業界特集
株式会社藤工業所(愛知県半田市)
掲載企業株式会社藤工業所
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主要3品目
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溶接 TIG CO2 MIG レーザー
製缶・板金
曲げ加工
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従業員数
30 人
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年間売上高
- 2.9 億円
株式会社藤工業所は、代表取締役である三矢学氏が一代で築き上げた企業だ。近隣には醸造メーカーが多かったことから、食品機械、ステンレス製缶を得意としている。「経営規模を大きくしたいという考えがあったわけではなく、お客様の困りごとを対応していくにつれて人員や設備が増えていきました」と三矢氏が語るように、同社は「客先の困りごとに全力で対応する」という姿勢を貫く。同社が掲げる特急対応もそうした三矢氏の考えに基づいている。困りごとを解消した会社はリピーターとなり、口コミが広がる。材料もある程度は在庫を持つが、仕入先も同社の姿勢を理解し柔軟に対応してくれる。「特別なことではなく、当たり前にやっています。難しい課題は燃えますし、解消できれば達成感もあります」と三矢氏は笑顔を見せる。客先の要望に応えるために、ファイバーレーザーやマシニングセンターも導入。さらに客先をサポートする体制を充実させていく。
特急対応などに柔軟に対応できるのも、DXに対応した仕組みを活用しているためだ。現在ではクラウドで図面を検索したり、ソフトウェアで見積もりを自動化してリモートワークの社員がチャットで回答したり、など前工程の省力化に取り組んでいる。図面も3D化を進めており、新規顧客に喜ばれている一方で、現在でも客先のほとんどは2D図面だという。だが2D図面には3Dには盛り込めない言語情報がある。ただ図面通りに作るだけではなく図面には描かれていないことをいかに読み取るか。その製品が使われる機能までを考えて加工することが同社の品質と高い信頼につながっている。うまく“3D図面と2D図面のいいところ取り”をしながら、客先の要望に応えているのだ。
同社が経営理念に掲げる「機能美」は、機能を突き詰めたところにある美しさのことだ。最新機器の導入やDXを進めながらも、日本のものづくりの根底にある機能美を追い求めている。現在課題にしているのは教育だ。同社では昨年外国人含む人員を大幅に増員したが、彼らに日本のものづくりをどう教えていくのか―、技術だけでなく、考え方や精神性を理解してもらう方法を模索している。そして、それこそが、「日本のものづくりが世界を変えていく」キーポイントになると三矢氏は語る。日本の町工場にはまだまだ優れた職人が大勢いる。かつて三矢氏自身が、優れた職人の仕事を目の当たりにしてこの業界に入ったように、子どもたちや若い世代から憧れてもらえるような職業になること。そして日本の製造業が再び世界で躍動する未来を目指す。そのためにエミダスを活用し、中小企業同士の連携を図っていく。またオープンファクトリーを通じて集まった地域の企業たちとも協力し、地域を盛り上げる。藤工業所はデジタルと職人の融合を目指す。