することができる。こうした技術的なノウハウが詰まっているため、金型の単品売りには対応していないという。
板金業は人材不足が懸念されている。「板金工」という名称では、若い人はなかなか集まらない。同社も動画配信なども含め、さまざまな工夫をしている。板金はこれからもなくならない業種だが、変化が求められているときに来ている。アンテナを立て、新しい技術を取り入れていく柔軟さが必要だ。その一方で、叩き板金などの古い技術の継承も欠かせない。「ものづくりは全力で取り組んでこそ、面白くなる。楽しんでものづくりをしていきたい」。――中村氏の言葉には、ものづくりの神髄が詰まっている。