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3D CAD/CAMで、文系卒の新人でも半年で設計や加工の実務習得  

3D CAD/CAMで、文系卒の新人でも半年で設計や加工の実務習得  

株式会社セイロジャパン
井戸 克哉氏 、塩崎 俊哉氏、村田 浩一氏

掲載企業株式会社セイロジャパン

主要3品目
  • 高品位CAD/CAMシステム Cimatron

  • 高性能CAM GO2cam

  • 射出成形CAE MOLDEX3D

従業員数

70人

 約30年にわたり、CAD/CAM/CAEの提供やサポートを通じて製造業のものづくりを支援してきた株式会社セイロジャパン。製造業向けシステム、特にCAD/CAM/CAEには海外製が多い。セイロジャパン自身も海外製のシステムを多数取り扱っているが、日本製造業の現場事情に精通した営業担当や技術者が行う、迅速かつ万全なサポートが特色の1つだ。設計、生産、シミュレーション、検査とものづくりにおいて重要な工程を広範囲でカバーする。  

ベテランの技術をCAD/CAMで継承できる  

 エミダス会員企業でもCAD/CAMを利用する現場は多いだろう。一方、普及率はかかわる分野によって少し異なる。金型製作の現場においてはほとんどが導入されていると言ってもいいほど普及率が高い一方、それ以外の部品機械加工の分野ではまだ未導入の現場も目立つ。最近のセイロジャパンにおいては、未導入の現場からのCAD/CAM導入の問い合わせが多い。  

 CAD/CAMを導入することで、現状よりも工数や手間を削減したい、CAD/CAMの新人教育の短縮をしたいというニーズだ。多忙な現場にとって新人教育に割く時間の確保は難しい場合がある。「(従来)CAD/CAMの習得には1年ほどかかるので、その間に人が辞めてしまうという問題に悩むお客さまが結構多いです」とセイロジャパンの井戸 克哉氏は言う。  

 人手不足への対処や、働き手の高齢化や退職に伴う技術伝承といった課題に取り組むための手段としてCAD/CAM導入を検討する企業が増えた。「特にコロナ禍から、人自身が持つ技術を、できるかぎりシステムへ移行していこうという流れが来ています」と井戸氏は言う。  

 セイロジャパンが販売する機械部品加工向け3D CAD/CAM「GO2cam」(仏 GO2cam International 製)は、ベテラン技術者の工具の扱い、切削条件、加工方法などをシステムの中にデータとして蓄積することができる仕組みを備える。GO2camにあらかじめ覚えさせたい作業を指定しておき、ベテラン技術者は普段通りの作業をするだけで、加工に必要な情報をデータベースへ登録していける。教わる方にも教える方にも大きな負担を強いることがない。  

 現在、GO2camは3D形状と公差情報、注記、PMIなどのデータを1データに包括する3DAモデル(3D Annotated Model(3DAモデル))への対応を強化する開発が進行している。現バージョンはPMIの読み込みに対応しているが、今後、公差情報を3Dモデルの形状に反映する機能などが段階的に実装される計画だ。

金型設計・製造の人為的ミスをゼロにするCimatron  

 金型設計製造の現場では、とにかく「何らかの時間を削減したいというニーズが多い」と話すのは塩崎俊哉氏だ。昨今増えているのは「人為的ミスを軽減し、手戻りを低減させたい」という課題だ。それを「ゼロにしたい」という強い意志を持つユーザーも多い。もちろん人材育成や技術継承もそうだ。  

 「Cimatron」(Cimatron社製)は、金型・試作製造に特化した3D CAD/CAMだ。曲面の編集に強く、複雑な形状をした3Dモデルの大規模データの取り扱いに強い上、分かりやすいGUIで操作習得が容易になっている。 見積もりや加工指示書の自動生成や、テンプレート機能など、使いやすい自動化機能を数多く備える。「加工しようとしている3Dデータの形状に対して、過去のチャンピオンデータ(加工工程)を適用させることもできます」(塩崎氏)。熟練職人の加工条件をデータベース化させる機能も備える。

 Cimatronには「設計」「製造」「5軸加工」「金型設計」「プレス金型設計」「電極設計」といった用途ごとのソフトウェアを備えている。設計、モデリング、加工と幅広い工程をカバーしており、それらのソフトウェアが持つ1つ1つの自動化機能によるミス削減や作業負荷軽減が積み重なる効果は大きい。 

 例えば手作業によるプログラムを自動化することはもちろん、「人が行ってきた確認作業を自動化し工数とヒューマンエラーの削減を図るとともに、その効果によって手の空いた人材の更なる技術力向上を、ユーザーの皆さんは目指している」と塩崎氏は話す。 

 Cimatronのユーザー企業で、あるプラスチック金型メーカーでは、3Dデータ中心の設計を採用したことで2次元図面や指示書を5 割以上廃止し、設計工程を3割短縮させている。複雑な形状のモデリングでのミスも大幅に削減した。  

 Cimatronの今後について村田 浩一氏は「AIの新機能開発が計画されている。開発元のCimatron社により、AIアシスタントによるQ&A回答や、3Dデータの形状を分析して適切な加工パスを生成するといった機能などの計画が進められています」と説明した。 

製造業の現場で働く人たちの多様性と3D設計  

 従来の3D設計導入は、「導入に時間がかかる」「すぐに導入効果が得られづらい」「操作習得が難しい」「トータルの費用が高額になる」といった課題があった。セイロジャパンは、過去19年間のCimatronによる3D設計立ち上げの経験を分析し、顧客の効率アップに焦点を当てた独⾃の3D設計⽴上げメソッドを確立した。⽴ち上げ成功率は86%、平均⽴ち上げ期間は6カ月だという。

 「この実績は長年試行錯誤を重ねた結果で、簡単に実現できるものではないと思います。3D設計の導入で成果を上げるところまで着実にフォローいたしますので、是非セイロジャパンを選んでいただきたいです」と塩崎氏は自信をのぞかせる。  

 GO2camとCimatron、いずれにおいても初心者から機械加工を習得したユーザーが増えており、経歴も多様だ。もはや従来のような工業高校や高専、工業系学部卒もしくは、同業同職種での転職者だけではない。普通科や文系学部の卒業、製造業とあまり縁がなさそうな業種、非エンジニアの転職者もいる。女性も目立つ。三面図よりも3Dデータの方が複雑な形状や機構が把握しやすくなる他、設計から加工までの一連の流れもソフトウェアによる支援で見渡しやすくなる。こうしたスキルの迅速な習得や多様な人材が活躍できる環境は、未来の人材不足への強力な解決策となろう。 

製品情報

  • GO2cam 複合旋盤に特化した機能の紹介 読み込んだ3Dデータ編集 部品用CAD/CAM

  • GO2cam 複合旋盤に特化した機能紹介 3Dデータの取り込み 部品加工用CAD/CAM

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