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成形メーカーが生み出した「身の丈IoT」現場の見える化で自律的に最適生産を行う工場づくりを推進

成形メーカーが生み出した「身の丈IoT」現場の見える化で自律的に最適生産を行う工場づくりを推進

株式会社サンアドバンス

掲載企業株式会社サンアドバンス

主要3品目
  • 設備稼働システム「MCM」

従業員数

10人

製造業のみならず食品業界、酪農などの一次産業まで汎用性の高い生産管理システムMSMシステム

 「やってみるとびっくりです。ずっと稼働していると思っていた機械が55%しか動いていない。システムを導入して、現在は93%まで改善していますが、100%を目指します」株式会社サンアドバンスの代表取締役 長田 和徳氏は自社の実績を明かした。サンアドバンスは精密樹脂成形を得意とする日進工業株式会社のソフトウェア部門が分社化。同社の現場を見える化するIoTシステム「MCMシステム」は社長の長田氏自身が開発したものだ。長田氏は生粋のコンピューターフリーク。1995年にインターネットが解放されるとプロバイダ事業を起業。システム会社に勤務した経験はないが、製造業の傍ら、自社の生産管理システムを作り続けてきた。当初は各機械の生産データを手入力で行っていたが、生産が遅れると担当スタッフがヘルプに行ってしまうため、入力が遅れてしまう。それでは意味がないということで、機械からリアルタイムに情報を吸い上げるシステムの重要性に着目。しかし市販のシステムでは高額なため、社内で回路設計し基盤を作り上げ、 MCMシステムは産まれたのだ。今はそのIT事業を次男である智和氏がさらに発展させている。

代表取締役 長田 和徳 氏(左)
専務取締役 長田 智和 氏(右)

 MCMシステムの特徴は汎用ポート経由または接点I/Oのオンオフ信号をリアルタイムに、データベースに書き込みをする。そのため、設備の年式、メーカーに拘らず導入可能で、成形機や工作機械のみならず、広い汎用性を持つ。接点を付ければあとは画面を見ながらグラフィカルに設定でき、慣れれば自分たちで簡単に使用できるようになっている。

 販売開始から6年、販売台数は3000台を超え、プラスチック関係だけではなくプレスや溶接といった金属加工で実績がある。特筆すべきは食品業界でも活用されていることだ。自動化が進む食品業界では、不良率を数字で管理しておらず、原料がどの程度必要かといった部分が職人の感覚で行われていたという。現在はカメラとAIを導入した不良検知システムを提案するなど、顧客ごとのお困りごとに対応している。また、同システムを酪農業界にまで広げ、大学と協力して牛の生体管理システムの開発に挑戦している。

中小製造業の「身の丈IoT」で工場ごとに適した生産性向上をサポート

 「自社工場に導入当初、チョコ停時に呼び出しされるのですが、1日で300回以上も鳴る。作業員は恥ずかしいので、いろいろと改善して止まらないように工夫する。今はほとんど鳴らなくなりました」と長田氏。いい方法があれば周りがそれをマネして、競争しながらどんどん現場改善が進む。機械を止めないために、予知保全に意識が向くようになる。機械ごとのクセや傾向にも気付くことができるのだ。現場の見える化だけではなく、それをどう改善して生産性の向上につなげていくかが重要だ。 MSMシステムは、その開発経緯もあり、低価格でシンプルに導入できるのが強みだ。生産力が追いつかないという問題に直面したとき、ただ機械を増やすのではなく、現状の設備でもまだできることがないか。工場ごとのやり方や既存のシステム、設備をどう生かしていくのか。「中小製造業の身の丈に合ったIoTとお客様に言われます」と長田氏は笑う。同社は工場見学会を実施し、自社の改善事例を紹介している。まずは実際に体験することで気づきを得ることが、改善の始まりなのだ。

製品情報

  • 工場設備の稼働状況をリアルタイムで!

  • 今日から始めるIoT 「MCMシステム」

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