業界特集
株式会社キメラ(北海道室蘭市)
掲載企業株式会社キメラ
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主要3品目
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超精密機械加工
各種金属の精密加工
モールド金型の設計製作
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従業員数
135人
株式会社キメラの代表取締役 藤井徹也氏の経歴は少し変わっている。藤井氏が同社に入ったのは35歳の時。しかもアルバイトだったという。それまで商社などで営業を行っていた藤井氏は、製造業については未経験。マシニングを担当していたがわずか一か月で正社員に。さらにそこから1年で課長へ昇進した。2000年ごろ同社は金型の部品加工のみを取り扱っていたが、金型の設計から参入するために、コダマコーポレーションの3D CAD/CAMシステム TopSolidを導入。藤井氏はまた全くの未経験から設計を担当することとなった。2004年に第二工場が完成すると、藤井氏は工場の管理を任されることとなり、同時に3Dデータを一気通貫で取り扱える現在の体制をスタートさせた。そして2011年、ついに藤井氏は社長に就任する。「こうじゃないといけないというこだわりはありません。会社をより良くして次の方に引き継ぐのが自分の仕事だと思っています」と藤井氏。この大らかでなんにでもチャレンジする気概こそが、今のキメラを作り上げたのだ。
金型部品加工を含む精密機械加工、射出成形金型などを取り扱い、自動車や電子部品、文具や医療系などさまざまな分野に関わっている。2020年にはJIS9100(航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格)の認証を取得。宇宙ベンチャー企業と共に人工衛星などの部品を製造している。宇宙産業とのつながりは、室蘭市の企業で結成されたMAS-NET(室蘭航空宇宙産業ネットワーク)で共同受注を目指し、展示会などで出会ったという。宇宙ベンチャー企業は製造業の知識がなく、さらに難しい課題も多い。ぼんやりとしたニーズをどう形にするのかが難しいところだという。だが藤井氏は“見捨てない”。こうして困りごとに一緒に対応していくうちに知識も増えて頼られる会社となり、さらに横のつながりで仕事も増えている。
営業の経験があるからこそ、藤井氏は営業にも積極的だ。現在でも社長自ら展示会に立つ。ベンチャーなど新しい業界から声がかかる時、判断できる人間でなければチャンスを捉えられないためだ。藤井氏は語る。「何かうちで作らせてもらうものはないですか?と聞いてしまうのは一番だめな営業です。これ困ったな、キメラに聞いてみよう、とならないと。そのために営業マンそのものの魅力が大事です」。キメラの強みは、高精度加工や短納期といった製造業としての技術や設備、体制だけではない。働いている人たちそのものなのだ。