業界特集
安達新産業株式会社
掲載企業安達新産業株式会社
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主要3品目
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真空蒸着
光学薄膜
パターン加工
大阪府大阪市に本社を構える安達新産業株式会社の創業は1918(大正7年)年、100年以上続くいわゆる老舗企業だ。化学材料商社として創業した同社だが、戦後には扇風機など家電向けの加飾(真空蒸着加工)に進出。そして加飾加工で得たノウハウを光学薄膜加工へとさらに展開することで、時代に合わせて守備範囲を拡張してきた。薄膜加工領域では現在、光学薄膜、微細パターニング、そしてそれらのチップ加工の3つの分野を取り扱っている。
光の振る舞いを自在に制御―カスタムメイドの光学薄膜加工
光学薄膜は、ガラスなどの基材表面に薄膜を形成することで様々な光学特性を付与する技術だ。膜の材料にはチタンやケイ素などの酸化物(無機誘電体)が用いられ、それぞれの材質が違う屈折率を持つ。異なる材質と厚さの膜を様々な順序で重ねることで光の干渉を制御し、特定の帯域のみを通過/カットさせたり(バンドパスフィルター/ノッチフィルター)や、特定の帯域以上を通したり(エッジフィルター)することができる。主に真空蒸着によって成膜される光学薄膜だが、設計通りの光学特性を得るためには膜厚管理を中心に高度な技術が要求される。近年ではLiDAR向けに905nmの光だけを通すフィルターなども必要とされており、このようなピーキーな特性を持つものでは、薄膜を100層以上重ねることも珍しくない。


安達新産業株式会社の主要な取引先は産業機器関係だ。1985年に光学薄膜加工に参入して以来、40年にわたって監視カメラや測定機器などの産業機器分野で多数の実績を積み上げてきた。紫外線~可視光~近赤外~中遠赤外までの幅広い帯域に対応しており、特に多層膜での高機能なフィルターを得意とする。「光学薄膜の受託加工業者は家電メーカーの集中する関東に多いため、関西では比較的珍しいです。弊社では多層膜を中心に、数十~数百枚の少量多品種生産に特化しています」と同社担当者。薄膜の設計から加工までを自社内で一貫対応しているため、顧客のニーズに合わせた柔軟な対応が可能だ。そしてそれだけでなく、汎用のものは標準在庫品として販売を行っているため、オーダーメイド発注前に安価で同社の光学薄膜を試し利用することも可能となっている。

品質の追求にも余念がない。40年以上にわたって光学薄膜を手掛けてきたノウハウをもとに、特性の異なる複数の成膜装置を使い分けることで、いかなる膜種も最適な条件で加工できる体制を整えている。こうして作られた同社の高品質な光学薄膜は、85℃・湿度90%という過酷な環境でも1000時間耐えることができる優れた耐久性を持つ。この品質の高さこそが、製品に高度な機能と信頼性を求められる産業機器業界との40年以上にわたる取引を支えているのだ。
薄膜技術の応用で、光に加えて電気も制御―
バイオ・医療などの先端研究を支える微細パターニング加工
単なる薄膜加工にとどまらず、安達新産業株式会社では薄膜形成技術を応用した微細パターニングも手掛けている。これはガラスやシリコンなどの基板の上にスパッタリングで金属の膜を形成し、そこにフォトリソグラフィやエッチングでパターンを描画するというものだ。同社では、ライン/スペース(電極と空隙の間隔)が5μmの電極作成まで対応しており、電気化学向けのくし型電極やバイオセルアレイ(多数の細胞や分子を並列に配置し、効率的に測定を行うためのチップ)などで多数の実績を持つ。



さらに同社では光学薄膜と微細パターニングを組み合わせたアイテムにも力を入れており、表面に反射防止膜を施したガラスLID(電子部品向けの封止部品)などの開発を行っている。「光学薄膜と微細パターンを組み合わせることで、光と電気の同時制御を実現できます。車載向けを中心に、MEMSやバイオセンサーなど今後様々な需要が生まれることを想定しています」と同社担当者は語る。

同社では、「匠のコーティング」と題したサイトで光学薄膜や微細パターン加工に関する情報提供を行っている。関西圏で数少ない光学薄膜受託加工メーカーとして、カスタム対応力を存分に発揮して今後も国産製品を支えていくことだろう。
