 
                                                            業界特別企画
公開日: / 最終更新日:
未来を創る中・高校生たちのストーリー ──郁文館「ZENSHIN」世界への挑戦記 03. 挑戦の現場から――設計の壁を越えて見えた成長の軌跡
 
                                                                    ZENSHIN Robotics 技術部 現場統轄 青田 修(郁文館高校1年)
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「FRCへの挑戦は、すべてが初めての経験でした」――そう語るのは、ZENSHIN Robotics 技術部の現場統轄を務める郁文館高校1年生、青田修。
2025年春、米ラスベガスで開催された国際ロボコン「FIRST Robotics Competition(以下、FRC)」に初出場。中学時代は剣道部の主将として都大会2位を経験した彼が、まったく異なる世界で“ものづくり”に挑んだ1年を振り返る。
右も左も分からないスタートから
青田がZENSHINに参加したのは2024年11月。大会まではわずか4か月しかなかった。
「最初はパソコンの使い方すら自信がなく、CADとは何かというレベルからの出発でした」と笑う。
設計、工具の扱い、ロボットの構造――あらゆる知識を先輩たちから吸収しながら、急速に成長していった。
大会では設計班としてロボットづくりを担当したが、試行錯誤の連続だった。
「設計では上手くいっていると思っても、実際に動かすと“動かない”という失敗の連続でした」
さらに、アメリカでの大会では輸送の都合上、完成したロボットを一度分解し、現地で再組み立てしなければならなかった。
「慣れない環境で時間もなく、本当にギリギリの中で完成させました。悔しさもありましたが、次につながる大きな経験でした」

剣道から学んだ集中力とFRCのチームワーク
長年続けた剣道との違いも印象的だったという。
「剣道は個人競技だから、自分の努力で完結できる。でもFRCはチーム戦。協力しなければ何も進まないし、相手チームが技術を教えてくれることもありました」
大会では、日本から持ち込めないバッテリーを現地チームが貸してくれたこともあった。
「勝負の場でありながら助け合いがある。協調性を強く感じました」
剣道で培った集中力と、郁文館夢学園が掲げる「夢に日付けを入れる」という夢教育が、準備期間を支えた。
「ロボットが完成しなければ大会に出られない。だから日付から逆算して動く習慣が本当に役立ちました」
感謝と責任――先輩たちの支えを受けて
大会を終えて最も感じたのは、支えてくれた人々への感謝だった。
「卒業した先輩方がどれほど自分たちを支えてくれていたかを実感しました」
ラスベガス滞在中には、先輩の保護者が食事や買い出しなど生活面をサポートしてくれた。
「大人の支えがあったからこそ、私たちは競技に集中できました」
さらに、家族の存在も大きい。
「夜遅くまで作業していると母が“早く寝なよ”と声をかけてくれました。心配をかけたくない気持ちがあったから、効率よく進めようと意識しました」
剣道部を辞めてZENSHINに入った彼を支え続けた家族への感謝を語る姿に、責任感の芽生えがにじむ。
設計の壁を越えて――技術的ブレイクスルー
青田が直面した最大の壁は、設計と組み立てのずれであった。
「CAD上では完璧だと思っても、実際に組み立てたら部品が干渉して動かないことがありました」

特にエレベーターとアームの設計で干渉が発生し、思うように動かない。絶望的な状況の中でも、先輩や仲間と議論を重ねて修正に挑んだ。
「設計が荒かったことを痛感しました。次は第2、第3の設計案まで考えたい。CAD内でのシミュレーションもきちんと確認します」
この反省をもとに、現在は後輩たちの指導にも力を入れている。
「技術的なメンターも募集中です」と笑顔で語る姿には、挑戦を通して培った確かな成長が感じられた。

壊れても、また立ち上がる
試合中のトラブルも多く、修理に追われることもあった。
しかし、そのたびにチームで話し合い、協力して乗り越えた。
「壊れても諦めない。失敗しても前に進む。ZENSHINで学んだのは、まさにその精神です」
ZENSHINの活動は、技術力の習得にとどまらない。
挑戦することの価値、仲間を信頼する力、そして“学びを社会に還元する”という使命が根づいている。
「これからも挑戦を続けます。支えてくれた人たちへの感謝を忘れずに」
青田修――その瞳の奥には、次なる挑戦へ向けた確かな光が宿っている。

■ 青田修についての紹介
2021年4月 郁文館中学校 入学
2021年4月 郁文館中学校 剣道部に所属
・中学3年時には主将を経験
・中学3年時東京都個人戦で2位に輝く Facebookの投稿
2024年11月 一般社団法人ZENSHIN入社
2025年3月 ZENSHIN Robotics 海外渡航チームとして世界大会FRCに出場 
2021年4月 郁文館高等学校 入学 
2025年10月 ZENSHIN Robotics 技術部現場統轄
【一般社団法人ZENSHIN(ZENSHIN Robotics)】
・目的:生徒たちがサイエンスに関わるグローバルな活動に主体的に挑戦し成長する機会を提供することにより、サイエンスとグローバルに活動することの魅力を広めること 
・所在地:東京都文京区向丘2-19-1(郁文館夢学園内) 
・メンバー:郁文館グローバル高等学校・郁文館中学校・郁文館高等学校の生徒33名 
・公式サイト:https://www.zenshin-robo.com/ 
・寄附ガイド:https://www.zenshin-robo.com/AdmissionGuide_JP 
・クラウドファンディングページ:https://readyfor.jp/projects/161163 
■ 活動実績
海外で開催される地域予選から世界大会にコマを進め、国際舞台でも高いパフォーマンスを発揮。国内でもロボット関連学会から評価されるなど、結成半年ながら快挙を成し遂げてきた。
2024年春にはFRCハワイ予選で2つの賞を受賞し、ヒューストン世界大会に日本チーム唯一の出場を果たす。続く2025年春にはFRCラスベガス予選に挑み、見事「Rising All-Star Award」を受賞するなど、確実に実績を積み重ねている。
・FIRST Robotics Competition Las Vegas Regional(2025年3月, Las Vegas, Nevada) 
 – Rising All-Star Award(新人賞) 受賞 
・FIRST Robotics Competition World Championship(2024年4月, Houston, TEXAS)
  – 日本から唯一出場 
・日本ロボット学会高校生プレゼンテーション 
 – 優秀賞 受賞 
・FIRST Robotics Competition Hawaii Regional(2024年3月~4月, Honolulu, HAWAII)
  – Rookie All-Star Award(新人最優秀賞) 受賞 
 – FIRST Dean’s List Finalist Award(昨シーズンリーダー個人優秀賞) 受賞 


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