成長企業の経営戦略

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挑む経営者特集 第2回 -モハラテクニカ 茂原 亮太氏- 積極的な設備投資のキーは市場分析と事業プラン。補助金活用で投資リスクを下げる

挑む経営者特集 第2回 -モハラテクニカ  茂原 亮太氏- 積極的な設備投資のキーは市場分析と事業プラン。補助金活用で投資リスクを下げる

株式会社モハラテクニカ
代表取締役 茂原 亮太氏

掲載企業株式会社モハラテクニカ

主要3品目
  • 精密レーザー加工品

  • 精密板金加工と機械加工の複合加工品

  • 半導体製造装置関連部品

株式会社モハラテクニカは、群馬県高崎市にある板金加工会社だ。精密板金と機械加工の複合加工を得意としており、充実した設備と高い技術力で高い評価を受けている。NHKやテレビ東京のワールドビジネスサテライトにも取り上げられ、今注目の企業だ。

「子どものころは体育の先生になりたかった」男ばかり3人兄弟の次男、茂原亮太氏はそう言った。家業である板金会社は、当然長男が継ぐものだと思っていたのだ。だが3歳年上の兄が、会社は継がないと言い出した。高校生だった茂原氏は「せっかく祖父が創業して家族で続けてきた会社なのだから、自分が継ごう」と決めた。父親の姿を見て、社長になればいい生活ができるかも、くらいの気持ちだったという。

先代社長である父が病気のため亡くなり、予定よりも早く社長に就任して5年。「板金も好きですし、社長業は楽しいです。ただもちろんプレッシャーもある。自分が社長となって何がしたいかという目的が明確になければ、きっと心が折れてしまう。家業だから、後継ぎだから。そんな気持ちでは、続けていくのは難しいと思います」一見、穏やかで柔和な茂原氏の言葉には、秘められた強い決意と、折れない芯がある。

ターニングポイントとなったのは展示会出展と半導体への挑戦

茂原氏がNCネットワークなどを経て、モハラテクニカに入社したのは27歳のころ。先代社長から最初に配属されたのは、検査部だった。三面図と製品現物を見比べて測定することで、板金に特化した図面に慣れることからのスタートだった。同時に、顧客への配送を行うことで顔と名前を覚えてもらい、取引先と人間関係を築きあげた。次に配属されたのは板金現場。先代社長の考えでは10年現場の経験を積ませるつもりであったらしい。だが茂原氏には、NCネットワーク時代に培った繋がりから見積り依頼が飛び込んでくる。自分ではできないため、先代社長に見積りを依頼するが、いつまで経っても返事は返ってこない。そこで茂原氏は見積りし、自ら仕事の受注を行うようになった。結局、1年半ほどで方針転換。茂原氏は見積りや営業活動に専念することになった。

先代社長に反対されながらも、茂原氏は展示会へ出展したことが、1つのターニングポイントとなった。展示会で出会ったのが半導体業界。モハラテクニカは、かつて半導体関連の仕事を受けていたが、売り上げが大きく落ち込んだことで倒産の危機を経験。先代社長はリスクが大きすぎるとして半導体には消極的であったという。しかし茂原社長は、「半導体に今食い込んでいかなければ、成長産業に入り込むことはできない」と考え、父親の反対を押し切って半導体に挑戦することを決めた。「すごくケンカしました。怒鳴り合いになりましたし、泣かされたこともいっぱいありました。それでも自分はやってみたいと。もう勝手にやれ、と言われたので勝手にどんどんやっちゃいましたね」と茂原氏は笑う。先代社長は地元でも知られた「強い社長」。だが茂原氏は、決して自分の考えを曲げなかった。

その結果、取引開始直後年100万円程度だった売上は現在3億~4億ほどになり、モハラテクニカの売上のトップを占める取引先へと成長。モハラテクニカの売上に大きく貢献し、会社も成長したのだ。「板金加工は受託ですので、顧客が伸びないと会社も伸びない。成長産業にいかに食い込むかが重要です。今伸びているのは防衛産業。これも少し前には考えられない選択肢でしたが、今ではすごく増えています。アンテナを張っていくことが大事」と茂原氏は語る。先代社長に反対されても自分の考えを貫いたのは、すべて会社のためを思ってこその行動なのだ。

そんな中、父である先代社長のガンが発覚。茂原氏は「いつでも引き継げる覚悟」を持ったという。実は入社当時から新規の採用は茂原氏が行っていたため、会社の人員の7割ほどは茂原氏が採用した社員。仕事も6割は茂原氏が受注したものであり、すでに緩やかに切り替えが進んでいたのだ。そして入社7年目にして、茂原氏は三代目として社長を引き継ぐこととなった。

社員同士の交流も盛ん。バーベキューを楽しむことも

なぜ積極的な設備投資を続けるのか

モハラテクニカの特徴は積極的な設備投資だ。新工場も建設した。「板金は他の業種に比べ、設備の進化スピードが速い。常に業界のトレンドを勉強して各メーカーの動向を敏感にキャッチしています」と茂原氏。業界のトレンドと市場分析を行いながら、設備投資にかかる費用は補助金を積極的に活用することで、投資のリスクを下げているのだ。「新工場建設にも事業再構築の補助金でグリーン成長枠を受けています。これまでもものづくり補助金や省力化補助金、省エネ補助金など利用しています。経済産業省や中小企業庁を含めて、国がこういう方針の会社を応援すると言っているわけですから、事業プランを立てて、そのプランに当てはまる設備でなおかつ自分の会社に欲しいものを選定します。市場分析をして、購入した設備でどれだけ売上を上げられるかの事業プランをしっかり立てることが重要」と茂原氏は語る。現在、社員50名で売り上げは10億から11億を見込む。積極的な設備投資によって生産性も向上している。だが現在の規模では、これ以上売上を伸ばしていくことは難しい。今後はM&Aで塗装や組立など、板金加工の前後工程をグループ企業化していきたい考えだ。10年後には売上を2倍にするイメージがすでにできている。そしてその先に目指すのは100億企業だ。

パンチ・レーザー複合機
TruMatic 7000 TowerMaster
1mmから0.05mmの極薄板金加工にも対応

次世代経営者へ ― 大切なのは明確な目的を持つこと

「私が社長をする目的は、社員が安心して働ける会社をつくること、そして社員とその家族をより豊かにすること。ただお金を稼ぐだけでなく、社長として何をしたいのか明確な目的を持つことが大切だと思っています。そして心から社長業を楽しんでいます」――そう語る茂原氏は、日本製造業の「アトツギ」の目指すべき姿そのものだ。

代表取締役 茂原 亮太氏

製品情報

  • Trumatic7000 パンチ・レーザー複合機  高精度・高品質加工 傷なし加工

  • TruBend Center 5030 セミオート旋回式プレス機 精密製品~大物部品まで

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