成長企業の経営戦略
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日本では唯一無二のラインナップを誇る計測器で、現場の見えない課題を解決――アイ・ティー・エス・ジャパン株式会社
アイ・ティー・エス・ジャパン株式会社
掲載企業アイ・ティー・エス・ジャパン株式会社
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主要3品目
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衝撃試験機
リアルナノ3Dプロフィロメーター
ゴム品質管理・開発機器機器
世界中から“実用的でユニーク”な計測器を取り揃える
国内企業と変わらぬサポート体制も強み
職人のノウハウを数値化する。製造業全体の課題である、人手不足の解消や効率化といった目的のために属人化解消や自動化の必要性は、今やだれもが理解していることである。だが、いざ計測をして数値化してみても、トラブルは発生し、やはりベテランの手を離れることができない。そのために現場改善の効果が感じられない。トラブルが発生しても原因が分からず抜本的な対策ができない。そんな課題を持っている現場は多いのではないだろうか。それは一般的な計測器では計測することができない別の要素が原因となっている可能性がある。世界中から「実用的でユニークな機能を兼ね備えた計測器」を取り揃え、他社を圧倒する独自のラインナップを持つ会社がアイ・ティー・エス・ジャパン株式会社だ。
日本にも優秀な計測器があるにも関わらず、なぜ主にヨーロッパ製の機械を取り扱うのか。代表取締役橋本博文氏は話すには、「測れるものが少し違う。ヨーロッパはチャレンジングな気風があり、面白いアイディアが出てくる。日本製のものより、ちょっと追加でいろんな情報が取れる。そうするとそれが実はその成形トラブルの解決の鍵だったりすることが結構多い」という。取り扱う海外の優秀でユニークな測定器たちは、ほぼ同社が日本独占代理店となっている。海外製品を導入する上でネックとなるのはサポート体制だ。機械の故障やメンテナンス、使用方法、消耗品といったサポートを、日本製品と同等に行う。それこそが同社の強みだ。海外企業とも強固なパートナーシップを持つからこそ、日本の工場の使用方法に沿った改善要求をメーカー側に提案することもある。
ナノビア社のリアルナノ3D表面検査装置は、波長の違いによる反射光の色差で高さを一度に測定する。プリズムを通して光を与えることで従来のレーザー式などのように、パラメータを用いたデータの補正を行わないため、ナノメーター単位での高精度な測定が可能となる。測定物の前処理も不要で、リフォーカスもない。この技術はナノビア社独自のもので、日本で取り扱っているのは同社だけ。こういった計測器を多く持つのが同社の強みなのだ。

テストラボでの検証結果がトラブルを解決
今まで知り得なかった情報を改善に生かす
さらに同社は商社でありながら、自社にテストラボを備える。機械を買ってもらうためには、機械のことを良く知っていなければならない。機械の測定方法だけでなく、技術的な理解に基づいたプレゼンテーションが必須となるためだ。テストラボに取り揃えられた計測器を使用し、トラブルの原因究明に役立った例はいくつもある。
樹脂一つとっても、なぜその成形不良が起きたのか。樹脂メーカーや成形メーカーといった周辺企業の誰もが追求し得なかった原因を、同社の測定器によって判明した事例もある。「あるメーカーの担当者が2週間ほどこもりきりであらゆる材料を試して原因を究明したということもあります。ぜひ活用してもらえたら」今までになかった観点から原因を見つけ出す。同社が持つデモ機を組み合わせることで、今まで知り得なかった情報を知り、生かすことが可能になる。そのために同社にはさまざまな計測器を取り揃えているのだ。
例えば、同社が取り扱うイマテック社のR6000キャピラリーレオメーターは、せん断粘度と伸張粘度を同時に測定可能。従来のメルトフローインデックスでは、低応力でのせん断粘度しか分からず、実際の成形機内で何が起こっているかは判断できない。だがこの機械では、実際の成形加工速度での伸張粘度のデータを解明することが可能となる。これによって樹脂がどのようにスクリューを通してノズルから入り込んでいくかのシミュレーション精度を上げることができるというわけだ。この装置によって、樹脂のロットによる差異が品質に影響を与えていたことが判明したという例もある。

樹脂は成形前に乾燥させなくてはならないが、同社が扱う水分計であれば、水素化カルシウムを使用した化学反応式で、水分のみを選択的に測定することが可能。100V電源で簡単に設置できるため、成形機や3Dプリンタのすぐ横で測定が可能。さらに吸湿材を使用しないコンパクトなポリマー用除湿乾燥機と合わせて使用することで、樹脂の乾燥不足による成形不良の大幅改善が見込める。計測器だけでなく、こうした機器の組み合わせで現場改善を行う提案も行っているのだ。

会社WEBページやエミダス会員ページには、測定レポートや参考文献を含め多くの情報を掲載している。言葉を尽くして知ってもらい、理解してもらうことが何よりも必要だと橋本氏は考えているためだ。代表取締役橋本博文氏はこう話す。「水分計についても、現場で微小水分を測れる機械が欲しいというお客様の声を受けて探し出しました。不良原因を究明したい、こんな数値が分かる計測器が欲しい……そんな悩みがあれば、ぜひ声をかけて欲しい。誰が見てもわかるように数字で管理しませんかという提案をしていきたい。」工場の改善のために計測器が必要となる場面は、確実に存在している。
