業界特集
日本電鍍工業株式会社(埼玉県さいたま市)
掲載企業日本電鍍工業株式会社
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主要3品目
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貴金属めっき
アルマイト
電着塗装
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従業員数
69 人
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年間売上高
- 8.5 億円
埼玉県さいたま市に本社を構える日本電鍍工業株式会社は、1958年東京都葛飾区で創業した。創業からわずか半年後には、創業者と縁のあったセイコーの指定工場になり、腕時計を中心とした業態に。かつて9割を占めていた時計事業であるが、現在は1割以下になり、医療、楽器、精密部品分野をはじめ取引先の業種が広がり、それがリスク分散につながった。
取引件数は毎月平均で200件、多い時は400~500件にものぼる一方で、営業担当者による新規開拓も積極的に取り組んでいる。多種多様な案件を日々こなすためのカギとなるのが、自社オリジナルの受発注システムだ。現場の声をベースに2015年から立ち上げ、全ての部門での情報共有が迅速に可能となった。結果、生産性も向上し、現在まで順調に稼働している。
同社が使用している造語が「機美共存」である。多くの客先から求められているのは、めっきおよび表面処理によってもたらされる機能性のみならず、見た目の美しさも同様だ。人の肌に触れる時計や楽器、宝飾品、そして医療機器などは特に厳しい要求があり、長年培ってきたノウハウが重要になってくる。製品の品質は生地の状況次第で仕上がりに影響が出てしまうため、客先との確認作業をしっかり行いながら条件や膜厚を調整し、求められるスペックに合わせていく。
自社開発のめっき液を多数そろえている同社は、カラーバリエーションに加えて、めっきの厚みもコントロールできる。
金めっき厚が0.5㎜でも「厚い」と言われることがあるこの業界で、同社では最大100㎛の厚みにも対応可能で、「不可能はない」という信念を貫き、数々の難しい依頼に対応してきた。
2020年頃から電着塗装やアルマイトを立ち上げた。アルマイトのラインは入社2~3年目の社員をリーダーに立てて設計したという。若い社員たちが活躍しているのだ。
これからの展望について伊藤社長は、日本の産業を支えられる、互いに刺激し合える分野であれば表面処理にこだわらないと話す。まずは日本を良くしていきたいという考えから、今のところ海外に工場は持たず、大宮の本社で国内外の仕事を請け負う。海外からの受注も安定しているという。今後、ますます人口が減っていくという現状を踏まえ、将来はロボットやAI技術の導入の可能性もあるとしつつ、需要や時代の流れに柔軟に対応できるのは人だという。「当社の真の強みは“人”です」と伊藤社長は強調した。
アルマイト(陽極酸化処理)の事例