業界特集
株式会社長谷川機械製作所
代表取締役社長 長谷川 透氏
掲載企業株式会社長谷川機械製作所
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従業員数
130人
小型に特化した NC 旋盤とマシニングセンタ
株式会社長谷川機械製作所は、「大は小を兼ねない」を企業コンセプトに、小型に特化したNC旋盤、マシニングセンタの開発に取り組んできた企業だ。同社の製品は光学機器、時計などを含む宝飾品、医療関係などといった特に小さく精度を必要とされる分野で選ばれている一方で、自動車関係でも多く引き合いがある。現在では自動車関連の売り上げが最も多く、業界を問わずニッチな分野でその存在感を示してきた。ヨーロッパや北米の売上も伸ばしており、中国にも工場を持つ。時期によって変動はあるものの、現在は4割ほどの海外比率であるが、今後はさらに伸ばしていきたい考えだ。
コンパクトで多機能・高精度な工作機械
そんな同社が今秋に開催される JIMTOF2024 に出展するのは 5 軸精密マシニングセンタ「PM320-5X」だ。顧客からのニーズを取り入れて進化したこの機械の特徴は、第一に従来機よりも一回り大きく、ストロークも大きいという点である。小型工作機械という分野で成長を遂げてきた長谷川機械製作所が、なぜ機械のサイズアップに踏み切ったのか。代表取締役社長 長谷川透氏はこう話す。「ただサイズが小さければ良いというわけではありません。スモールからコンパクトへ。同じ機能でも他の機械より小さく、小さくても充実した機能と高精度を追求します」。進化したのは大きさだけではない。より強力なスピンドルを標準装備しつつ、これまでの高速タイプも搭載可能で主軸のバリエーションが増えている。またこれまでの機種に比べツール装備数が1.5倍のMax64本になり、交換スピードもUP。作業者目線でも切粉がカバーの中に入り込まず回収が容易な構造や、タッチパネルを大きくして操作性を向上させている。左右両面からアクセスが可能な構造となっており、自動化がより簡便となるなど、顧客のニーズを丁寧に汲み取り、アップデートさせているのだ。
同様に JIMTOF2024 で展示予定の2スピンドル2タレット型旋盤「CW42」は1台で2台分の加工能力を持つのが特徴だ。工程集約し1台で完成品に近いところまで加工できる。「スモールからコンパクトへ」という長谷川氏の言葉を体現した機械となっており、売れ筋の製品となっている。「当社の機械は少し味付けの違うもの。ボリュームゾーンは追いかけず、嵌まるところで大きく活躍できる機械を届けたい」と長谷川氏は言うように、狙うのは他社ではやっていない、できないオンリーワンの提案だ。同社はカム溝加工や球面加工などニッチな用途に特化した専用加工機も多く手掛けており、ニッチな分野でも高精度、スピード、そしてコンパクトな自動化支援技術を広げていく。
こだわりを大事に、進化し続ける
長谷川機械製作所では、2022年、まだコロナの影響が大きい時期にスピンドルの研磨に特化した新工場を設立した。新工場は±0.5度の恒温環境が保たれ、加工前の素材もエリアを分けて恒温環境に順応させるという徹底ぶりだ。スピンドルの精度をさらに向上させるために、研削盤も自社開発している。こうしたこだわりこそが長谷川機械製作所の強みだ。同社はスピンドルだけでなく、多くの部品を内製している。日本の工場は機械を長く大事に使う。だが機械メーカーは日々研さんし、進化している。長谷川氏は自信を覗かせる。「こだわりが大事だと思っています。顧客の求めるクオリティが上がっていくのは当社としてはウエルカム。当社は常に進化していますので、ぜひ新しい機械を導入して、その成果を感じてほしい」。