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切削技術とアルミ重力鋳造で自動車部品を一貫生産 砂型積層3D プリンタで試作もスピーディ対応

切削技術とアルミ重力鋳造で自動車部品を一貫生産 砂型積層3D プリンタで試作もスピーディ対応

吉田工業株式会社

掲載企業吉田工業株式会社

主要3品目
  • 四輪用ブレーキ向け アルミ製部品

  • 建機向け アルミ製部

  • 開発試作向け アルミ製RP部品

従業員数

273人

年間売上高
46億円

 「絶対品質。それが当社の売りです」。吉田工業株式会社代表取締役社長の吉田寧裕氏はそう断言する。自動車メーカー各社が信頼する同社の品質。それは人命に関わる重要保安部品を作り続けてきた実績が裏打ちする。同社の切削技術は自動車のブレーキ・システムの変革にもいち早く対応した。複雑で精密性が求められるだけでなく、重要保安部品として品質の保持が求められる。小さなバリすら事故を引き起こす可能性があるのだ。加工段階で極力バリを作らないための工具や機械の選定、社員教育、そして最終的な仕上げ処理によって「バリを失くす加工を極めている」と吉田氏は語る。自動車部品の難しいところは、それほどの品質・精度を要求しながらも、月産数百万個という供給責任が伴うことだ。

 同社はこうした厳しい自動車産業の要求に応えてきた。さらに2005年頃からは砂型積層 3D プリンタを導入。試作の短納期化に成功した。試作段階から開発に入り込み、仕様が固まる前から提案を行うことでスムーズな量産移行に貢献。少量生産は従来の木型を活用、金型も内製しており、大量生産は同社の得意とするところだ。同社のノウハウは多くの企業の信頼を勝ち得ている。

©︎武論尊・原哲夫/コアミックス 1983
原型製作:株式会社 Spice Seed

 しかし同社は安定した自動車産業だけに甘んじることなく、展示会に積極的に参加し、異業種への拡販を進めた。同社のアルミニウム重力鋳造は耐圧性に優れ、建機やロボットといった業界にマッチしたのだ。現在では売上の6割ほどが自動車・二輪車関係、残りは建機や産業ロボットなど多くの業界に広がっている。さらに 2012年に中国、2015年にはタイにも進出。海外展開としては決して早い方ではないが、日本と同様一貫生産できる体制で、自動車以外にもさまざまな業種に事業を拡大している。海外工場を窓口として、タイムリーに情報を得るだけでなく、ヨーロッパを含めた多くの海外企業と繋がることができていることもメリットだ。

 同社は SOIC(佐久産業支援センター)にも参画し、製造業とはまた違う技術や技能を持つ人々と出会ったことで、全く新しい地域と連携したオリジナル製品の開発・販売にも挑戦している。「それぞれが持つ技術やアイディアをくっつけて、楽しくものづくりをしていきたい。そうして日本の製造業を元気にしていきたいですね」。夜はアメリカンダイナーになるレストランを会社敷地内に作ってしまうなど、アイディアも多彩だ。厳しく固いものづくりと、柔軟で楽しいことづくり。吉田工業は、緩急剛柔だ。

代表取締役社長 吉田 寧裕 氏

製品情報

  • 商品ラインナップ【FUMIFUMI SHUSSHU】

  • タイ生産: 油圧部品の高精度加工と一貫生産!

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