
業界特集

株式会社ゼロプラス
代表取締役 大場 正樹 氏
掲載企業株式会社ゼロプラス
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従業員数
84人
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年間売上高
- 約30億円(2024年6月期)
中小製造業ものづくり補助金支援に確かな実績
株式会社ゼロプラスは製造業に特化した経営コンサルタント会社だ。代表取締役の大場正樹氏は、大手非鉄金属卸商社に14年間の勤務経験と中小企業診断士の資格を持ち、ものづくりの現場に精通している。主に中小製造業を顧客として、経営コンサルティングや各種補助金など公的支援策への対応、また現在製造業全体として課題となっている脱炭素経営やDX化に対する支援を行っている。特に「ものづくり補助金」においては1000社を超える中小製造業の支援を行い、民間では全国2位の実績を持つ。
なぜロボットSIer事業を始めたのか
そんなゼロプラスのグループ会社である株式会社ロボプラスは、産業ロボットの企画・開発から導入コンサルティング、のみならず製造販売までを行うロボットシステムインテグレーターである。なぜコンサルティング会社がロボットを作るのか。それは大場氏の前職での経験と苦い失敗が影響している。大場氏は商社勤務時代、20年振りに金属加工の新工場建設業務に携わることとなった。その際、金属加工そのものは自動で行っているが、後工程である面取り作業は手作業で行われていた。グラインダーでの作業は一人が加工できる数にも限りがあるため多くの人手が必要となるだけでなく、作業者の負担も大きい。大場氏はこの作業をロボットで自動化できないかと考え試行錯誤したものの、当時の技術ではカメラの精度が低く、多品種少量生産に柔軟に対応できるロボットは完成しなかった。それから時が流れ、2016年。大場氏は経営コンサルティングの業務をしている傍ら、技術の進歩を実感する出来事に遭遇した。「今の技術があれば、あの時できなかったロボットが作れるかもしれない」そう考えた大場氏は、ロボットシステムインテグレーターとして新たに会社を立ち上げたのだ。ロボットの導入に失敗した経験がある。だからこそ「ロボットを導入する側の視点」からロボットを作ることができる。それがロボプラスの強みなのだ。
ロボット導入成功の近道とは
ロボット導入の際に最も重要なのは、要件定義だ。量産できるものであれば、ロボットの導入はそれほど難しくはない。だが中小製造業では多様な形状やサイズに多品種少量で対応することが求められる。「これをやるならこっちも」とあれもこれもやりたくなってしまうのが人情だ。だが、それではロボット導入は失敗する。かと言ってごく狭められた範囲の中でしか使用できないとなると、ロボット導入の経済的メリットは見込めない。工程分析を行い、要素分解する。どの作業を自動化すれば最大限利益をもたらすことができるのか。どこか1つでも固定できる要素はないのか。こうしたロボットの特性を理解し、共にロボットを作り上げていくことが大切なのだ。

ではどんな作業であればロボットに向いているのか。大場氏が注目しているのは検査工程だ。人間は必ずミスをする。どんなに対策を施してもヒューマンエラーがなくなることはない。だからこそ、検査工程をロボットに任せてしまおうというわけだ。これまで抜き取り検査であった工程を全数検査できれば、費用対効果も生まれてくる。また重量物の移動など、人間には大きく負荷がかかってしまう作業もロボットにとっては得意分野。工場から人をなくすのではなく、人とロボットが得意な分野をそれぞれ担当する。辛い作業、疲れる作業、そうした「非人間的な作業」をロボットに代替する。工程の最適化によって、製造業の現場に変化をもたらすことができるのだ。
ロボット導入の費用面で半分以上を占めるのが機械設備費用ではなく、システムインテグレーション関連費用だ。実際にやってみなければわからないことがたくさんある。大場氏は語る。「ロボットはぶっつけ本番で1回作っただけではうまくいきません。FS(実現可能性調査)といって簡易的な実験機を製作して2回、3回とアップグレードしてから実機製作に取り組むことが成功の近道なのです。今は政府から自動化の補助金も充実している。補助金を取りはぐれないようコンサルティングまで含めてロボット導入を行えるのが当社の強み。ぜひ活用してもらいたい」。