業界特集

公開日: / 最終更新日:

マグネシウム合金の精密切削加工 機械を超える性能を「人」のちからで

マグネシウム合金の精密切削加工 機械を超える性能を「人」のちからで

株式会社サンブライト(福島県会津若松市)

掲載企業株式会社サンブライト

主要3品目
  • カメラ部品

  • 空油圧装置部品

従業員数

70人

年間売上高
11億円

 株式会社サンブライトは、アルミニウム、マグネシウム合金といった非鉄の切削加工を得意としている。アルミニウムとマグネシウム合金の違いは、まず比重にある。マグネシウムは実用金属の中で最も軽く、アルミニウムのおよそ 2/3 だ。アルミダイカストに対しマグネダイカストのメリットは、ホットチャンバー形式を用いることができることだ。そのため抜き勾配が少なく、ゲート形状も自由度が高い。つまり形状によっては、マグネダイカストの方が低コストで製造できるのだ。だが、こうした事実はまだあまり知られていない。「マグネシウム合金にはまだまだ普及活動が必要です」と代表取締役社長の渡邉忍氏は話す。

 同社は現在、カメラ部品を製造している。デジタルカメラ業界は高機能カメラを搭載したスマートフォンの登場により、販売台数が大きく落ち込んだ。これまで隆盛を誇ったコンパクトデジタルカメラが姿を消した一方で、デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼といった製品はより高性能で高価格となっている。そのため2012年のピーク時に比べ業界全体の販売台数は 1/20 にまで落ち込んだ一方で、売り上げは3割減で落ち着いているという。こうした状況を受け、カメラの部品に要求される加工精度はもはや機械の性能を超えるようになった。他業種では信じられないような不良率や歩留まりの悪さの日々改善しつつ製造していかなくてはならない。海外にはもはやライバルはおらず、新規参入も容易ではない。

 変化に対応できる企業だけが残った業界で、メーカーから頼られ、強い信頼関係を築いているのだ。研究開発から参入することで、より付加価値を高めることができている。渡邉氏は「ロボットやカメラセンサー機能で人間の負荷軽減や省人化するという現在の製造業の流れとは逆行しますが、人でしか差がつかないような分野をターゲットとしたい」と話し、カメラ業界とも親和性の高い医療機器業界へも挑戦していく考えだ。

 同社はもともと、福島県大熊町に本社を置いていた。しかし2011年東日本大震災の影響で、工場周辺は帰還困難区域に指定された。限られた時間内で工場設備を運び出し、県内の仮設工場で製造を再開。同年12月には現在の会津若松市に工場を新設した。ここまですぐに操業を再開できたのには、協力企業や地元、従業員の支えがあってこそだ。震災から10年、会津若松への恩返しとして、地元の伝統産業とコラボレーションした「あいくし」は同社のマグネシウム合金を切削加工した櫛に、漆と蒔絵を施した一品だ。2021年グッドデザイン賞ベスト100を受賞している。

2011年12月会津河東工場新築営業再開

製品情報

  • レーザー加工 5軸加工機 彫刻 福島県会津若松市

  • 3Dプリンタ サンプル製作 試作準備 量産準備 福島県会津若松市

こちらの記事もおすすめ
pagetop