業界特集
大野精工株式会社(愛知県西尾市)
掲載企業大野精工株式会社
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主要3品目
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精密部品加工
超鏡面仕上加工
試作品製作
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従業員数
150人
大野精工株式会社は、試作・開発品や治具などの多品種少量品の加工を得意としている。小物であれば角物丸物にこだわらず、高い精度での加工を行える設備を社内に取り揃え昼夜2交代の生産体制で顧客の要望に応えている。部品単体の公差ではなく、アッセンブリでの公差が求められるような治具部品でも、同社の加工精度は高い評価を受けているのだ。これまでほぼ自動車関係の部品加工をメインとしていたが、2018年頃から徐々に自動車以外の分野にも業種を拡大。現在では自動車の比率を 70%程度に抑え、半導体や医療、航空系、研究開発など幅広い分野での引き合いを得ている。
同社ではほぼ単品受注が多く、月に5000枚~6000枚の受注図面をさばくというから驚きだ。こうした多くの注文をこなすことができるのも、現在は13名を抱えるという営業機能の充実にある。2023年には新規で受注を行った企業が 70社近くに及ぶ。2020年にモリブデンワイヤ放電加工機メーカーのタイナテックを M&A で子会社化したことで、さらに取引先と業務範囲を拡大している。「お客様の設備は絶対に止めない。製造業ですが、営業はサービス業だと思っています」と代表取締役社長の大野龍太郎氏は語る。さらに現在では商社機能も拡大している。「自社工場をショールームにしたい」と大野氏が語るように、稼働する工場が勧める商品には説得力がある。機械メーカーとも協力してより商品の改良にも取り組み、さらに拡大していきたい考えだ。
同社は2009年からベトナム人研修生を受け入れ、2013年に彼らが帰国するタイミングに合わせ、ベトナム工場の操業を開始した。当初は第二工場という位置付けでほぼ100%日本からの仕事を行っていたが、現在では半分ほどを現地で獲得している。日本で研修を終えた研修生が帰国してベトナム工場で働くというだけでなく、現地で長く働くスタッフが転籍というかたちで日本で技術を学び、帰国してから現地作業員に指導する。さらに短期の交換留学も行うなど、技術の継承を含め工場間のコミュニケーションを密に行っている。こうしてベトナム工場の技術力も向上し、良い関係を築く秘訣にもなっているという。
同社は機械加工だけでなく、多角化経営を行っていることも特徴だ。リーマンショックを契機として、介護施設や農業カフェといった全くの異業種にチャレンジ。さらに障がい者就労支援サービスは、製造業では必ず発生する清掃や単純作業といった業務に障がい者の方の力を有効活用することで、パート従業員などがより付加価値の高い仕事へ集中する環境を整えている。リーマンショック、コロナを乗り越え、大野精工は次なるフェーズへ進んでいく。